4台目、ここで人生初の新車。ランエボ9から乗り換えたVWパサート v6 4motion。4motionというのは4wdということです。
エボ9の項でも書きましたが、スポーツ走行から快適グランドツアラーへの趣向の変化の時期でもありました。そして何より初の欧州車領域への進出。この当時はまだ走りについては日本車勢に比べると、ドイツ車がベンチマークになるのだろうなと感じていた時期でもありました。
この車を買うに至った経緯ですが、まずは私の用途的に旅行などを含めて長距離移動が多くなったのと、人を乗せて走る機会が増えたことがありました。やはり長距離を快適に移動できることが必須条件で、また一度国産以外の車に乗ってみたいという気持ちから国産は選択肢から外れ、そしてこの時DSGなる変速装置に個人的に憧れがありまして、MT同等のダイレクト感、シフトダウンでのブリッピング機能など、おや、こんな機能が実現されているならわざわざMTである必要もないじゃないかと思った時期でもありました。メルセデスのCクラスも発売されたばかりで、選択肢に挙がったのですが何か特別私を惹きつける性能に関してはこちらのパサートが勝り、そしてこちらを購入するに至りました。
インプレですが、まず納車日に内装の軋み音がものすごいのが印象的でした。ディーラーに聞けばこんなもんですよと、こんなもんだったら衝撃の事実発見となるわけですが、こういうことで対応を求めても延々と何度もトライアンドエラーで時間がかかることは目に見えていたので自分で直すことに。内装の隙間に両面テープをうまく詰めていったらすっかり治りました。発生源の特定で、全て手の届く部分からの発生だったのでチョチョイのチョイと直せました。
いきなり異音の話から入りましたが、本題、まず、第一印象ですが今まで乗ってきた車のバリエーションからそう感じるのも当然ですが、高級感があるなーというのが第一印象。質実剛健でお金を使った作りが随所に見て取れます。エンジンフードを開ければダンパーがついているし、ワイパーはガッシリしているし、ミラーもかなり頑丈そう。むしろ歩行者に当たった時に危険だろうというくらい。ウォッシャー液がミスト状になってでてくるのにも驚き、当時にしてみればオートでバックミラーが防眩してくれることにも感動。ライトもオートでつくし細かいところまで走行に関わる部分はしっかり作ってあるなと思いました。(2016年現在では驚きが少ないかもしれませんが、当時としてはそういう機能の一つ一つが驚きでした。)
この車のいいところはなんといっても、長距離移動が本当に楽ということでした。NA3.2Lエンジンがまたフィーリングから優れたもので、音も良いし、吹け上がりの滑らかさは素晴らしいの一言です。それにDSGという組み合わせにより、エンジンとタイヤが直結している感覚が気持ち良く、変速スピードも激早といって良いレベル。高速道路では本当に余裕を持って走れました。不意の高速減速ブレーキでも車体が左右にフレることなく真っ直ぐにスーッと減速できる。加速する時には、この車、フルタイム4wdではないのですが、リアタイヤにも駆動が瞬時に伝えられて、これもまた矢のように飛んでいく感じで加速できました。足回りについてですが、初のドイツ車だったのですがストロークが大きく、でも柔らかいわけではなく良く動くなーと乗り心地も感心してしまいました。まさに、願ったり叶ったりのグランドツアラーとして求めていた性能を発揮してくれる車でした。
走行性能に関する不満点ですが、一番は坂道発進の際のDSGでした。後退防止のAUTOブレーキボタンが付いているのですが、こいつが曲者。どういう制御になっているのか知りませんが、坂で止まった時だけでなく、通常の道で止まった時にも作動するのでクリープで走ることができなくなります。とこれだけならまだ良いのですが、極低速で走った時、急にこのAUTOブレーキが作動、5km/h以下でトロトロ走っている時です。このAUTOブレーキによる急ブレーキが作動。ガクッと止まる現象が多発しました。正直安全性を考えてみると後ろの車に追突されかねない酷い機能で、坂道後退防止ブレーキは常にOFFにせざるを得ず全く役に立ちませんでした。むしろ明るみになってませんが完全にリコールだと思いますね。
それと超低ミュー路面、すなわち滑りやすい凍結路面でのことですが、ごれも5km/h以下で走っていた時のこと、ABSが5km/hくらいまで停止をサポートするのはいいのですが、5km/h以下になるとおそらく車が停車したと勘違いするのか、ABSが動作を止めてタイヤが完全ロックします。急にロックするので制御不能になる時間がどんなに慣れても0コンマ数秒発生するわけで、これはとても危険です。私の車が悪かったのか、車速信号の問題があっただけなのか、この辺り安全に配慮して色々テストしているvwだと思っていたので残念でなりません。また、DSGですが、シフトダウン時にブリッピングしながらダウンシフトしてくれるのですが、ダウンシフトに関してはシフト操作をしてからシフトダウンされるまでのリードタイムがかなり長いです。やはりMT車のように自由自在にシフトチェンジして走るような走り方はできないなと残念な点です。
内装については、vwはシートが私には合っていたのか、サポートもしっかりしていて硬さがあり沈み込むこともなく、疲れにくいシートでした。本革もとてもしっかりと裁縫してあり、シート作りに対する意気込みを感じました。また、スイッチ類もこの車についても走行に必要な物は必要な場所に設置してあるという、安全にも配慮してインパネ周辺も作り込んでいるのだなと感心する部分でありました。
ただ、インパネに確かおそらく本物のウッドパネルがはめ込まれていたのですが、これはベニアに色を塗っただけの安っぽい感じがしました。またプラスチック部分もクッション入りのものでなく、これも残念な部分です。
それ以外は広大なラゲッジルームに長尺物も入るトランクスルー機能、ガッシリ作られたシート類、前左右くまなくカバーされるエアバック、リアシートの足元のスペース、同乗ゲストからの評判も上々で満足でした。
この車も特に不満があったわけではないのですが、次の車、プリウスに移ることとなります。車格は下がるのですが、当時ガソリン代が上がり始めていたことと、プリウスには賛否両論ありますが、ああいう流線型の空気抵抗を減らすためにこうなりましたというような合理的フォルムには個人的には美しさを感じたことと、内装の先進性、一番の決め手は自動追随機能のついたオートクルーズの車がほしいと思ったことがありました。4wdもいらないし、車両の大きさももう少し小さい方が良いなと思っていた頃です。DSGは長距離にはとても良い変速機だと思いますが、チョイノリではこの当時のDSGは発進がギクシャクして気を使う必要があり乗りにくいという総評です。プリウスはその点、天下のトヨタ様が日本の道に合うようにセッティングしてあるだけあって、チョイ乗りの利便性は素晴らしいものがあります、というのは次の項になりますが、パサートのように、ずば抜けた能力ではなく高い平均値でまとめられた車は時の流れとともになかなか中古としても厳しい生存競争を迫られるのだろうなと思うところです。
新車で買いましたが、期待ほど売値は良くない車でした。でも安全に何万キロも自分や家族、友人を運んで楽しませてくれたことを考えると買ってよかった車です。