SPASHAN アイアンバスター7 濃いかな、Yes! 濃いじゃない、Yes!  

鉄粉除去剤の濃度は重要、とある識者は説いています。別の識者は、性能に濃度はあまり関係ない、と喝破しています。
本当に濃度は関係ないのだろうか、あるいは、反対に、濃度を上げればよいのだろうか、と懊悩煩悶となります。化学の視点で、鉄粉除去剤を考察してみます。
鉄粉除去剤は、おおよそ、以下の反応によって紫色の水溶性物質に変化しています。
Fe2O3 + 6（HS-CH2COO- NH4+）→2Fe（S-CH2COO- NH4+）3 + 3H2O
（注）見やすくするために、S-CH2COO- NH4+を●と書き換えます。
Fe2O3 + 6（●）→2Fe（●）3 + 3H2O
酸化鉄のFeとOの結合が、FeとSに置換されるシンプルな化学反応です。
あくまで酸化鉄がターゲットとなっており、鉄ではない点が面白いと思います。
特殊環境がなくても自然に進行する化学反応であれば、確率論として、分子同士が出会う頻度を上げれば、より大量の反応が起こると推察できます。
方法は、2つ考えられます。
第一に、酸化鉄と接触する部位の薬液濃度を高くすることです。酸化鉄は、ホイールの広範囲に飛び散っていますので、単純に濃度が高いだけでは駄目で、広範囲に散らばる性質も同時に求められます。ゲルは、広範に飛び散りにくく、そこが不利です。一方でサラサラの液では、高濃度でも直ぐに流れ落ちてしまいますので、反応がピークを迎える前に不完全燃焼となってしまいます。
第二は、接触時間を上げることです。低濃度でも、長時間の接触によって反応は促進されていきます。分子同士が出会う機会が増せばよいと考えることができます。
第一に記したのが濃度依存性、第二が時間依存性の機序になります。私見として、鉄粉除去は、「濃度」と「時間」の「積算」によって進行するという考えです。「高濃度×短時間」でも、「低濃度×長時間」であっても、反応が進むのであれば、いずれでもよいと思います。ただし、低濃度で長時間待つのはストレスになるかもしれません。キレを発揮して、一気に片付くほうが気持ちはいいはずです。
アイアンバスター7に関しては、濃度依存性と時間依存性が発揮するバランスに優れていると思います。異なる物性の同種同効薬をうまく組み合わせることで、さらに効率よく鉄粉――正確には、酸化鉄――を落とせるのではないか、と期待しています。

▼1mLあたりの参考価格（市場実勢価を独自調査、単位:円/mL、ゲルの度合い+）
・Sam’s Detailing Iron Reactor 500mL 6.3++
・Sam’s Detailing Iron Reactor 4L 4.7++
・アイアンバスター7 500mL（2倍希釈）2.9+
・GBS-R 500mL（原液）2.8
・アイアンバスター7 4L（2倍希釈）1.4+
・GBS-R 500mL（2倍希釈）1.4
・GBS-R 4L（原液）1.4
・GBS-R 4L（2倍希釈）0.7

▼整備手帳（予試験等）
https://minkara.carview.co.jp/userid/3429014/car/3238318/7417719/note.aspx
https://minkara.carview.co.jp/userid/3429014/car/3238318/12485702/parts.aspx