「たまには夕飯おごってやるよ」
マジで?
「嘘だよバーカ」
岡田くんに殺意沸くエイプリルフール。
このやろー。いつかお前をぎゃふんと言わせてやる。
「ぎゃふん」
あん?
「ぎゃふんと言ったぞ。良かったな、願いが叶ったじゃないか」
岡田くんに言葉も出ない4月1日。
ぎゃふん…。
おごりはともかくお腹は減っていたので、二人でラーメン屋へ。
お店に入ると「いらっしゃいますぇー」と独特な発音で出迎えてくれるおやっさん。
「思うんだけどさ、一口に嘘と言っても色々あるよな」
ラーメンをズビズバ啜りながら、唐突に岡田くんが呟きました。
「嘘って言葉は、どうしても悪いことのような響きがあるけどさ、善意からの嘘もあったりするじゃん?」
まぁ、嘘も方便というしね。
「それに、自分自身への嘘もある。あ、このチャーシュー美味い」
オレのチャーシューはあげないぞ。
んで?
「例えばお前のようなチャーシューもくれないケチなナルシストはともかく、ほとんどの人って自分の嫌なところってあると思うんだ」
ケチなナルシストってひどくないか。
「理想とする自分がいて、褒められたい自分がいて、誰かに気に入られたい自分がいて、そんな自分を演じたりっていうのは誰しも経験あることだと思うんだ。その“演じる”ってことも、嘘であることには変わりないよな」
ふむ。
「もちろん、演じることが一概に悪いことではないと思うんだ。例えば善人を演じてるとしても、結果良い行いをしてるのなら、それはそれで良いことだと思うし、なにより演じてるうちにそれが素になってさ。いつのまにか本当の善人になってたりとか。そういうこともありえたりするよな。」
大丈夫だ。お前は自分で思ってるより結構いい奴だよ。
「そうか」
だからってチャーシューはあげないぞ。
「ケチんぼめ」
なんとでも言え。
ラーメンも食べて岡田くんと久々に遅くまで飲むことに。
「あーもう帰るのめんどいな。今日お前んち泊まってくわ」
またエイプリルフールか。そんな嘘にはひっかからないよ。
「いや、もうエイプリルフールは終わった」
時計を見ると4月2日0時20分でした。マジか。
「もちろん君のベッドは今夜俺のものだ」
なんでやねん。
っていうのは全部夢でした。
4月2日の朝は岡田くんにベッドを蹂躙されることもなく、きちんと自分のベッドで目覚めました。やったね!
という夢を見ました。
4月2日、朝起きると、残念ながら岡田君は私のベッドでいびきをかいてました。
私のベッドで幸せそうにいびきをかく岡田くんを見ていると、ソファーで寝ていた私は殺意の炎がメラメラと。
しかも用事があって9時には家を出る予定だったのに、岡田君は9時になっても起きる気配がありません。放置していくわけにもいかないのでどうやって起こすべきか考え「寝耳に水という故事に倣って、耳に水でも入れよう」と思い、コップに水を注ぐと唐突に岡田君が起きあがりました。
なんだ、起きてたのか。
「うん、起きてた。あなたが私にヘンなことしないかどうか見張ってたのよ。ウフフ」
やっぱり水を耳に注ぐべきだったと激しく後悔しました。
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Posted at
2017/04/02 21:07:59