※この記事は今から5年前に決行した車中泊による東北の旅の回想になります。
時間の経過により記憶が完全になくなってしまう前に、自分自身のための整理も含めて今回簡単にアップすることにしました。
この年は仕事の関係上、お盆時期に加えお盆前に少しの休みを追加することしかできず、混雑を覚悟で約10日の日程で東北を車中泊で巡りました。
但し5年も前の旅なので、どうしても記憶が薄れている部分が多く、また当時は旅行記を公開することを前提にしておらず、所謂「ブログ用」の写真も撮っていないので、詳細さという点において欠ける部分も多いかと思いますが、ご容赦ください。
尻屋崎を後に、むつ市街地で車・人とも燃料補給を済ませ、恐山へと向かう。
途中に恐山冷水(ひやみず)という湧き水があったので、車を止めてみる。
何でも「1杯飲めば10年、2杯飲めば20年、3杯飲めば死ぬまで若返る」とのこと。
冷たく美味しい水だったので、タップリ喉を潤し、更に車内の空きペットボトルに水を汲ませていただいた。余裕で3杯は飲んでいるので、“死ぬまで若返”った筈である。
そして次の目的地は標高879mの釜臥山。頂上近くの釜臥山展望台まで車で登ることが出来る。
但しこの山は航空自衛隊大湊分屯基地としてレーダーが設置されており、展望台へ至る道も元々防衛庁専用道路つまり私道のようなものであり、条件付きで一般開放されている形になっている。
釜臥山展望台から山頂を望む。
実は山頂まで道は繋がっているのだが、この区間は防衛庁から一般に開放されていないため、遊歩道を歩いて山頂まで登ることになる。
むつ市の市街地を望む。
芦崎と呼ばれる砂嘴。この砂嘴も防衛庁の所有地であり、海上自衛隊大湊地方隊が置かれている。
今日の目玉である恐山・宇曽利湖も見えている。
そして釜臥山を後に、恐山へ。まずは宇曽利湖。
そして湖畔には三途の川が存在した。ただ蜂がぶんぶん飛び回っていて、車から降りることが出来なかった。
そしていよいよ恐山。
そして境内の賽の河原、あるいは地獄と呼ばれるエリアを散策。
無間地獄の看板のある岩。
そして宇曽利湖畔へ。
この湖畔は地獄に対し「極楽浜」と呼ばれている。
しばし宇曽利湖を眺めて過ごしたあと、再び散策を再開。
ふと地面を見ると…
そして最後は境内の温泉へ。
境内には4カ所(但し男のみ、女のみの施設が一カ所ずつあるため、実質的には男女とも3カ所)の温泉があり、無料で利用できる。
ただ真夏の炎天下なので、汗は流しても、汗はかかない程度にザブっと浸かってハシゴし、女性専用の一カ所を除き制覇してきた。
そして恐山を後に、次は大畑ヒバ施業実験林へ。
ここは林野庁の実験林なのだが、全国から集めたヒバのサンプル林や、かつての森林鉄道のレールが残っているなど、なかなか興味深い。
なお写真では分かり難いかも知れないが、左手の林がヒバのサンプル林で、「北海道 江…」(江別なのか江丹別なのか何なのかは不明)と言った具合に、表示されている。
そして実験林の直ぐ横の薬研温泉・夫婦かっぱの湯(有料)とかっぱの湯(無料)をハシゴ。
前者はレストハウスに併設された小綺麗な露天風呂、後者は野趣あふれるワイルドな露天風呂である。
写真はかっぱの湯のもの。無料で、野趣あふれる半面、虫が多く、清潔感にも欠けるので、夫婦カッパの湯とお好みでチョイスするのが良いだろう。
ちなみに夫婦かっぱの湯の写真は無し。当時はメモリーカードの価格が異様に高かった時期で、しかも当時のカメラがメモリースティック対応という事情もあり、何枚もない128MBのMSで回していたので、今みたいにメモ代わりに何でもかんでも撮影出来たわけではないのだ。
そしてこの日最後の目的地・仏ヶ浦へと向かうことにする。
本当は薬研温泉から佐井へ抜ける県道を利用する予定だったのだが、非常に悪路とのことで急遽北海岸を走る国道経由へと予定を変更している。
実を言うと、県道を経由しなかったのは「通行止め」あるいは「誰かに止められた」ような記憶があるのだが、流石に5年も前の話。もう正確な記憶が無い。
そして北海岸の国道を経由した場合、下風呂温泉や本州最北端の地・大間を経由するのだが、これらのスポットは更に5年前の2000年に「函館からのフェリーで大間入り、大間岬に寄ってからバスで下風呂、そして当時本州最北端の駅であった大畑駅から今は無き下北交通大畑線で下北、最後は大湊線で野辺地へ」という行程を辿っているので、今回はパス。ただ素通りしただけとなった。
そして到着した仏ヶ浦なのだが、この日はもう夕方近くで遊覧船の便はない。
仏ヶ浦というのは海岸沿いの奇岩群を指しており、基本的には海上からの見学がベストなのだろう。
実を言うとこの段階で陸上から見学できるポイントがあるか否かの情報は持っておらず、ぶっつけでの訪問となる。
但し最悪の場合、日程を少し変更して明日の午前中に遊覧船で仏ヶ浦を見学すればいいだろう、という多少の余裕も担保していた。
で、国道沿いに「仏ヶ浦駐車帯」を発見。
とりあえず車を止めてみると、遊歩道があるようで、とりあえず歩いてみることにする。しかしこの霧では…という不安も脳裏をよぎる。ちなみに後で知ったのだが、霧がなければこの駐車帯から仏ヶ浦を遠望することができるのだとか。
そしてこの遊歩道は凄い階段を下っていく。正直、帰りのことを考えると不安にもなってくる。後で調べてみるとこの階段の標高差…なんと130mとのこと。
そして延々と続く階段を下りたところが仏ヶ浦。幸いなことに階段の下は霧の外だった。
心配していた「陸上から仏ヶ浦が見えるのか?」という点に関して言えば、とりあえずOK。
もちろん海上から見たらまた違った光景が広がるのかも知れないが、今回はこれでOKとしよう。
仏ヶ浦は大町桂月をして「神のわざ 鬼の手つくり仏宇陀 人の世ならぬ処なりけり」と言わせる奇岩の並ぶ海岸。そしてそれぞれの岩や岩壁にも仏ヶ浦というネーミングに負けない崇高なネーミングが付けられている。
蓮華岩
蓮華岩のアップ
五百羅漢
如来の首
この素晴らしい絶景の中でしばしのんびりと…と思ったのだが、残念ながらもう日暮れが近い。
何しろあの標高差130mの階段を今度は昇らなくてはならない。しかも街灯の類は無いので、日が暮れないうちに国道沿いの駐車帯まで戻らなくてはならない。
丁度、釣りをしていた地元のおばあさん達が「私たちはもう帰るから、兄ちゃんも早く帰った方が良いよ」と言った趣旨の事を話しかけてくれた様だったので、おばあさん達と一緒に階段を昇りはじめることにした。(本当はおばあさん達の訛りが強く、何となくそんな事を言っているように聞こえた、というのが実際だが。)
そして130mの階段を昇りきった頃には既にヘロヘロ。しかも辺りは薄暗くなっておりギリギリセーフである。やはり地元のおばあさん達が居なかったら、真っ暗な中を歩くことになっていたかも知れない。
そして国道338号線を脇ノ沢方面へ向かって走行。しかしこの道、かなりアップダウンやカーブがきつく、既に暗くなっていることもあり、正直かなり疲れてくる。
ちなみにWikipediaによると…
下北半島西岸の佐井村村内区間は入り江毎に厳しい峠越えを繰り返す隘路である。また同村南部からむつ市脇野沢にかけては、かつて道そのものが存在せず、陸上自衛隊第9施設大隊の手によって6年がかりで1977年に青森県道として開通した難所で、昭和末期まで国道としては珍しい未舗装区間があった。
近年も佐井村長後集落付近において大規模な地滑りが発生し、一部片側交互通行の措置が執られた。また、そこから南寄りの佐井村野平(青森県道253号長後川内線との分岐) - むつ市脇野沢源籐城(道の駅わきのさわのやや北側)の区間は冬期閉鎖される。
…といった非常に険しい条件の道なのだ。しかも冬期閉鎖期間は途中の福浦・牛滝の集落は陸の孤島になるため、本州内にありながら下北汽船(当時/現在はシーラインへ移管)の航路が唯一の足となるというから驚きである。更に言うと、この青森~脇ノ沢~牛滝~福浦~佐井航路は離島航路という扱い(離島と同じ補助を受けている)になっているのだとか。
もともと道の駅わきのさわまで走って車中泊という予定だったのだが、そんな道を走り続けるのに嫌気がさしたため、途中の牛滝から内陸へと分け入る県道へ入り、人造湖である川内湖畔にある道の駅かわうち湖へ目的地を変更。
県道に入ると、いきなり快走路に変わりビックリ。地形的なこともあるのだろうが、やはりダムを建設する際に道路も整備されたのだろう。
しかし道の駅かわうち湖へ到着。綺麗で静かなのは良いのだが、道の駅の施設の営業時間が終わっていることもあり、人気が無く寂しすぎる。更に携帯電話も使用不可能ときている。別に治安が悪いという雰囲気ではないのだが、正直寂しすぎる。
それに少しお腹が空いているにもかかわらず、車内に食料がない。更に先ほど仏ヶ浦で散々歩いたのでもう一っ風呂浴びたい。そして明日の朝には下北汽船の脇ノ沢~蟹田航路で津軽半島へと渡りたい。本数のある航路ではないので、一本遅らせると随分時間がロスになる…。
そんな条件を勘案し、更に先に進むことにして、下北半島のちょうど中心に当たる湯野川温泉へと車を走らせる。函館の湯ノ川温泉と同じ名前ということもあり、ちょっと気になっていたのだ。
そして到着した湯野川温泉だが、濃々園というそこそこ立派な町営温泉があるものの、残念ながら休館日。
しかしわざわざ来た温泉なので、どこかの旅館で入浴させて貰おうと温泉街を走ってみるものの、かなり寂れた雰囲気で、旅館はあるものの営業しているのか怪しいような雰囲気のところが多い。
最後は完全に“感”に頼って、一件の宿に飛び込んでお願いしてみると…「ホントはもう入浴は終わってるんですけど、今日は泊まりのお客さんも居ないので構いませんよ。せっかく来ていただいたのですから」とのことで入浴させていただけることに。
泊まりのお客さんも居ない、ということは実質貸し切り。
但し誰も入っていない温泉は温度調節もされておらず、最初は足を付けることが出来ないくらい熱かった。
誰も居ないことを良いことに、少し水で埋めながら、のんびりと温泉を満喫。実はこの日6湯目なのだが、やはり一日の締めくくりにのんびりと湯に浸かれるのは嬉しい。
そして湯野川温泉を後に、川内の市街地へと走る。高校もあるそこそこの街のようなので、何とか夕食にもありつけるのではないかと期待していたのだが、残念ながら飲食店どころか食料品店すら店を開けていない。
仕方がないので、脇ノ沢まで走り、見つけた寿司屋の暖簾をくぐる。店構えだけ見ると場違いな気もしたのだが、定食類も用意されており、地元の家族連れの利用も多い気楽な店だった。
天ぷら定食を食べ、結局市街地から少し外れた、当初の車中泊予定地だった道の駅わきのさわまで走り車中泊。
十和田→尻屋崎→恐山→(大間)→仏ヶ浦→湯ノ川温泉と下北半島の名所を一気に走った非常に濃い一日となった。
<つづく>