格調高かった1964年東京オリンピック

　　　最近、東京にオリンピックをという誘致運動がまた活発になってきた。東京オリンピックは過去に一度開催されている。今から約半世紀も前の1964年の話である。実は小学生だった私はそれを経験している。もちろんテレビ観戦だったが、丁度カラーテレビが世に出始めた頃で、自宅ではなく父親の勤務先の病院に置かれてあったのを観に行った。そこには晴れ渡った青空と日章旗が映し出されていた。


　　「世界中の秋晴れを全部東京に持ってきてしまったような、素晴らしい秋日和でございます」という実況中継に引き続き、あの東京オリンピックのマーチが開始される。この曲を聴くと今でもジーンと来てしまう。


　　「心も浮き立つような古関裕而作曲のオリンピックマーチが鳴り響きます」







　先頭のギリシア選手団に始まり、長い各国の入場行進のしんがりは真っ赤なブレザーを着た日本選手団。何もフェラーリばかりが赤ではなく、本来、日本の日の丸こそ赤、すなわち日本の赤なのだ。



　　そして、航空自衛隊ブルーインパルスによる、大空に描かれた五輪の輪。これを彼らは目視だけで行ったというから凄い。各機の距離は２．１km。米粒程にしか見えない機影で判断する。









　競技も印象深いものが多く、特に日本選手が敗れたシーンは強く記憶に残っている。柔道でヘーシンクに負けた神永や、男子マラソンで国立競技場でゴールまであとわずかなところでイギリス選手に抜かれた円谷幸吉。












　　
　　閉会式もすばらしかった。開会式が整然と入場して来たのとは逆に、この時は各国の選手が入り乱れて入場してきた。これはハプニングだったようだが最高のエンディングとなった。
　1964年の東京オリンピックは今のような大袈裟で派手な演出のない時代のものだったが、実況も含め格調高く、日本という国に誇りを持てる大会だった。








　　今、もう一度東京でオリンピックが開催されたら、それを観た子供らにとって一生心に残るイベントとなるであろう。是非実現してもらいたいものだ。