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☆ジェット オン ドリーム ~夢幻飛行~ 第2部
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羽田 東京国際空港 ―――――
福岡発 東京行き 日本航空366便 B747SR-100(JA8119)は
17時12分羽田空港に着陸した。
この便は、このあと123便 大阪行きとして再び羽田を離陸するジャンボ機であった。
この日この機材 JA8119 は、すでに504便、363便、366便として3回の
飛行を行っており、123便 大阪行きのフライトは、この日4回目の飛行であった。
尾翼にシンボルマークである赤い鶴丸をあしらった日航のジャンボジェットは、日本の
フラッグシップに相応しい堂々たる貫禄と優雅な美しさをかもしだし航空ファンならず
とも一度は乗ってみたくなるような人々を魅了する巨人機であった。
ボーイング747型SR仕様のジャンボ機は、東京~大阪など短い路線が多く、離着陸を
頻繁に繰り返す日本専用の機種として、日航や全日空が導入し運航していたものであった。
燃料搭載容量を減らし最大離着陸重量を抑え、胴体や車輪など機体の補強がなされた日本
国内向けに作られた短距離仕様機である。
ボーイング747型SR仕様のジャンボ機は、一度に500名以上の旅客を乗せながら
その大きな巨体が急角度で離陸上昇するさまは、ダイナミックな光景であった。
その運動性能の良さから‘スーパージャンボ’の愛称で親しまれていた。
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~ 日航123便 大阪ゆき ~
福岡~東京便として羽田に着陸したこのジャンボ機 JA8119は18番スポットに入った。
363便、366便から乗務している航空機関士は、ひきつづき大阪ゆき123便に乗務する。
機長と副操縦士が羽田で乗務を交代した。
JAL123便のフライトプランによると、飛行時間は54分を予定していた。
予定されている飛行ルートは、大島、伊豆半島上空から紀伊半島の串本をへて
大阪の伊丹空港へアプローチするものであった。
左機長席には昇格訓練中の副操縦士が座り123便の主な操縦を担当した。
教官役の機長は、右副操縦士席に座り、管制機関とのATC無線交信など
コパイロット(副操縦士)オペレーションを担当した。
機体は、18番スポットで 123便としての準備と飛行前点検が行われた。
夏も8月半ばを過ぎると太平洋高気圧も梅雨明け頃のような盛夏の勢いがなくなって
北から寒気が入りこみやすい傾向にあるようだ。このため大気の状態が不安定になり
午後になると、山ぞい時には平野部でも、にわか雨や雷雨の原因となるカミナリ雲が
発生し、激しい気象現象を引き起したりする。わずか30分たらずで巨大な積乱雲が
局地的に発達することも少なくない。
そのような雷雲の影響は、ライン運航の旅客機にとっても時は脅威となるのである。
空港周辺に大きな雷雲が発生したり、また通過したりすると、航空機の離着陸にも
大きな影響を受けるのは言うまでもないが、着陸できずに上空旋回を行ったあげく
出発地に引き返したりする事態も想定しなくてはならない。
羽田⇒大阪へと飛んで現地で着陸をあきらめ、再び羽田に戻ったら今度はこちらも
雷雲。結局、成田へダイバート(着陸変更)して避難。などという気象条件により
最悪のシナリオさえ飛行計画を立てるうえで余裕を持たせる場合もあるのである。
旅客機の搭載燃料計画も、予定航路分の必要量にプラスして、そのような色々な
要件を加味しながら、かなり余裕を持った燃料搭載量が決定される場合が多い。
飛行計画を決定する上で、運航管理者やパイロットの経験も生かされている。
123便は飛行計画通り、3時間15分飛行できる量のジェット燃料が搭載された。
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~ 日航123便 大阪ゆき ~
◆カンパニー
「パッセンジャー509名、ブロックアウト 00分 変更ありません。」
▽機 長
「123便 509名 00分(18時00分 ランプ出発)了解。」
コクピットではフライトに備えたプリパレーション チェックリストが進められ
いよいよ羽田出発時刻を迎えようとしている。
『・・・キュー・エヌ・ヘイチ スリー・ゼロ・ワン・ナイナ
テンパラチャ ・・・ デューポイント ・・・
アドヴァイス ユーハヴ インフォメーション ユニフォーム 』
羽田の自動音声空港情報 ATIS の最新インフォメーション U(ユニフォーム)
を受信。空港海面高度の気圧補正値 30.19をセットする。
海面高度の標準大気圧値 29.92 と実際の気圧との誤差の補正である。
この補正により離陸上昇時に海面 0フィートからの真高度を得ることができる。
離陸上昇フェーズから、巡航高度に移行した全航空機は、今度は標準大気圧である
29.92in-Hg (1013ヘクトパスカル)の値を統一基準として飛行することに
なる。巡航中の全航空機が、この統一基準値を使うことにより、たとえ実際の気圧
高度と計器表示高度に誤差があっても、安全な高度間隔を保てるからである。
また、近年の航空機は、レーダー反射の原理を使った電波高度計を備えていて
着陸の際など滑走路からの正確な高度を計れるため、パイロットに飛行情報を
付加する上で重要な装置になっているが、これを巡航中の高度計に使った場合
海上と山岳地帯とではレーダー反射波に距離の時間差が生じ、飛行高度の表示
に大きな相違が生じることになる。このため、飛行中は気圧高度計がメインで
使用されることになる。
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~ 日航123便 大阪ゆき ~
お盆期間中とあって、123便の機内は、ほぼ満員に近い状態であった。
いつもの平日と違って、家族連れや子供の姿も多いようだ。
乗 客 「あ、スチュワーデスさん、これ 37A(の席は)どのへんですかね?」
客室乗務員「はい、37Aでございますね、こちら側の通路をお進み下さい。」
乗 客 「あ、どうも」
搭乗者名簿の中には、歌手 坂本 久(さかもと きゅう)タレント 明石家いわし
など著名人の名があったが、明石家いわし は急遽仕事のキャンセルがあり、この
123便に搭乗することはなかった。
123便航路は、また、東京と大阪を結ぶ日本の大動脈である。企業団体組織の幹部も多数
乗り合わせていた。スケジュール多忙な企業戦士にとっても、短時間で移動できる航空機は
欠かせない存在であろう。
◆地上整備
「コクピットへ ブロック アウト5分前です プッシュバック準備完了しました。」
▽機 長
「グランド、5分前 了解。」
羽田の管制塔から飛行計画承認の交信が入り、無線を担当する機長がこれに応答した。
18番スポットのランプアウトは、18時00分の予定であった。
出発5分前。
羽田のデリバリー管制から受け取ったATCクリアランスを確認し、承認内容を復唱する。
▽機 長
「トウキョウ デリバリー ジャパンエア ワン・ツー・ツリー
クリアードフォー オオサカ インターナショナル・エアポート
バイア ウラガ スリー ディパーチャー
タテヤマ ヴイ・オー・アール フライプランドルート
メインテイン フライトレベル ツー・フォー・ゼロ・・・スコーク・・・」
(日本航空 123便 大阪国際空港への飛行計画承認 浦賀第3出発方式
館山VOR経由の飛行計画通りのルート 巡航高度は24000フィート
ATCトランスポンダー レーダー識別符号は・・・)
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~ 日航123便 大阪ゆき ~
客室パーサー
「ご搭乗のみなさま、本日も日本航空をご利用くださいましてありがとうございます。
この飛行機は、123便、大阪国際空港行きでございます。
機長は・・・客室のチーフは・・・」
ほぼ満席のキャビンににボーディングアナウンスが流れ、フライト1時間に満たない
大阪への短い空の旅が始まろうとしていた。
乗客乗員合わせて524名を乗せ JA8119号機の日航ジャンボ機は
およそ1時間の駐機時間ののち、再び夕刻の羽田を飛び立とうとしていた。
駐機場18番スポットを出発するランプアウト・タイムは、数分遅れにとどまり、ほぼ定刻での
出発であった。誘導路をタキシングする頃には、緊急時の酸素マスクや救命胴衣の使用方法など
エマジェンシー デモンストレーション が行われ、離陸前の規定保安業務を完了した。
18時10分すぎ。日航123便 ボーイング747 SR-100型 スーパージャンボ機は
管制塔からの許可を受け、羽田空港のヘディング15 滑走路末端に進入した。
機の前方には、着陸機のタッチダウンスリップでタイヤ接地痕が黒々と残る着陸帯が伸びて
その延長、はるか滑走路の先は、東京湾、房総半島方向である。
ポン ポン ポン
コックピットから離陸の合図を告げるチャイムがキャビンに鳴る。
客室パーサー
「みなさま、当機はまもなく離陸いたします。お座席のシートベルトを
しっかりとお締めください。また小さなお子さま連れのかたは・・・」
◆羽田管制塔
「ジャパンエア ワン・ツー・スリー ウィンド ワン・セブン・ゼロ
ディグリー アット ワン・スリー ノット、クリアードフォー
テイクオフ ランウェイ ワン・ファイブ」
▽機 長
「クリアー(ド)フォー テイクオフ ジャパンエア ワン・ツー・スリー」
羽田の滑走路 ランウェイ15 に進入した日航123便 ジャンボ機は
機首を東京湾 房総半島方向に向けた。いよいよ離陸の瞬間を迎える。
離陸スピードの節目にあたるV1、VR、V2速度にセットされた速度計の
バグ(小さなマーカー)を再確認した。
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~ 日航123便 大阪ゆき 羽田離陸 ~
副操縦士 「ワン・ポイント・ワン イー・ピーアール」(エンジン出力値EPR1.1)
副操縦士は右手でスラストレバーを若干前に出した。
航空機関士「オールエンジン スタビライズ」(全エンジン回転出力安定)
副操縦士 「セット マックス パワー 」
副操縦士はブレーキを解除し、推力レバーを最大出力値付近までスムーズに前進させた。
ギィ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ン
プラット アンド ポイットニー社製 JT9D を4発装備した巨大なジャンボの機体は
強烈な加速Gを伴いながら怒涛のごとく滑走を開始した。
航空機関士は、4本のパワーレバーを後方席から補助し、4基のエンジンが
離陸最大出力値になるように微妙に調整する。左側機長席に座る副操縦士は
右手をパワーレバーに軽くそえ、機長役としてRTO(離陸中断)に備える。
ゴ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
右側席に座る機長は、後方に座る航空機関士とともに、速度計やエンジン計器など
それぞれの重要な計器類をスキャンし監視する。
対気速度を示す計器が動きだす。あらかじめ離陸計算によって算出された速度位置にセットした
小さなマーカー付近に目を落とす。動き出した速度指針は、やがて各マーカーの位置を越えてゆく。
機 長 「エイティ ノット」
副操縦士「チェック」
機 長 「・・・・・・・・V1」(離陸中断臨海速度)
速度V1を超え、すぐに機種上げ速度に達する。
機 長 「・・・VR」(機種上げ速度)
コクピット右側で離陸速度を監視し、コールするキャプテン。
左側機長席に座る副操縦士は、離陸決心速度のV1コールで操縦桿を両手で握り
若干の横風修正操作を行いつつ慎重に操縦桿をひいた。
ズズン ズズン
滑走路長の中間付近に塗布されたクロスラインを車輪が踏み越える音と振動が通り過ぎる。
巨体は ほどなく地面を離れた。
機 長 「V2」(離陸安全速度)
一瞬、エレベーターが昇るときの下から持ち上げられるような上昇Gを感じつつ
飛行場の景色が、そして羽田沖の海面が、あっという間に眼下に遠ざかってゆく。
●18時12分
JAL123便 ボーイング747SR-100 は、羽田の滑走路 ランウェイ 15を
轟音とともに大阪に向けてダイナミックに離陸した。湧き上がる夏雲の合間からは夕日が
射し込み、眼下には東京湾が大きく拡がった。
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~ 日航123便 大阪ゆき 羽田離陸 ~
機 長 「ポジティム クライム」
副操縦士「ギア アップ」
機 長 「ギア アップ」(副操縦士役の機長は、右側席で左前にあるギアレバーを上げる)
ゴ~~~~~~~~ゴトン
胴体の下で風を切る車輪が、大きな油圧によって格納される音が聞こえ、機内の音圧が静かになる。
『 ポン 』
離陸して すぐに‘禁煙サイン’が消灯した。‘ベルト着用サイン’は、当然まだ点灯中である。
サァ~~~~~~~~~~~~~
機内の空調と与圧が作動し始める。『待ってました』とばかりに、窓際に座っていた
何人かの愛煙家が、タバコに火をつける。その煙は、キャビンの空調換気システムに
よって、窓ぎわのダクトからドンドン強制排気されてゆく。優れた空調のおかげで
キャビンは煙ることなく快適な環境を提供しているが、愛煙家近くの席は、やはり
煙と匂いが全く気にならないわけではない。
機外の景色は斜めに傾き、座席の背に体重がもたれかかる感覚を乗客に与えたまま
大きな上昇角度でエアボーンしたジャンボ機は、なおもグイグイ高度を上げながら
東京湾上を南に向けて上昇を続ける。
その巨体に似合わない短い離陸滑走距離、大きな上昇率。短距離仕様のSRジャンボ機
らしいダイナミックなエアボーンである。燃料満載の国際線仕様のLRジャンボ機とは
一味違う軽快さ、力強さを感ずる光景である。
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~ 日航123便 大阪ゆき 東京湾沖を上昇 ~
やがて、エンジンスラストは、テイクオフパワーからクライムパワーに若干絞られ
離陸直後の急上昇から、ゆるやかな上昇経路に移行しながら、出発方式にしたがい
東京湾の外海に向け機首をゆるやかに右旋回。飛行方向を南東から南に変えたあと
房総半島南端部の館山に向けて順調に上昇を続けてゆく。
ADI(飛行姿勢を表示する水平儀計器)の縦横のコマンドバーが、最適な上昇コースや
飛行コースの方角を示している。計器の中でバーが十字になっているのは、機体が予定の
コースから外れることなく順調に飛行しているからである。
眼下には、空ゆく旅人の行く末を見守るかのように、傾いた太陽光線が海面の白波を
夕色に輝かせ、遠く浮かぶ大小の入道雲は、夏の日の午後のなごりであろう。
羽田の管制塔では、123便の機影が東京湾上をグイグイと上昇するのを視認しながら
IFR(計器飛行方式)管制ルームへのハンドオフを伝える。
◆羽田管制塔VFRルーム
「ジャパンエア ワン・ツー・スリー コンタクト ディパーチャー」
▽JAL123(機長)
「ワン・ツー・スリー コンタクト ディパーチャー タワーグッディ」
出発後の管制交信は、羽田空港の管制塔最上階 VFR(有視界飛行)ルームから
IFR(計器飛行)ターミナル管制レーダー室にハンドオフされ、順調に上昇して
いる123便からの交信が入る。それに対して、管制官も応答する。
◆羽田管制塔IFRルーム
「グッドゥイブニング ジャパンエア ワン・ツー・スリー
トウキョーディパーチャー レーダーコンタクト コンティニー
クライム アンド メインテイン フライトレベル ツー・フォー・ゼロ」
(JAL123便こんばんは 羽田出発管制です。貴機をレーダーで補足しました。ひきつづき
2万4000フィートへ上昇してその高度を維持してください。)
IFRルームのレーダー画面には東京湾を南に移動するJAL123便の機影を捉えている。
●18時13分55秒
日航123便は、指示対気速度170ノット、高度3200フィートを通過した。
やがて、羽田の出発管制所は、123便に対して、東京航空路管制区(東京コントロール)
への通信切り替えを指示する。
123便は東京湾の外海 浦賀水道上空をひきつづき機首を南に向けて上昇を続ける。
速度の上昇とともに段階的にフラップが引き込まれ、空気抵抗が減少してゆく機体は
エアスピードを加速させてゆく。
右手に見下ろす川崎、横浜から横須賀にかけての海岸線が、夏雲のすきまに見え隠れし
綿のような雲のかたまりを突き抜けるつばさが、しなやかに揺れた。
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~ 日航123便 大阪ゆき 東京湾沖を上昇 ~
●18時16分55秒
▽JAL123(機長)
「グッドゥイブニング トーキョー コントロール ジャパンエア
ワン・ツー・ツリー リクエスト ディレクト シーパーチ」
(東京コントロール こんばんは 日本航空123便です。シーパーチへの直行を願います。)
◆東京コントロール
「ジャパンエア ワン・ツー・ツリー ロージャ スタンバイ」
(JAL123便へ 了解しました。 他の航空機等、安全を確認するのでお待ち下さい。)
◆東京コントロール
「ジャパンエア ワン・ツー・ツリー プロシード ダイレクト シーパーチ」
(日航123便へ 東京コントロール了解しました。シーパーチへ直行して下さい。)
123便は、東京コントロールに対して予定航空路上の フィックスポイントであり
位置通報点である「シーパーチ」に直行したい旨を要求し、管制官はこれを承認した。
シーパーチの位置は、大島から方位253度、74マイル(海里)=約137kmの地点
※距離を表す「マイル」には、一般的な「陸マイル=1.609km」と「海里=1.852km」があり
航空管制や航法においては、海里(NM:ノーティカルマイル)が使用される。
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~ 日航123便 大阪ゆき 相模湾沖を上昇 ~
●18時24分12秒
指示対気速度300ノット、高度2万3400フィートを通過した。
予定巡航高度である2万4000フィート(約7300メートル)が近づいていた。
日航123便 ボーイング747 SR-100(JA8119)ジャンボ機の機体は
あと1分ほどで伊豆半島南部 下田市付近上空へとさしかかろうとしていた。
コックピットのパイロット対して、客室乗務員から業務連絡が入った。
客室乗務員「・・・たいとおっしゃるかたが いらっしゃるんですが
よろしいでしょうか?
副操縦士 「気をつけて・・・」
航空機関士「じゃ、気をつけてお願いします。」
副操縦士 「手早く・・・」
航空機関士「気をつけてください。」
客室乗務員「はい、ありがとうございます。」
その間にも、東京管制区を飛行する航空機のATC無線交信が飛び交う。
▽全日空574便
「トウキョーコントロール オールニッポン ファイブ・セブン・フォー
メインテイン ワン・ワン タウザンド グッドゥイブニング サー」
(こんばんわ 全日空574便です。高度1万1000フィートを維持しています。)
◆東京コントロール
「オールニッポン ファイブ・セブン・フォー グッドゥイブニング
アンド キュー・エヌ・エイチ スリー・ゼロ・ワン・ナイナ」
(全日空574便 こんばんわ。気圧高度補正値は、30.19インチです。)
▽全日空574便
「スリー・ゼロ・ワン・ナイナ サンキュウ サー」
(気圧高度補正値30.19インチ了解 ありがとう。)
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▽全日空35便
「ア~ トウキョー オールニッポン スリー・ファイブ リービング・・・フローム
メインテイン ツー・ツー・ゼロ アプローチング ミハラ」
(東京コントロールへ 全日空35便です 高度2万2000フィート維持 三原へ飛行中。)
◆東京コントロール
「オールニッポン スリー・ファイブ ラジャ スタンバイ レーダー ベクター」
(全日空35便へ 了解しました。 まもなくレーダー誘導を行いますので お待ち下さい。)
◆東京コントロール
「ジャパンエア ワン・セブン・スリー・ツー
コンタクト トウキョウ ワン・ツー・ファイブ ポイント ナイナ」
(日本航空1732便へ 以後 東京コントロール 125.9MHZと交信して下さい。)
▽日本航空1732便
「レディ ファイブ・ナイナ グッディ」
(周波数は125.9MHZですね。 さようなら。)
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~ 遠きにありて ~
●18時24分35秒
指示対気速度300ノット、高度2万3900フィート。
予定巡航高度(約7300メートル)まで、あと1000フィートでレベルオフである。
『 パ~~~ン!!!!!・・・・・ 』(客室後部で何かが破裂したような音)
「きゃっ」「うわっ!」(驚いた一部の乗客が声を上げた)
突然、機体後方の天井付近で巨大な空気銃を発射したような破裂音が轟いた。と同時
に客室は一瞬、霧のような白いモヤに包まれた。そして、その爆発音とともに大きな
気圧変動が機内を駆け抜けた。およそ5秒ほどで、客室内の気圧は、高度7000m
付近の外気圧と同じになったのである。多くの乗客は、瞬間的な風圧とツ~ンとした
耳の違和感に襲われていた。急減圧に伴う白い霧のようなモヤは5秒程で消えていた。
客室最後部の天井付近で起きた何かの破裂は、秒速300メートルもの激しい風速
を発生していたが局所的なものであったため、客室全体に大きなダメージを与える
ものではなかった。客室の一部では、台風なみの風が一瞬吹いた程度であった。
その気圧変動と音の波は、全長70メートルものジャンボ機の客室全体に音速(※)
で伝わった。機首付近では、「ド~~~~~ン」という鈍い爆発音として聞こえた。
(※)例えば、閉めきった家屋の玄関を開けたときに、2階にある部屋のドアが
同時に動くことがあるが、これも空気の圧力変動が音速で伝わっている。
飛行機の気圧センサーが感知し、客室内には‘酸素マスク’が自動的にドロップした。
それらは、しばらく飛び跳ねるように揺れていた。そのとき、機内はパニックになる
ようなことはなく、この時点では乗客たちは、まだ比較的冷静であった。
しかし、それは日航123便が‘胴体後部圧力隔壁の破断’という‘悪魔’に
とり憑かれた瞬間であった・・・
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~ 遠きにありて ~
破裂のような音圧の拡がりは、客室と同じ内圧環境にあるコクピットの中にも音速で伝わった。
それは何かの爆発音としてCVR(コックピット・ボイスレコーダー)にも記録されていた。
●18時24分35秒 ――――― 「ドド~~~ン ドドドドゴゴ・・・」(爆発音)
プッ プッ プッ プッ プッ プッ プッ プッ・・・
何かの爆発音が伝わり、わずか5秒たらずで外気圧と同じになったコックピットに
客室高度警報音または離陸警報音の緊急アラームが鳴り出した。
●18時24分39秒 ――――― 機長「なんか爆発したぞ」
●18時24分42秒 ――――― 機長「スコーク77」 (緊急遭難信号を意味する声)
●18時24分43秒 ――――― 副操縦士「ギアドア」
――――― 機長「ギア見て、ギア」(車輪格納状態を確認する声)
●18時24分44秒 ――――― 航空機関士「えっ」
――――― 機長「ギア見て、ギア」
●18時24分45秒 ――――― 客室パーサー「酸素マスクをつけてください。
酸素マスクをつけてください。ベルトは
ベルトをしてください。」
日航123便に起きた異常事態を知ることもなく、航空無線が大空を飛び交う。
▽航空自衛隊 定期71便
「トウキョー ジャパン エアフォース スケジュール
セブン・ワン リクエスト レス アルティチュード オーバー」
(東京コントロールへ 航空自衛隊 定期輸送71便です 降下許可を願います)
◆東京コントロール
「ジャパン エアフォース スケジュール セブン・ワン ディセンド アンド
メインテイン・・・ア~・・・フライトレベル ワン・ファイブ・ゼロ」
(航空自衛隊 定期輸送71便へ 高度1万5000フィートまで降下して下さい)
▽航空自衛隊 定期71便
「スケジュール セブン・ワン・・・フライトレベル ワン・ファイブ・ゼロ
ナウ リトル ワン ポジッション ツー・ナイナ・ゼロ」
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~ 遠きにありて ~
●18時25分16~18秒
機 長「ライトターン」(右旋回指示)
急激な機内減圧が発生したにもかかわらず、パイロットが酸素マスクの使用を忘れる
ほどの突然の異常事態であった。
航空交通管制用の識別応答装置トランスポンダーコードに 7700 の数字がセット
されると、管制官のレーダースクリーンには緊急事態を知らせる特別なライトが点灯
するが、このときは、123便から無線で通報された。フライトにおいて何か突発的
なことが起きた場合に、パイロットは本能的に「スコーク77」の緊急宣言を即座に
行う習性があるのは、定期審査などで厳しい訓練を重ねているからである。
客室自動音声「ベルトを締めて下さい タバコを消して下さい 只今 緊急降下中」
離陸後、まもなく消えた‘禁煙’サインは、再び自動的に点灯していた。
●18時25分21秒
日航123便は、埼玉県所沢市の東京航空交通管制部に対して非常事態発生を告げた。
低酸素症状を思わせるような息の荒い声であった。
▽JAL123(機長)
「ア~ トーキョー(コントロール) ジャパンエア ワン・ツー・スリー
リクエスト フローム イメディエイト・・・え~・・・トラブル リクエスト リターン
バック トゥ ハネダ、ディセンド アンド メインテイン ツー・ツー・ゼロ、オーバー」
(東京コントロールへ 日航123便 緊急事態発生 羽田空港に引き返したい
2万2000フィートへの緊急降下を要求する どうぞ。)
◆東京コントロール
「ラジャ アプルーブド アス ユー リクエスト」(了解 要求を許可します。)
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~ 遠きにありて ~
●18時25分40秒
▽JAL123(機長)
「ラジャ ベクター トゥ オオシマ プリーズ」
(了解 伊豆大島へのレーダー誘導をお願いします。)
日航123便は、東京航空交通管制部に対して、羽田空港へ戻る際のゲートウェイとなる
大島へのレーダー誘導を要請した。
◆東京コントロール
「ラジャ ユー ウォント ライト オア レフトターン?」
(了解 右旋回にしますか? 左旋回にしますか?)
▽JAL123(機長)
「ゴーイング トゥ ライトターン、オーバー」(右旋回したい どうぞ)
◆東京コントロール
「ライト ヘディング ゼロ・ナイナ・ゼロ レーダーベクター トゥ オオシマ」
東京航空交通管制部は、右旋回反転で進路090度(東)で大島へのレーダー誘導を指示した。
そして123便もこれを了承した。
●18時26分27秒
機 長 「ハイドロ(油圧)全部ゼンブだめ? 」
航空機関士「はい 。」
123便客室 ―――――
「ファースン ユア シートベルト プットアウト ユア シィガレッツ」
「テイク アンド ユース ユア オキシジェン マスク」
「ディス イズ ア エマージェンシー ディセント」
「シートベルトを締め、タバコを消してください。」
「酸素マスクを使用してください。」
「只今、緊急降下中。」
●18時28分頃
羽田空港航務課に航空機救難調整本部(RCC)が置かれ、緊急着陸の準備が始まっていた。
また、航空自衛隊第44警戒群レーダーサイトは、123便の緊急事態を傍受し確認していた。
そして埼玉県入間基地にある中部航空方面隊に一報を入れ、緊急事態に備えた各部隊への連絡
体制が着々と進められていた。
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~ 遠きにありて ~
そのとき123便客室は ―――――
客室最後尾付近に座っていた非番の客室乗務員は、あることに気が付いていた。
化粧室の上にある横長の壁がほとんど全部外れていたのである。トイレのドアは閉まっていたが
その上の壁がすっぽりと外れて、その奥は屋根裏部屋のような感じに見えていた。
その壁のパネルが、どこかにいったのかは見当もつかなかった。
その壁の外れた‘屋根裏部屋’の奥の方には、運動会でよく見るテントの生地のようなものが
風にあおられたようにヒラヒラしているのが見えた。
また、前方頭上の天井には、整備用の通路(50センチ四方の長方形の穴)があり、蓋である
パネルがついているはずであったが、その蓋がこちら側に向いて開いていた。何かの はずみで
開いたような感じであった。オーバーヘッドストレージパネル(乗客の荷物収納棚パネル)は
すべて閉まっていたようである。
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~ 遠きにありて ~
そのとき123便客室は ―――――
破裂音のあと、乗客たちは各自冷静に酸素マスクをつけていた。会話はほとんどなかった。
慣れない酸素マスクの使用と呼吸のため、お互い会話する余裕はなかった。
中にはキョロキョロと不安そうに窓の機外を覗く乗客もいた。
キャビンには「EXIT」と「 非常口 」を示す、エマージェンシー・ライトが点灯していた。
そろそろ夕刻が迫りつつあり、時間的にも外は暗くなる頃であった。
このときは、まだ機体が降下している感じはしなかった。ゆっくりとした動きで左右に大きく
蛇行しながら旋回しているような動きを感じるようになったのは、酸素マスクを使い出して
しばらくしてからであった。
しかし、このとき、日航123便は圧力隔壁破断に伴う爆風で、すでに‘垂直尾翼’の大半を
失っていたのだった。さらに悪いことが重なった。4系統ある油圧のすべてを失いかけていた。
油圧がないと動翼である操縦舵など機体で動く部分は全く機能不全となる。つまり、操縦桿も
ラダーペダルほか操縦に必要な装置は反応せず、機体のコントロールは非常に困難になるのだ。
航空機としての操縦特性を失った‘魔の迷走飛行’が、123便を襲おうとしていたのだった。
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~ 遠きにありて ~
そのとき123便客室は ―――――
一方、その頃、客室乗務員のアシスタントパーサーは、不時着を想定した緊急アナウンス用
のメモ書きを作成していた。客室乗務員が懸命に乗客の不安感を取り除き、保安要員として
の職務をまっとうしようというプロとしての決意が、そこにはあった。
おちついて下さい ベルトをはずし 身のまわりを用意して下さい
荷物は持たない 指示に従って下さい
PAX(乗客)への第一声 各DOORの使用可否
機外の火災CK(チェック) CREW(乗員)間CK
ベルトを外して ハイヒール荷物は持たないで
前の人2列ジャンプして機体から離れて下さい
ハイヒールを脱いで下さい 荷物を持たないで下さい 年寄りや体の不自由な人に手を貸
火災 姿勢を低くしてタオルで口と鼻を覆って下さい
前の人に続いてあっちへ移動して下さい
まぎれもなく訓練で行ってきたことを今まさに実践しようとするかもしれない非常事態である。
アシスタントパーサーは、そのことを すでに感じ取っていたのであった。
<第21幕につづく>
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~ 下町 18時30分 ~
今日も町工場が稼働する下町の一角 ―――――
西の空は、すでに夕焼け色を映し、家々に灯る明かりは、一日の終わりを告げている。
汗だくの工員たちが、今夜の配送便トラック積み込みに備えての作業をしている。
この工場では、あしたからお盆期間中の3連休を控え、最後の追い込みである。
配送表に従って、大小のスチール部品がトラックの待ちうけ場所に置かれる。
工 員「あいよ~ サン・ニー・マルが 10ユニット!」
学 生「うっ!・・・」
工 員「ほれ、そこの若けぇの! ちゃんと返事して受け取らねぇとケガすんぞ!」
学 生「すんません!」
夏休みを利用しての学生アルバイターが二人。
暑さの中で体力を使う過酷な肉体労働を何日もこなしている。
さすがに、かなりバテているようすだ。
しかし、クルマ購入の資金を貯めるには、高い時給は魅力的だった。
学生援護会を通し苦労して見つけたバイト。ここは我慢のしどころなのだろう。
親 方「おう~し、おっわりぃ~! みんな ご苦労さん!」
工 員「おつかれ~ あとはトラックの運ちゃんがリフトで積み込んでくれっからよ。」
工 員「はいよぉ、お疲れさ~んっと!」
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~ 下町 18時50分 ~
工場裏手の奥からは ―――――
「はいはい、みんな、お疲れさんねえ、明日から連休だし今日はみんなウチで
ごはん食べて泊まっていきなよ~ ビールもたらふく用意したかんね~」
町工場の裏方を仕切る おかみの声も威勢がいい。
汗と油にまみれた重労働ではあるが、人情味のある家族的な環境に囲まれながら
この町工場は支えられているようだった。
工 員「ウッス! 今日は親方の誕生日っすよね」
工 員「お、いい匂いがしてくるな~ へいへい、ごっつぁんで~す!」
おかみ「若い衆も泊まっていきなよ」
学 生「あ、いや、家で親が心配しますんで・・・」
学 生「俺、これからデートなんすよ、すいません」
工 員「なんだぁ、なんだぁ、二人そろってよぉ、付き合い悪りぃなぁ(笑)」
おかみ「そうかい・・・明日から工場も3連休だし・・・ま、気をつけて帰んなよ~」
親 方「そこの学生さん、デートなんだろ? ココでシャワー借りて汗スッキリ流していきなよ」
学 生「あ、そうっすね・・・じゃ、そうします」
二人一組でシャワーを浴びながら、汗の労働のあとの何とも言えない充実感をこの狭い空間
で共有する。夕暮れどきの裸電球に映るその顔々は、みな満面の笑みである。風呂場の窓を
開けると、夏の日の淡い夕焼け色も暮れかけた空。国鉄操車場の車両基地が照明灯に煌々と
輝き、貨物連結前の電気機関車が鈍い唸りを上げて待機していた。
工 員「学生さんよぉ、そんな金ためてよぉ、クルマ何買うんだい?」
学 生「ベンツの190Eっすけど。」
工 員「ほぉ~ ガイシャかい? 渋いねぇ~ ま、ガンバリなよ~」
親 方「ほれ、ビール。若けぇ衆は運転すっから、コーラで我慢しろよ(笑)」
学 生「ええ、ボクもともと飲めないんでOKっす(笑)」
工 員「おっと、親方ぁ サンキュウっす!」
工 員「(ゴクッ ゴクッ ゴクッ ゴクッ)ファぁ~!やっぱ、労働のあとのビール最高っす。」
風呂場の脱衣場で、若い衆たちの威勢のいい声が響いている。
工場の作業所では、責任者の工場長が、火の元の点検など最後の確認を行っているようだ。
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~ 下町 18時56分 ~
一番奥の作業所に置いてある小型のAMラジオから聞こえてくるのは、NHKの天気予報のようだ。
AMラジオ特有のレトロな周波数特性の音響が、控えめなボリュームで作業所内に鳴り響いている。
『・・・今夜は北よりの風、晴れのち曇りで、山沿いでは所により、にわか雨か雷雨が
あるでしょう。あすは北よりの風、日中は南の風、晴れ時々曇りで、山沿いでは所に
より、にわか雨か雷雨でしょう。』
『時刻は、午後6時56分になりました。つづいて首都圏の交通情報をお伝えします。
道路交通情報センターの花房(はなぶさ)さん。』
『はい、お伝えします。この時間、ふるさとや行楽地に向かうクルマで、首都圏から各地に向かう
高速道路の渋滞が続いています。まず、東名高速道路は・・・』
『つづいて、一般道路では、埼玉県新大宮バイパス下り線が事故のため混んでいます。
笹目橋北交差点でトラック2台と乗用車がからむ事故により・・・』
『はい、ありがとうございました。つづいて、NHKからのお知らせです。日曜昼の‘のど自慢’観覧
についてのご案内です。きたる・・・』
工場長「おい、じゃ電気消すぞ。ブレーカーも落とすからな。」
工 員「へ~い。OKっすよ。」
-
~ 下町 19時00分 ~
その頃、親方宅にあるテレビは、民放の歌番組がスタートしていた。
『 ~ FNN 思い出の昭和歌謡 ~ 』
親方「お、なつかしい歌が聴けるな、うれしいじぇねえか。」
歌謡コンサートの舞台では、歌の前奏が始まっていた。
ステージに向かって大きな拍手があがっている。
司会『作詞 佐伯孝夫 作曲 吉田正・・・歌は・・・‘いつでも夢を’・・・・・・
さあ、おなじみの 橋 幸男さん、吉永 小百合さんのお二人です、どうぞ~!』
昭和の名曲「♪いつでも夢を」の懐かしいメロディが流れ始めていた。
軽やかな曲のリズムに合わせ、会場には手拍子が湧き上がった。
(前奏)
♪星よりひそかに 雨よりやさしく あの娘はいつも歌ってる
♪声が聞こえる 淋しい胸に 涙に濡れた この胸に
♪言っているいる お持ちなさいな
♪いつでも夢を いつでも夢を
♪星よりひそかに 雨よりやさしく あの娘はいつも歌ってる
(間奏)
♪歩いて歩いて 悲しい夜更けも あの娘の声は 流れくる
♪すすり泣いている この顔上げて 聞いてる歌の なつかしさ
♪言っているいる お持ちなさいな
♪いつでも夢を いつでも夢を
♪歩いて歩いて 悲しい夜更けも あの娘の声は 流れくる
(間奏)
♪言っているいる お持ちなさいな
♪いつでも夢を いつでも夢を
♪はかない涙を うれしい涙に
♪あの娘はかえる 歌声で~
♪あの娘はかえる 歌声で~
(満場の拍手)
-
~ 下町 19時10分 ~
工 員「親方ぁ~ これ、聞いたことあるぜ。」
親 方「そっかい? ありゃたしか‘東京オリンピック’の頃だなぁ、あの頃はよぉ
ウチのかあちゃんとなぁ、よく銀座や有楽町でよ、デートしたもんだ(笑)」
おかみ「あら、お前さん、若い衆の前だよ、何言うんだい!アッ~ハッハ~(高笑)」
親 方「けっ、今じゃ色気もそっけもねぇ(笑)」
歌手が歌うステージのバックスクリーンには、高度経済成長の時代を映すように
東京タワー、東京オリンピックの開会式、東海道新幹線の開業、名神高速道路や
東名高速道路、首都高速道路の開通、米国のアポロ月面着陸、大阪の万国博覧会
新婚カップルで賑わう昔の羽田空港など、その時代時代の映像が流れている。
古きよき昭和時代の投影であろうか。
国産マイカーでさえ、庶民にとっては贅沢品だった戦後。
淡いセピア色をした戦後昭和の風景が、そこにはあった。
-
~ 下町 19時30分 ~
親 方「あの頃はよぉ、夜になると、テレビだけが娯楽だったからな。家族総出で
テレビを囲んで見たもんだ。何て言うかよお、一家団欒の中心にテレビが
あったようなもんだな。今じゃよお、そんな光景ねえだろ?」
工 員「昔はテレビが主役? ま、今の俺んちなんか見たい番組は家族でバラバラだし(笑)」
親 方「今じゃよぉ、かわいい娘らも片付いてしまったからよぉ・・・
ま、お前ぇら若ぇ衆が家族の代わりみてえなもんだ(笑)」
ジリリリリリィ~ン ジリリリリリィ~ン(工場内の電話が鳴る)
親 方「あい! まいど~昭和工業所で・・・おぅ~源チャンかい、どうしたい?」
おかみ「アンタ、また源チャンかい? 長電話になるからキリのいいとこで切なよ~」
親 方「ちっ、わかってるよ~(苦笑)」
その頃、シャワーを浴び終わった従業員が、脱衣所に置いてある小型テレビをつけ
別の民放番組を暇つぶしに見ていた。と、そのとき、番組の放映画面が突然変わり
ニューススタジオに切り替わった。
●アナウンサー
「はい? え~番組の途中ですが・・・只今、臨時ニュースが入ってきました。
え~報道部デスクからお伝えします、報道部デスク、報道部デスク、どうぞ。」
-
~ 下町 19時30分 ~
●TV局 報道部
「はい、東京航空交通管制部 ならびに 運輸省東京航空局 羽田空港事務所 からの情報に
よりますと・・・本日午後6時39分頃、伊豆半島上空で、客室後部のドアが破損した
との日航ジャンボ機からの緊急の無線連絡があり、その後、客室の気圧が下がったため
高度を下げたいとの要請がありましたが、午後6時56分頃、管制レーダーから機影が
消えたとのことです。このジャンボ機は羽田発の大阪行き123便ボーイング747型
SRという国内専用の機種で、乗客乗員は500名以上との情報も入っております。」
●TV局 報道部
「まだ、未確認情報でありますが、長野県南佐久郡、北相木(キタアイキ)村付近
に墜落したとの情報も入ってきております。」
●TV局 報道部
「え~新しい情報です。日航本社によりますと、この便は乗客乗員524名が乗っており
今夜午後7時頃に大阪の伊丹空港に到着する予定のジャンボ機とのことです。」
●TV局 報道部
「え~繰り返し、お伝えします。東京航空交通管制部 および 羽田の空港事務所に
入った情報によりますと、今日午後6時39分頃・・・午後6時56分頃、管制
レーダーから機影が消えたとのことです。」
●アナウンサー「はい・・・また新しい情報が入りしだい、お伝えします。」
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