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2012年12月02日

ジェネレーター強化及びヘッドライトの高出力化「30W×2(60W)」(モンキーBAJAの作業・No.4)

ジェネレーター強化及びヘッドライトの高出力化「30W×2(60W)」(モンキーBAJAの作業・No.4) 【内容】

 ジェネレーター強化及びヘッドライトの高出力化「30W×2(60W)」
 (ステーターコイルの巻き直しによる発電能力の増加及び最適化)

 『作業日・平成23年6月5日』




作業の目的

 原付などの小型バイクは、車体が小さい事で必要最少限のヘッドライトの光量や、電装系の簡略化によって発電能力が小さくなっています。
 そこで、大型二輪車並の光量(H4型の55/60W)クラスのヘッドライトの電力や、ハザード及び計器類の充実化に伴う電力の増加に対応することを目的に対策を行います。

◎平成27年5月4日現在、Flモンキーのジェネレーターを強化して取り付け、160W(3000rpm時)の発電能力を得て、ヘッドライトをH4型55/60Wの2灯仕様「合計バルブ容量110/120W」へと変更しております。

 (掲載ブログ)
 ・モンキーBajaの作業日記No.34

現状の確認

 ・純正のローターを外します

*6極のステーターコイルと、フライホイールの内側には磁石の数が6個見て取れます。

 ・ジェネレーターを拡大

*ジェネレータの極の数は6個と磁石の数とコイルの極の数が同じなので単相交流発電機であるのが見て取れます。
 (*三相交流発電機は「磁石は2個に対しジェネレーターの極は3個の組み合わせ」となります)


ジェネレータの作成

・これから「強化ジェネレーター」を作成します。

・発電容量を増加する根拠については下記に記載しておりますので、記載のとおり6極から8極仕様へと変更したいと思います。

*ジェネレータとフライホイールはセットで使用しますので両方とも購入します。 

 
(フライホイールは左が強化用・右が純正用)
*ジェネレーターの極数が8極のため、フライホイールのマグネットの数も合わせる必要があります。 (*単相交流発電機のため)
 
・エナメル線を巻き変えるため元のエナメル線をばらします。
 
(元のエナメル線は再使用しませんので処分します)

・エナメル線を巻きました。
 
(エキサイターコイルから見て「右側3極がDC系」「残り4極がAC系」)

・比較写真、左が強化用・右が純正用



巻き方について
 
 ・AC系は7極のうち、4極を使いました。また、使用したエナメル線(マグネットワイヤー)は耐熱仕様のポリアミドイミド線(AIW)を使用しました。
 (サイズは1.0mmφで巻数は250回)

 ・DC系は残り3極を使用しました。また、使用したエナメル線(マグネットワイヤー)は耐熱仕様のポリアミドイミド線(AIW)を使用しました。
 (サイズは0.8mmφで巻数は270回)

 ・車体に取り付けます



容量調査のため、純正のジェネレーター発電容量を調べてみる

・調査の結果、今回のモンキーBajaは、AC系のみの回路で、約72W(4000rpm以上)の発電容量であり、1極あたり約15W(4000rpm)の発電容量となります。
 なお、6極のうち1極は点火系のエキサイターコイルですので、電装系に使用出来るのは5極となります。

 ※当該ジェネレーターの発電方式は単相交流発電方式です。
 また、カブやモンキーなどのバッテリーを搭載しているタイプや、XR100モタードなどはバッテリーレスであっても、AC系及びDC系の共同使用タイプのは、合計で使用できる容量は約50W程度となります。

 *エナメル線(マグネットワイヤー)のサイズ1.0mmΦの最大電流6.0(A)
 *発電方式の詳細につきましては、「下記の関連の作業について」を参照ください。


必要とする電力の計算

 ・ヘッドライトや計器類の充実化に対応するため、常時消費される電力の事を考えて、負荷設備形態を考慮し、個別に計算してみます。
 (※発電形態の最適化のため、ヘッドライトとブレーキランプ類の灯火器類はAC方式の電気で!それ以外の電装類はDC方式の電気で計算します)

 (AC系の負荷)
 1.ヘッドライト   30×2=60W
 2.テールランプ   5×1= 5W
 3.ブレーキランプ 15×1=15W
 __________________
  ( 小 計 )          80W

 (DC系の負荷)
 1.バッテリー充電用   = 5W
 2.計器系          =15W(計器や表示器を含む)
 3.ポジション    2×2= 4W(LED化・ウインカーと併用)
 __________________
  ( 小 計 )          24W
 __________________
  ( 合 計 )         104W
 (※DC系で常時使用しない回路(ウインカー)は除く)


純正のジェネレーターでの検討

 *純正のジェネレーターのコイルは、AC系とDC系の共用使用なので、エナメル線の太さによる最大使用電流値の関係で、本来持っている能力が低くなっています。
 そこで、コイルの使用形態を換えて発電能力を向上し、発電容量を本来持っている発電能力に近づけるように改善した状態で計算してみます。


1.コイルの使用形態を変更し得られる容量は?

 ・AC系とDC系を個別のコイルにすることで得られる容量は約30%の増加です。


2.コイルの巻き方で得られる容量は?

 ・コイルの巻き方を緻密に巻き、変換効率を向上させる容量は約5~10%の増加です。
 (純正のコイルの巻き方は、機械巻きのため巻き方が荒く、コイルの巻き方を緻密に巻けば密度が向上する分効率があがるため)

 *純正のジェネレーターを個別に巻き替えるのと、レギュレーター関係をAC系とDC系を個別化して効率化をおこなった場合の容量を計算します。

 ・改善後の容量=72×1.4=100W(40%の増加で試算)

 ※計算の結果、必要とする電力「104W以上」にならないため、純正のジェネレータでは容量が不足します。


発電容量を増やすには

 ・同系統のエンジンを調査するとプレスカブが8極を使用しているのが判明しました。

 (単純に計算すると!)

 発電容量=(8−1)×(15×1.2)=126W

 ※(公式の内訳)
 ・発電容量=(合計の極数−使用できない極)×(1極あたりの発電容量×効率化による増加分)

 1.合計の局数
   ・全ての極

 2.使用できない極
   ・エキサイターコイルや形状的にコイルを巻けない極

 3.1極あたりの発電容量
   ・巻き付けることができる1極あたりの発電容量(純正換算による発電容量)

 4.効率化による増加分
   ①・巻き密度の精緻化による変換効率の効率化上昇分(10%増)
   ②・極(ボビン)形状へのコイルを巻ける空間を追い込む事での効率化上昇分(10%)
   ※(対純正品コイルの巻き方による換算係数)

 必要とする電力「104W」以上となりました。
 これで発電能力の目途がたちました!

 ※そこで、クランクのパーツ番号を調べてみると、プレスカブとモンキーBajaのクランクは同じ番号であるのが確認できましたので8極のプレスカブのフライホイールとジェネレーターを使用する事に!
(部品番号)
1.フライホイール=31110- GAC-701
2.ステーターCONP=31120-GAC-703

 
発電効率を高めるための検討

 ・エナメル線の巻き替え方について、以前「モンキーBaja純正」は、AC系のみでしたが、今回はAC系とDC系を別々に巻く事にしました。

 (理由として)

 (1).上記の「コイルの使用形態を変更することで得られる容量」が向上する。

 (2).バッテリーが小さいため、アイドリング時に発電能力不足から来るバッテリーからの電力の消耗を抑えたい。

 (3).DC系の発電能力の余裕を確保したい
   (上記について考慮し計算すると、低回転時(アイドリング時)に電装の全部をDC系で統一すると、28%の発電能力が不足し、AC系とDC系を個別に独立し作成すると12%の余力が生まれる事が解りました)
   (アイドリング=2000rpm/発電能力の60%で算定)

 (4).AC系とDC系を独立することで、巻き線が傷んだ場合の影響範囲を限定出来る。

 (5).アイドリング時にDC系の余力があれば、バッテリーが傷んで機能しなくなっても、エンジンさえ回っていれば計器系の使用が可能となる。(バッテリーレス化も可能)
  (また、バッテリーに並列にコンデンサーが接続されていれば安定性が更に増します)


DC系で統一した場合、バッテリーの消費電力の状況

 *ライト系もバッテリーから供給を受けた場合のバッテリーの容量に対する充電や放電などの状況について
 
  (1).エンジン停止中の時は約20分の容量

  (2).エンジンがアイドリング中の場合で約3時間の容量

  (3).4000RPM以下の回転で走行していてもバッテリーには充電されない
     (バッテリーの容量を消費しきったら終わり!)


 ・AC系の発電能力を計測します。



発電容量の計測の結果
 
 ・メーターの読みで(13V・5.3A=68.9W)と発電能力が確認されました。(ヘッドライト60Wとテールランプ10W)で点灯確認。

 測定の結果、下記のとおり1極あたりの発電能力が確認できました。

 ・18W = 3000rpm以上
 ・20W = 5000rpm以上

 よって、エキサイターコイルを除く7極の合計出力は

 18×7=126W
 (但し、7極のうち2極は若干小さいため(1極あたりの発電能力を0.8で換算)ですので実質的に約120Wとなりました。

 ※換算係数の内訳
  ・1極あたりの磁力線が通過する事ができる鉄心の表面積

 (個別出力の計算)

 (AC系)
 ・68.4W = 3000rpm
 ・76.0W = 5000rpm以上

 (DC系)
 ・50.4W = 3000rpm
 ・56.0W = 5000rpm以上


今回使用したマグネットワイヤーについて

 ・マグネットワイヤー(エナメル線)は純正使用されていると思われる線材(ポリエステル線155℃)より耐熱性がある(ポリアミドイミド線(AIW)220℃)で絶縁被覆も強度と耐薬品製のある線材を使用しました。


 目的は、AC系の負荷率が95〜120%となるため、ジェネレーターの巻き線に掛かるエンジン熱に更に自己過熱も含まれるのと、作成後ワニス処理(巻線間の充填処理=放熱性及び振動特性の向上)が出来ないため、過熱特性と振動特性を向上させるためです。

 平成24年4月29日に500km走行後再度コイルを目視したところ、異常は認められませんでした。
 流石と言ったところです。


*《今後の検証について》

 ・当ブログを最後までご覧頂きありがとうございました。
  筆無精な小生につき読みにくかった事があったと思います。
  不明な点や疑問に思った事は遠慮無くお問い合わせください。
  なお、「小型バイクなどのジェネレーターの強化」について、只今検証中です。
  検証や実験について、近々ブログに掲載予定です。
  
  *平成26年2月3日に、純正巻き直しによるジェネレーター強化について、当方のドリーム50に実証試験として施工しました内容をブログに掲載しました。

  ・題名「小型バイクのジェネレーター強化(最適化)に関する実証・その1-1」です。
  ・題名「小型バイクのジェネレーター強化(最適化)に関する実証・その1-2」です。
  ・題名「小型バイクのジェネレーター強化(最適化)に関する実証・その1-3」です。

関連の作業について

・この作業を含む他、ジェネレーター強化を行った内容については、mixiページの「Mt.Bambooの作業場」に記載しました。

URL= http://page.mixi.jp/view_page.pl?page_id=258096

  ・題名「ジェネレーター強化の作り方」です。

  *強化の仕方を目的にあわせ掲載しております。


  宜しかったらご覧ください。


12.【加筆修正履歴】
・平成25年11月13日=一部文章の追加修正
・平成25年11月14日=一部文章の修正
・平成25年11月18日=一部文章の修正
・平成25年12月 4日=11の項目の「今後の検証について」を追加
・平成26年 2月 4日=11今後の検証についての項目に一部加筆修正しました。
・平成26年 2月13日=一部加筆修正しました。
・平成26年 2月17日=一部加筆修正しました。
・平成26年 2月23日=一部加筆修正しました。
・平成26年 2月28日=関連の作業についてを加筆しました。
・平成26年 3月 5日=「純正のジェネレーター発電容量を調べてみる」の項目を加筆修正しました。
・平成26年 4月 8日=ジェネレーターの作成の項目の位置を変更しました。
・平成26年11月17日=「発電容量を増やすには」で「公式の内訳」の項目を追加
・平成27年 5月 5年=作業の目的の項目に一部文章を追加しました。
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Posted at 2012/12/02 19:51:46

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