まだ雪も残る4月初旬。
休みの朝に妻と朝食を摂っていた時のこと。
普段、車に関心のない妻が中古車のチラシを見ながら言った。
『最近は軽自動車も高いね。そう言えば今までで一番楽しかった車って何?』
その時は少し間があってから『全部』と適当な答えを返したと記憶している。年齢的にも、それなりに車歴を重ね一台に絞れなかったと言うのが本音ではある。
それから日も経ち夏も近づく6月の仕事帰り。ふとその時の会話を思い出した。一台一台思い出しながら色々な思い出が甦える。そんな時、頭を過ったのがja11である。
正確に言うと自分の車として所有はしていない。
妻が子育てを終えて働きに出たい。その時の通勤用に買った車である。
その時に決めた理由は単純である。
"安くて小さなボディー、小回りが効き、冬道も安心、所詮通勤と買い物くらいだし"
当時は決してジムニーじゃなきゃいけない。とか欲しかった。などと言うことは無く、あくまでも道具として。だけの理由で購入を決めた。
そんな一台である。
その錆びたシルバーのja11は4年ほど乗っていただろうか。日を追うごとに妻や子供たちにとって愛着が湧く存在になっていた。2ドアクーペばかり乗っていた僕の車には見向きもしないくらいに。
思い出も沢山ある。
小さなボディーに家族4人乗り込んで最低限の荷物だけ積んで『狭いね』と大声で笑いながらキャンプや旅行にも行った。
近所の人が雪道に抜かっているのを引っ張り助け、子供たちのヒーローにもなった。
僕が仕事から帰ると妻が知り合いからパイプバンパーを貰ったと試行錯誤しながら自分で取り付け作業していたりと。
思い出すとキリが無いが走ること以外にも楽しいがいっぱいあったな、と。そんな妻のja11ではあるが最後は停車中のja11に脇見運転をしていた車が突っ込み廃車になった。幸い怪我なども無く不幸中の幸いではあったのだが、妻や子供たちの寂しそうな顔は今も忘れない。子供たちも成人になり家を離れ、僕も歳をとったからだろうか。そんな事を思い出しているうちにja11がとても気になりだしたのである。
そして7月に入る頃、僕の中の気持ちが動いた。
そして妻に切り出してみた。
『ja11を買おうと思うんだけど』
妻は一瞬、驚いた顔をしたようにも見えたが
『二人してジムニーも楽しいかもね』と笑った。
つづく。
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ソレユケジムニー | 日記
Posted at
2023/01/17 20:49:14