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TTコースケの愛車 [アウディ TT クーペ]

整備手帳

作業日:2023年9月24日

完結編 ABS/ESP エラー簡易修理?お金を掛ける前に一度試す価値あり!《 原因究明で完結 》

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目的 修理・故障・メンテナンス
作業 DIY
難易度

中級

作業時間 12時間以上

1
この夏に久しぶりに再発しました。ガックリ!
雪解けの春先から殆ど乗らなかったからでしょうか⁉︎

2年程前にワイパーコントロールのコーディングを雪国仕様に変更する為にVCDSを手に入れていましたので、今回このフォルトデータをダウンロードしました。

その結果は

「01276 - ABS Hydraulic Pump (V64)
     012 - Electrical Fault in Circuit」

でした。

ABS警報には他に幾つものフォルトコードがありスピードセンサーやGセンサー、ステアリングアングルセンサー、ハイドロバルブ等の故障が要因となりますが、結果的に自分が予想していたバルブやコネクターの接触不良は大ハズレでした。

なのでこれを機にABSユニットを分解検査し原因を究明して自称「ハンマー整備士」を卒業しようと決意しました!!

結論からその原因は「ポンプモーターのカーボンブラシがブラシホルダーに固着してコミュテーターと接触不良を起こしていた」からでした。

ABS-ECU(エレクトリックコントロールユニット
)はモーターを駆動させていない時もブラシ-コミュテーター間の状態(おそらく接触抵抗値) をモニタリングしていて、駆動可能の最低状態(接触面圧または接触面積率が減少し抵抗値増大)を検知して、ポンプモーターの電気回路に異常が発生し駆動不可の為ABS/ESPが機能しない状態になった事を警報したのでした。

実際、取外す前にVCDSでポンプモーター駆動テストを試すも作動音が全く聞こえて来ませんでした。

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先ず、今回の作業を省みて事前準備が甘かった!

それはマニュアルの最初の作業手順を省いた事と自作のキャップとプラグを安易に使用した事が災いして作業中に殆どのブレーキフルードがダダ漏れに、そしてパイプやユニットにエアの混入で掃除と復旧時のエアブリードとフルード充填量が大変だった!

省略した手順とはこの作業中にタンクフルードがマスターシリンダーから下流へサイフォン効果で流れ出ていかない様にする準備作業で、
ブレーキペダルを少なくとも6cm踏み込んでマスターシリンダーのピストンがタンクからの通路を遮断した状態を保つ為にペダルとシート座前面の間に突っ張り棒の様なツールを挟んでペダルを押した状態のまま、いずれかのブレーキキャリパーのブリードニップルで内圧を開放し閉じる作業。

内圧が無いから確実にキャップが出来れば大丈夫だろうと不測の事態を考えていなかった。

ブレーキパイプ取外し時に使うプラグとキャップが如何に大事か思い知らされた。

もし再び作業する様な事があれば以下のプラグとキャップを準備した方が賢明である。
2
写真右上のプラグはディーラー販売の純正品で海外ECサイトで30〜40ドルする。
国内では4.5〜6千円はするだろうか?

近所の大型ホームCの何社かの店舗で代替品を探したがM12-1ピッチのプラグの取扱いが無く、ネット検索でも両サイズを取り揃える店は3店舗程しかみつからなかった。

送料の方が高く付くけれども純正品よりはかなり安く揃えられる。
3
キャップはフレアナットをスライドしてパイプ先端の丸いフレア部分にするのでDCM系ホームCにあった「先端キャップ」6×15の4個入りと10×15の2個入りがベスト。

この写真はABSユニットを取付ける直前で、全量抜けてしまったタンクとマスターシリンダーへのフルード充填とエアブリード実施後の状態。

写真青丸の様に半分程度の長さにカットした方が滑らず脱着が楽早だった。

当時10×15の持ち合せが無かったのでワンサイズ下の8×15と熱加工した8mmチューブをペンチで口を広げて嵌めたがキツくて難儀したので10×15が丁度良いかと。

が、そのサイズは未試行で断言は出来ないので万が一緩くて漏れる時に備え、サランラップの重ね折を複数枚用意して置きフレアに直に被せてからキャップをすれば漏れ止めは可能。

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作業の下準備。

液漏れ飛散に備え間口の大き目のビニール袋をABSユニットの下周りに広げて設置。

念の為その真下の地面に広めのパレットを設置。

ブレーキフルードは腐食性が高い為ボディ塗装に付着した場合速やかに洗い流せる様に洗浄ボトルとペットボトル、バケツに水道水を用意。
※フルードは吸水性・水溶性でオイルではないのでブレーキクリーナーは無効。

取外しするパイプやフィッティング周りの汚れを毛ブラシと洗浄液で除去。
4
パイプを取り外した時に取り回しの自由度を良くする為にパイプを連結している黒色の2列と3列のクリップを外す。

★パイプ一本外す毎に速やかにキャップそしてプラグをして行くと液漏れが少なくエア混入も少ない。
5
ABSユニットをトルクスビットT20Hで4本のスクリューを外してECUとHCU(ハイドロリックコントロールユニット)に分離する。
6
コネクターで抵抗測定。
(HCUと分離してからの方が楽だが、抵抗値が分離作業中の衝撃で変化し信頼度が低下する恐れがあるから)

抵抗はカーボンブラシ-コミュテーター-コイル-コミュテーター-カーボンブラシ間の値。

一般的に数Ω〜数十Ωに対しショックを与えて変化する値は無限や数百Ω〜数kΩで桁外れの許容外。
7
モーターを分離する為HCUに固定している4カ所のクサビをルーターで削り落す。

ウオポンプライヤーで挟み戻しても半分くらい潰れる程度。
8
ベアリングの目視点検。
焼き付きや赤錆の変色→無しOK!

アウターレースとフランジは非回転体なのでこの時点での転がり点検は不要。フランジ/ローター取外し後に必要。

ローターシャフトは強磁力で指では回転不可。

ベアリングの取外しはフランジ構造とクリアランスから特殊なリムーバルツールと予備ベアリングが必要となり汎用プーラーの改造と互換ベアリングの調達に時間を要する。

また、カーボンブラシの調達には現物を見ないと互換品を探せないがマイレージから消耗したとは考え難い。

もしブラシ交換が必要となるとベアリングの取外し、交換、取付け作業が必須である。

以上の理由で今回は実施しない。
9
🈲モーター単体を予備バッテリーや自動電流出力充電器(手動で電流調整可能なら可)に直接続はNG!
ポンプロードが無い無負荷で、かつECU制御が無い状態で高電流を供給すると過回転で内部損傷や焼損する恐れあり!

直流安定化電源が無い場合は「抵抗測定値」で判断。

この時点で測定した抵抗値から駆動は不可能なのは明確だが、後に同条件で実施する比較基準にする為で直流安定化電源最大出力2Aで+14.3Vをかけテスト→やはり駆動せずNG!。

よってモーターの分解作業を進める。
10
コネクター突起部を上にしてケースの左右2カ所の凹みがフランジロック。

凹みから2〜5mmの位置に3mmφ程のドリルで樹脂製のロックプレートを貫通しない様に浅くケースだけに穴を開ける。

ベアリングをシャフトに残してフランジだけを取外す事は不可能。

よってミニドライバー等でロックプレートを押し込んで折ってロックを外す。
11
シャフトに傷をつけない様プライヤーで挟みローターをマグネットの磁力に対抗しケースから引き抜く。

ケース内から折れたロックプレートを回収する。
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フランジロックプレートの修繕はモーター内の回転部品に面している部分なので不測の事態に備え実施しない。

ベアリングの転がり点検。
引っ掛かりや軸方向と円周方向に大きな遊びの有無→極めて滑らかOK!
13
<取外し直後の写真を撮り忘れ!失敗>
これらは清掃後の写真。

カーボンブラシの点検。

ブラシの長さから見て殆ど消耗していない。
一般の交換基準長は新品の1/4、但しプッシャースプリング強弱や接触面の状態にもよる。

クリーニングはCUREクイックドライクリーナーと汎用ダストクリーナーを使用し、汚れがしつこい場合はクリーナーの吹き浸け置きを繰り返して溶解させて除去。

コミュテーターのブラシが当たる円周軌道に黒墨の汚れがコーティングされた状態。

これも抵抗値増大の要因。吹き浸け置き除去。
14
赤線部分のブラシとホルダーに汚物が堆積して固着。

ブラシをスプリング方向にスライド出来ず。

ブラシ/コミュテーター間の接触面圧や接触面積比率が低下し抵抗値増大の要因。

吹き浸け置きとピンセットで除去→ブラシのスライドOK!
15
特に必要では無いがグリースの密閉量の点検。

密封タイプのベアリングのリップシールを傷つけない様にピンセットで外す。

シリコングリースの状態目視→問題無しOK!

ベアリングはNMB-日本ミニチュアベアリング株式会社タイ工場製品。
16
🈲モーター単体を予備バッテリーや自動高電流出力充電器(手動で電流調整可能なら可)に直接続はNG!

モーター組み上げ後に分解前と同条件の+14.3Vをかけテスト→出力電流2Aで駆動可能になったOK!

直流安定化電源が無い場合は「抵抗測定値」で判断。
と言いつつ
<抵抗測定を完全に失念!痛恨の極み、車体に取付けた後に気が付く>
測っておけばここに抵抗値を明記出来たのにと悔やむ。
17
組合せる前にシャフトが入るHCUのローラーベアリングのローラーが間欠無く収まっていて脱落が無いか確認。

代替固定方法にアルミアングル材とスクリューを使う事でフランジはモーターケースとHCU間でラバーシールが圧着されしっかり固定が出来る。

ネジ穴は最大フランジ面の深さまで。

他の方法で再度クサビによる固定にはプレス機が必要。
18
モーターケースに開けた穴2カ所と固定箇所に耐熱シーラントを盛る。
19
ECUの目視点検。

ECUのカバーを円盤ビットのルーターでかち割る。

基板と電子部品のソルダリングは極めてしっかりしていて浮きや割れ、剥がれ、焼けなどは皆無で回路の接触不良や部品の異常は考えられない。

フォルトコードにもよるがこの作業は不要だと考える。
20
モーターリレー回路の導通点検。

念の為、モーター駆動リレーのパワートランジスタのドレーン側とソース側の導通テスト(前写真)→OK!

モーター接続オスコネクターの導通テスト→OK!

ECUとHCUを組立てる。

ECUカバーをシーラントで接着し固まるまで待って車体へ取付ける。

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取付け後のエア抜きは「VCDSによるブレーキシステムブリーディング」と題して後に整備手帳に投稿する予定です。

ブリーディング実施中のモーターはしっかりプログラムの指示に従って駆動しました。

が、やはり始めの内はポンプがキャビテーション(ポンプ入口通路に空洞=エア噛み)を起こして激しい音を発していました。

エアを排出する為に繰り返し実施してやがて音は弱まりしっかり圧送している音に変わりました。

その為全部で約3リッターのフルードを要しました。
前述した通りしっかりメクラをして置く事が肝心要でした。

その後の診断でフォルトコードは無くなり警報も消灯して完全に復旧することが出来ました。

今回は丁度良い潮時だったと考えます。
叩いてショックを与えて一時的に治っても、またいつ警報音が鳴るかと思うと憂鬱になりますからね。

同様の事象で困っている同じTTライダー仲間の一助になればと思います。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここから先は「何故ブラシが固着したのか?そうさせた汚物は何か?」その要因を考察します-あくまで私見です。

現在新車から16年目のマイレージ約1万3千2百Km。

発症したのは今から3年くらい前。
発症前の使用状況や環境を思い出してみる。

北海道に隠居し始めたのは約5年前。
それまでABSやESPを発動させる様な事態は一度も記憶に無い。

4年前の冬に初めてスキーに出かけ雪上を走り回った。
横滑りやけつ振りは沢山したしブレーキ時は常にABSが発動しペダルが靴の裏で飛び跳ねていた。
急発進した時にはESP注意灯が点滅した。

モーターにしてみれば深い眠りから叩き起こされて沢山働らかされたけれど、いじけずにABS警報灯は一切点灯しなかった。

北海道に来てから急激に寒暖差が大きくなったせいかバッテリーが弱わくなり始めて、暫く走行しいないとエンジンスタートが失敗する様になった。

なのでスーパー等近場へ出かける時は駐車場に着いたらエンジンを切らずに買い物を済ませ帰宅していた。

そうしないと短距離間でバッテリーのスタート放電量をリカバリー出来ずにエンジンを切ってしまうと帰宅出来なくなる恐れがあったから。

一応、携帯ジャンプスターターバッテリーをいざという時の為に購入して乗せてはいたが、そう長い時間はかからないし、人が沢山行き来する駐車場でボンネットを開けるのも恥ずかしいし面倒くさかった。

次の車検準備でバッテリー交換を予定したのでそれまで常習的にしていた。

そして初めての発症は忘れもしない雪深い日の駐車場だった。
いつもよりは長めの買い物でその間に激しく降雪し車体周りがドア下の高さまで埋まりエンジンがかかっているボンネットにでさえ積もっていた。

雪払いをして運転席に乗り込むとABS警報灯とESP注意灯が点灯していた。

その時の状況を考察すると

牡丹雪がグリルや車体周りを埋めた事でエンジンルームを冷却する風通しが悪くなり熱がこもってABSユニットの固体温度が上昇し何らかの影響を受けた可能性がある。

帰宅までは点灯し続けエンジンをかけ直しても消灯しなかったが、翌日の冷えた状態の確認では消灯していた。
以降乗る機会は多くはないが約5ヶ月間は消灯していた。

常習行為の時に発症したので車検準備を待たずに雪解けの春先にバッテリーを新品に交換。

それから間も無くして駐車場で空きを探している時の出会い頭に衝突回避の急ブレーキをかけた時に2度目の点灯だった。
その時からハンマー整備士に変貌。

その時の状況を省みるとシステム的に矛盾がある。
その時の路面はドライで車速は5Km/hも満たない低速度だった。
そんな時は一般的にABSは無効のはずなのに?と。
エンジンルームは通常温度で冷えてはいなかった。

前々回の整備手帳で記した"ハンマー整備"はエンジンが冷えている時にと。
つまりエンジンが冷えると自然に消灯したりショックを与えると消灯し、走行中エンジンが暖まっている時に点灯するというサイクルなのである。

では一体何が熱の変化でそうさせているのか?
構造的に外部から異物が混入するルートは全く無い。

唯一考えられる物質はベアリンググリースしかない。

オゾンアタック(ブラシが発生するオゾン被曝)でシリコングリースを変性し凝固化するかは知識が無いがそうとしか思えない。

ABS/ESPポンプモーターは単にいずれかのタイヤがスリップしない限り駆動しない。
駆動したベアリングは必ず転がり摩擦で発熱する。

その熱かもしくはABSモーター側近に位置するエキゾーストパイプが発する輻射熱でグリースが液状化しフランジ側のシールから漏れて出てローター内に侵入しコミュテーターに滞留。

回転した時に飛散して非電導性物質として接触面をコーディングし抵抗値増加。

また、オゾンアタックによる物なのか何かは判明しない物質がブラシホルダーの隙間に入り込んで堆積して粘性化しブラシの摺動を妨げスプリング力による面圧の低下で接触面積率が低下し抵抗値増加、そしてブラシを固着させた事が要因ではないかと推定する。

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