久々に色々調べていたら、9N3ポロからROMデータの吸出しとSKCとかが格納されているEEPROMの吸出しがうまくできたので、備忘録がてら載せておきます。
試してないですが、書き換えもできるかと思います。
ついでに、マップエディタも紹介するので、ポロをお手軽にROMチューンすることも可能です。
文才はないので、読みづらいことと思いますがご了承ください。
まず、日本のポロ9N3のGTiにはボッシュのECUが搭載されています。
このボッシュのECUが世代というか、バージョンが複数あり、それによって通信方式などが異なります。
ポロに搭載されているのはME7.5と呼ばれるECUが搭載されています。
これにはエンジンの燃料マップなどの制御系データが格納されているフラッシュ(いわゆるROM)と、イモビのIDやSKC、VIN(車台番号)、走行距離などが格納されているEEPROMの二つのチップが搭載されています。
今回は、どちらも読み取る方法を解説します。
まず、準備するものですが、以下の三つです
KKL VAG RS232Cケーブル的なものとシリアルコンバータ(もしくは一体のもの)
PC(OSはWindows10x64でも可)
読み出しソフト
まず、一番入手が面倒なケーブルですが、VCDSの正規品とか、そういうものでなく、普通のOBDからRS232Cで接続する単純な構造のものです。
物的にはこんなやつです。
https://www.ecufix.com/shop/index.php?main_page=product_info&products_id=181
これとRS232CとUSBのコンバーターとしてFT232RLが使われているものを用意します。
こんなやつです。
https://www.amazon.co.jp/dp/B088K2HKG4
この二つをがっちゃんこしてUSBに変換するんですが、なんで最初からUSBのものを使わないのかというと、内蔵されてるシリアルコンバータが不明なのと、通信できなかった場合、KKL側の問題なのか、USBシリアル側の問題なのか切り分けができないためです。
気にしない方はUSBがっちゃんこ済みアダプタでもいいと思います。
日本のAmazonでも手に入るので入手性はこちらのがいいです。
使えるかは不明ですが・・・
https://www.amazon.co.jp/s?k=VAG+KKL
次にPCですが、こちらはUSBが刺さるPCなら何でも大丈夫です。
こういうレガシー系ハードを扱う際によく問題になる、古いOSじゃないと動かない、的なこともありませんでした。
そして、肝心のソフトウェアです。
まず、最初にEEPROMの吸出しから解説します。
用意するソフトはME7gui1.08.zipです。
下のURLからダウンロードできます(フォーラムに登録しないとリンクが見えません)
http://nefariousmotorsports.com/forum/index.php?topic=1168.msg141054#msg141054
中身のME7gui.exeを起動すると、パラメーターを設定できるので調整します。
ポート番号は各自環境に合わせて、レートは10400、バージョンは1.31、SKCにチェックを入れると、プロンプトの最後にSKCを表示してくれます。(ただし、これで読みだしたSKCを使ってもVCDSでログインを掛けることはできませんでした・・・)
ケーブルをつなぎ、車両をイグニッションに入れます。
あとはDO IT!をクリックすれば、自動的にプロンプトにコマンドを入れて、実行してくれます。
最初うまく読みだせなかったのですが、イグニッションに入れてから読み出せるタイミングがあるようなのと、一度タイミングを外してエラーを出すとイグニッションを切ってから入れ直さないとずっと失敗するようです。
うまくいけば読み出しが始まり、ファイルとしてEEPROMデータが保存されるので、あとは煮るなり焼くなり好きにできます。
同じソフトで書き込みもできるようですが、Bootmodeに入れる必要があるなどハードルは高いので、今回は触れません。
ECUのケースをばらして、特定の場所を短絡させながらECUの電源を入れる必要があるようです。
http://www.nefariousmotorsports.com/wiki/index.php/ECU_Boot_Mode
次に、ROMデータの吸出しです。
こちらはOpen Source NefMoto ME7 ECU Flasher and Data Loggerというソフトを使用します。
http://nefariousmotorsports.com/forum/index.php?topic=12861.0
EEPROMの方と同じく車両につなぎ、イグニッションに入れて、Connect Slow Initをクリックします。
うまくつながれば、ECUの情報が表示されると思います。
吸出しを行うには隣のKWP2000 Flashingタブに移動します。
Choose Memory LayoutでME7 29F800BB.MemoryLayout.xmlをインストール先のディレクトリから選んでください。
Full Read Flashで、車両からROMデータの読み出しが始まります。
そこそこ時間がかかるので気長に待つ必要があります。
完了すると、ROMデータの保存先を聞かれるので、適当な場所に保存しましょう。
これで、読み出しは解説終了です。
次に、データの編集です。
吸い出したROMデータをいじるには専用のマップエディタが必要です。
一番コストがかからず(というか無料で)使え、お手軽な方法はTunerProを使う方法です。
https://tunerpro.net/downloadApp.htm
もし、本格的にROMチューンをするなら、高機能でお高いWinolsという選択肢もあります。
https://www.dyno-chiptuningfiles.com/winols-reseller/winols-software/winols5-new-user/
今回はTunerProでROMデータを読み込むところまで解説します。
まずは先ほどのリンクよりTunerProをインストールします。
ROMデータを弄った経験がある方ならわかると思いますが、ECUをマップエディタで編集するには、バイナリデータのどの部分がどのデータになっているかをマップエディタ自身が解釈するための定義ファイルが必要になります。
自分のECUは06A906032TLだったので、これ用の定義ファイルを用意します。
https://www.ecuconnections.com/forum/viewtopic.php?f=25&t=69638
ファイルはこのフォーラムにあるのですが、ここは登録をし、さらにフォーラム内で自己紹介投稿をしないとダウンロード権が与えられないので、少し面倒です。
ただ、権限の付与は自動だと思うので、フォーラムの指示に従って、指示された場所で簡単な英語で投稿するだけでいいと思います。
定義ファイルが手に入ったら、TunerProを起動し、FileのOpen Binから吸い出したROMデータを読み込ませ、XDFから入手したXDFファイルを読ませれば、データの編集が可能になります。
チューニングについては、同じME7系ということで、こちらが参考になるかと思います。
https://s4wiki.com/wiki/Tuning
最後に、チェックサムの修正について書いておきます。
ROMデータを編集すると、チェックサムが変わるので、これを修正しないとECUがROMデータが破損したと認識し、エンジンがかからなくなります。
そのため、書き換えたデータのチェックサムを修正する必要があります。
チェックサムを修正するにはいろいろ方法があるんですが、一番お手軽と言われているTunerProのプラグインを使う方法はRSAシグネチャの修正ができなかったのでme7sumを使用します。
http://nyetwurk.github.io/ME7Sum/
チェックサムに異常がないか点検もできるので、車両に書き込む前にチェックするといいと思います。
あとはOpen Source NefMoto ME7 ECU Flasher and Data LoggerでECUに書き込むことができると思います。
なお、EEPROMの書き換え、書き込みは、イモビやらSKCやら走行距離が絡むのと、書き込みにBootmodeを使うのにケースをバラす必要があったりと難易度が高く一般向けじゃないのでスルーします。
色々とお疲れさまでした。
最後に、自分は読み込みとマップエディタでの書き換え、それによるチェックサムの変動と、me7sumでの修正が可能な点までしか確認しておらず、車両にデータは書き込んでいないので書き換えがうまく出来るかわかりません。
多分そのうち試すとは思いますが・・・
なので、もしやって、ECUがブリックしても責任は取れませんので、やってみる方は自己責任でお願いいたします。
将来的には各自チューニングしたROMデータが出回って、色々と試したりできればいいですよね。