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● ミーヴァトンネイチャーバスへ
ミーヴァトン湖周遊を終え、最後はミーヴァトンネイチャーバスで停車。
その名の通り、天然温泉の入浴施設であり、しかも世界最北の温泉であり、世界最北の露天風呂とのこと。
規模だけなら
先日訪問したレイキャビック近郊のブルーラグーンのほうが大きいのだが、あちらは地熱発電所の廃湯を利用した施設であり、厳密なところで「天然温泉」とは言えないのである。
但しここミーヴァトンネイチャーバスは、専用の温泉井は持たず、先ほど見かけた地熱発電所と共同の温泉井を使用し、井から直接湯を引き入れているとのこと。
まずはガイドさんに案内され、施設を見学。温泉施設ではあるものの、観光施設と言うこともあり、写真撮影はOK。(もちろん言うまでもなくマナーに反しない範囲での話だが)
その後一時間半ほどのフリータイム。入浴は強制ではなく、しかも別料金なのだが誰もが迷わず入浴を選択。
ちなみに入浴料はISK2500(≒\1800)。またアイスランドで初めて日本語のパンフレットが置かれていた。(と言っても、本格的な物ではなく、A4の紙に如何にもワードか何かで日本語で案内を書いただけのもの)
まあ北部アイスランドのアークレイリまで、月に何人の日本人が来るのか解らないが、それでも温泉好きの日本人は必ずここに寄っていくのだろう。
入場料を支払うと、タオルとロッカー用のダミーコインを受け取り、脱衣場へと進む。
但しここのロッカーはコインリターン式の為、このダミーコインは手元に残っている。
そしていよいよ入浴開始。
ここは基本的に露天風呂のみで、先ずは左手の温浴ゾーン
そして右手はプールゾーンなのだが、まだまだ寒いこともあって殆ど誰も近寄らない。
寝湯(チャイルドプール?)は少しは暖かいのだが、体の半分も水に浸からず、空気中に露出している部分が寒くて仕方がないので、これまた誰も近寄らず。
また温浴ゾーンでも、場所によって湯の温度が異なり36~40℃とちょっとぬるめなのだが、やはり36℃では少し冷たいこともあって、暖かい場所に人が密集。
ちなみに上の写真で足を上げてやたらと寛いでいるのはガイドさん。やはり1人乗務の日帰りで数百キロ運転となれば、それなりにお疲れなのだろう。
全体的にややぬるめなので、スチームサウナを往き来して体を温めることに。
ここのスチームサウナは、直接地熱地帯の上に建てられており、天然の蒸気が直接サウナ内に取り入れられている。
およそ温度は50℃、湿度100%とのことで、日本人の感覚では「少しぬるめのスチームサウナ」といった感じでのんびりと入っていられるのだが、欧米人にはこれでも熱いようで、バタバタと出入りを繰り返している。
一度出て行ったフランス人が、一休みしてまた戻ってきて、まだ私がサウナに入り続けていることに驚いていた。
「おぉ!!まだ入っていたの?流石は日本人よね~ あっ…私、熱くてもうダメ。ソーリー!」と言った具合なのである。このフランス人、2度目は1分と入っていなかったのではないだろうか。
全体的にぬるめなので、ついつい長居してしまいそうだが、あっという間に一時間半が過ぎて、出発の時間が迫ってきたので、仕方なく上がることに。
これが冬場で、なおかつレンタカー利用なら、オーロラが出てくるまでのんびり浸かっていたかも知れない。いや露天風呂からオーロラ鑑賞というのも悪くないかも知れない。
そして風呂上がりはやっぱりコレ。
アイスランドのビールはクセが無く、サッパリとした飲み口(但し辛口ではない)で、なかなか美味しいのだが…困ったことに、市販の缶ビールは法律上アルコール度数の低いライトビールしか売られていないのが難点。
もちろんレストランなどでは普通のビールが提供されるのだが…どうも無類の酒好きという国民性から、飲み過ぎ防止のため対面式でないと度数の高い酒は提供してはいけない、という事のようだ。
しかも80年代まではビールそのものの醸造・販売も禁止されていたというのだから、有る意味凄い国でもある。
(但しアクアビットやウイスキーなどの蒸留酒は普通に醸造・販売されていたとのこと。なぜビールだけダメだったのかはよく解らないところ。)
で、風呂上がりにアイスランドの荒涼とした風景を眺めながら一杯飲んでいると、先ほどのフランス人に「日本人ってビール好きだよね~」とやたら感心されてしまった。…と言うか、呆れられていたのかも(苦笑
● ウミガラス料理に挑戦
こうして世界最北の露天風呂体験を終え、アークレイリへと戻ることに。とは言え、何だかんだで帰路も百キロほどの距離があるのだが。
こうしてミーヴァトン湖周遊を終え、一旦ホテルへと戻る。
ホテルのフロントでキーを受け取ると、留守中に電話があったとのことでメモを渡される。
そして部屋へ戻り、荷物を置いて一息…と思ったところでドアがノックされ、鍵を開けてみると、先ほどメモを渡してくれたフロントマンが息を切らしながら「公衆電話は各階のロビー左手に…」とわざわざ案内してくれるではないか。そのためだけに私の後を追いかけて走ってきてくれたのだろう。
何と親切な人なのだろう…と感心していたのだが、改めて渡されたメモを見てみると…何とアイスランド語ではないかorz
フロントで解読して貰おうかとも思ったのだが、メモの下の方に電話番号らしき数字が並んでおり、何となく覚えのある番号で、しかも携帯電話ではなくホテルに連絡してくると言うことは、日本からの電話と言うことはなく、心当たりはおよそ絞られてくるのである。
そして手持ちの資料と照らしてみると…見事に合致する電話番号を発見。予想通りといった感じの相手だった。
直ぐに電話しても良かったのだが、英語での電話はあまり好きではなく、やはり直接対面して話した方が、ゼスチャーや表情などの情報もあるのでコミュニケーションを取りやすい。
そこで夕食に出掛ける序でに、オフィスに顔を出してみることにする。
案の定、用件は翌日の行程に関することだったのだが…詳細についてはまた次のブログで報告することにしたい。
打ち合わせの序でに、「夕食を食べたいんだけども。どこか気軽に入れて美味しいレストランを教えてよ。昨日はRUB23と言う店でシーフードを食べたから、今日は肉が良いかなぁ~」と聞いてみると、「RUB23はもう行ったのかい?。それならSTRIKIDというレストランが良いよ。味も良いし、ビルの5階にあって景色も最高なんだ!港を見下ろしながらの食事は最高だよ!」と大絶賛するので、そのSTRIKIDという店の場所を聞いてみると、わざわざ店が見える場所まで案内してくれるではないか。
(しかし誰に聞いても、アークレイリのレストランで一押しは
昨日訪れた「RUB23」なのである。しかしあの「スシピッツァテンプラ」の印象が強烈で、そんな良いレストランだとも思えないのだが…やはりこの手の店は日本人目線で評価してしまうので、どうしても手厳しくなってしまうのかも知れないが。)
但し外観は古びた商業ビルといった感じ。
階段を上っていくと
おそらく屋上に増築した最上階なのだろう、ガラスを多用した開放的で、落ち着きとお洒落さが同居した素敵なカジュアルな雰囲気のレストランで、「海が見える席が良いでしょう」と海側の席に案内してくれた。
どうやら1人客やカップルなどの少人数客は海側の落ち着いた席を、グループ客には山側で景色は劣るものの広めの席を…と言った具合に案内しているようだ。
窓の外にはアークレイリの港が見え、豪華客船が停泊している。
ここアークレイリはフィヨルド沿いの街なので、その地形的特徴から、外海からは随分と離れているにも関わらず大型の船が入港できるとのこと。
ビールでも良かったのだが、カクテルに力を入れているようなので、今回はカクテルをチョイス。
先ずは「日替わりスープ」
メインディッシュとのセット価格でISK650(≒\470)と随分リーズナブル。
そして前菜には「グリムスェイ産ウミガラスのブルーベリーソース」をオーダー。
ちなみに「グリムスェイ」とは、アイスランド最北端の離島で、翌々日訪問予定になっている。
後で調べてみると、日本ではウミガラスは絶滅危惧IA類のレッドリストに載っている種であるが、世界的にはそこまで危機迫った状態ではなく、国際自然保護連合(IUCN)の分類では「Least Concern」(絶滅のおそれもなく、近い将来絶滅に瀕する見込みが低い種)という扱いで、スズメ、カワラバト、ハツカネズミ、ヒトといった種と同等の評価。
まあ日本では貴重な生物でも、海外では普通に食用にしている…などというのは珍しい話ではない。(例えばフィンランドでは普通に「雷鳥料理」を味わうことができたりする。)
但し味の方は…ブルーベリーソースでかなり強烈に臭みを抑えているのだが、それでも口に入れると、喉の奥でカラスミなどにも通ずるネットリとした臭みが感じられる。
ハッキリ言うと、珍味系の味で、お酒のアテに良いのかも知れないが、好みが分かれると事で、珍味好きなら…といったところだろうか。少なくとも誰にでも勧められる品ではない。(特にお子様には絶対無理な味)
あと筋肉質な海鳥なので、かなり筋があり、これも相当時間を掛けて加熱しているようだが、それでもやはり食べにくさを感じさせる。
なお前菜としてオーダーするとお値段はISK2190(≒\1580)。ISK3690でメインとしてもオーダー出来るが、その場合は少し量が増えるとのこと。
ただ私個人的には、前菜として出されたこの量を食べるのが限界といったところ。メインとしてはオーダーしたくない…というか、一度食べてみれば十分で、二度目は無いだろう。
但し珍味を食べたという意味で満足感はあり、決して食べられないような味であったとか、満足できなかったという訳ではない。
ちなみに前菜メニューには他にもビーフのカルパッチョや、ビーフのTeriyaki、ガーリックエスカルゴ、ロブスタースープなどのほか、寿司やサーモン料理などがあり、価格帯はおよそISK1500~2300といったところ。
そしてメイン。この店は特に形式張った店でもないので、「前菜+メイン」という形式には拘っておらず、メインだけのオーダーも歓迎している様子。
そのためハンバーガー類(但しマクドナルドのような物ではなく、皿に盛りつけられナイフとフォークで食べる)や、パスタ類、トルティーヤなど、リーズナブルなメニューも多く揃っている。
一方で、クジラやラム、サーモン、タラなどのアイスランドらしいメニューも取りそろえている。そのためメインディッシュの価格帯がISK1800~5000以上までと、随分広くなっているのが特徴だろうか。
で、今回チョイスしたのは「豚ヒレ肉と手長海老のペッパーソース」。ISK4190(≒\3000)
正直「アイスランドで豚?」という疑問もあり、まあ肉そのものはデンマーク辺りからの輸入品かも知れないが、アイスランドに来てから、「ラム」や「シーフード」ばかりなので、偶には豚も良いかも知れないという判断。
それにしても、豚肉の中に手長海老を注入するという、調理法には意表を突かれたものの、柔らかいポークと手長海老のコラボは意外に絶妙で、これはなかなか美味しい。
味の方は見てのとおり、想像できるままの味。(良い意味で)
柔らかいお肉はもちろん、ソースも日本人にも親しみのあるステーキソース的な味で、それに付け合わせのポテトやマッシュルームもお馴染みの顔ぶれといった感じで、何となくホッと出来る味。
野菜類なども輸入品だと思われるので、どこまで「アイスランド産」かは解らないが、とにかく「日本人にもお馴染みの味」でちょっと心休まる味なのである。
逆に「スシピッツァテンプラ」の様な“エセ日本食”や、不味い寿司などよりも、こうした親しみやすい味の洋食の方が、何となくホッと出来たりするのである。
それに何気にアイスランドの料理は日本人好みの味付けであることが多く、変に日本風なものを食べるより、普通に地元のレストランで食べた方が日本的な味だったりするのである。
(但し、ジュースとお菓子類に関しては、日本人には到底食べられないような珍妙なモノが多いのでお気を付けあれ…)
こうして北部アイスランド滞在中にしては珍しく平穏な一日が終了。
実はこの翌日・翌々日と、「トラベルはトラブル」を地でいくような厄介なことが次々襲いかかってくるのだが、この段階ではそんなことは露知らず…
<つづく>
撮影機材
・SONY α200 + SONY CarlZeiss T* Vario-Sonnar 3.5-4.5/16-80(24-120)[SAL1680Z] and SIGMA 10-20(15-30)mm F4-5.6 EX DC
・SONY CyberShot DSC-TX5 (CarlZeiss T* Vario-Tessar 3.5-4.6/4.43-17.7(25-100))