目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
中級 |
作業時間 |
3時間以内 |
1
元々キャリパーは頻繁に取り外す事を考慮してないが故に、OHや修理等で取付け取外し繰り返すことでのダメージの積み重ねによるネジ山の劣化に加え、前回取り付けたのは自分では無いので、その際無造作に作業されたダメージもあり。ということで先日キャリパー新品に交換した際に、だいぶ前に自分で外した時よりも明らかに状況が悪くなってた事に気づいていて、雌ネジが噛り気味になっていた。その際は応急的にタップだけ通して対処したが、規定トルクまで締め上げようとすると舐める様になったので本気でヤバい事になる前にDIYでヘリサートでリコイルすることに。
ちなみにボルトはSC材もしくはSCM材の焼入れで引張強度降伏点が560MPa~900MPaほどだが(強度区分による)、このM4の様に雌ネジ側にタップ立てる構造の場合は雌側素材の強度で適正トルクは決められる(熱処理でも大きく変わる)。言い換えると欲しい締結力が得られるように素材強度見ながらボルトサイズは決まっている。特にアルミや鋳鉄などは、ボルトよりも強度が低く負けるので最初からヘリサート入れる場合もある。ちなみに純正のボルトは10.9の強度区分=降伏点900MPaのM14 P1.5(細目)。ナックル側の正式な素材と熱処理レベルは正確に判別できないが、経験上こういった事象から何となく分かるし、いずれにしてもボルトが10T級なので雌側にダメージが蓄積し易いし、この部位はホイールボルトの様に頻繁に外す事を考えて無いので繰り返しの耐久性など深く検証してないでしょう。ということでリコイルの良いところは常に擦れが生じるボルト面に対して基材とリコイルの間は固定されて基材が摩耗する事が無くなるのでダメージがほぼ無くなるし、スレッドへの圧も均一化されるので負担が減る。もちろんオーバートルクは厳禁。将来ヘリサートのボルトとの接触側が摩耗したら再度リコイルすれば直る。
うんちく前置き長くなりましたが、そんなこんなで左右全てリコイルして補強することに。
2
下穴(キリ14.5mm)開けようか迷ったが、リコイル社のパイロットタップで安全に行くことに。場所的に下穴開けるのは軸ブレも恐いがドンツキ構造故、パイロットタップだけでは必要な深さまでネジが切れないので、普通のタップで追い切りして深掘りする必要がある。ボルトの噛込深さは35mmなので、そこまではタップ立てる必要がある。詳しく言うと、奥まで径を拡大しておかないと、元のM14のネジ山が奥に残ってしまい、ボルトが奥まで入り切らず先端が齧ってしまうから。
ちなみに、今回は追切用のタップは真面目にMade in Japanのヘリサート用を選択したが、ヘリサート用のタップって特殊なタップが故に高額。M14 P1.5のヘリサート外周タップって実測M16 P1.5と同じだと思うんだが。。標準タップのM16 P1.5って使っちゃダメなのかなぁという疑問が。。
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追切は#2→#3まで使い、ドンツキ奥ギリギリまでタップ立てした。実測38mmくら切れたので必要ストローク確保。ちなみに標準ヘリサートの長さは1.5D(直径×1.5倍)だが、今回はできるだけ負荷低減のために2Dサイズを取り寄せたので、更に安全率は増したと思う。
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ヘリサートの挿入は慎重に、専用工具でねじ込む。ここで横着するとビヨンビヨンに伸びて歯飛びするのでちゃんと説明書に従い工具(治具)使ってゆっくり挿れる。
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半分くらい入れた状態。
ヘリサートはスプリング効果で縮ませながら入るので、その反力で壁面側へ押されるから、一旦入れると抜けることは無い(抜くためには専用工具が必要)。ちなみに一番奥の横棒がガイドピン。これに専用工具を引っ掛けて回していく。挿入完了したらこのピンは叩くと折れるようになってるので、ピンセットで折れたピンを撮み出して完了。
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完了の画。入れすぎに注意。表面から半山くらい入った所で止める。
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ボルトもクロメート処理の物に新調。何故かドイツ製。日本ではクロメート処理の細目高強度ボルト=強度区分10.9の品が見当たらず。ワッシャーはリブドロック使用。
8
もちろん規定トルク160Nmでガッチリ締結できる。締め込む時の感覚としても格段と強度UPした感じ。以前よりも繰り返し締結にも耐えられると思う。
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