パーコレーション。
夏場のドライブはオーバーヒートなんかよりこっちが深刻だったりする。
リターンライン、ベークライトと遮熱板、ひと通り対策はしているが夏場はゴー&ストップを繰り返すとアイドリングがあやしくなる。
映画60セカンズのワンシーンで逃走中にシェルビーGT500のエンジンがカタカタと息つき、止まりそうになるシーンがある。まさにあんな感じ。
止まるとまたたいへんで、熱ダレでセルモーターが回らないことも・・・。
購入は十数年前。今どき燃料冷やすやつとか。
水をためた缶の中を通すだけの仕組みですが、公道復帰できたら、どのくらい有効か試してみたいと思います。
今でも売ってるんですね。しかも結構なお値段。
前にもどっかで書いたネタですが、20代のころの話です。
注)交通違反は犯罪です。実話に基づいてますがあくまでフィクションです。
誤解なきよう・・・って、説得力ないか。
気温が上がり始めた6月半ば、代休がもらえた日のこと。
高速に沿って平行に走る片側2車線道路平日AM10:00。
通勤ラッシュも一段落し、通行するクルマは少ない。
適度な回転をキープしながら、前を行く佐川急便のアルミバンをパスすると目の前が一気に開けた。
目の前の直線道路が囁きかける・・・
開けろ!攻めろ!
続けて悪魔の囁き・・・・・
”オマエ、ここで踏まなきゃいつ踏むんだ?
さらに・・・・
"このォ~、いくじなし!!”
・・・仕方ない、踏んでやる。
”ゴゥッ!”
周囲の空気を丸飲みするようにホーリーの4バレルが大口を開けると瞬く間にメーター読み80マイルを超えた。
ゴォォォォォォォォォォォォォォ~・・・・・・
空気を切り裂く音、窓の外、流れる風景、オイルの香り、それらが五感を刺激する。
路面に塗られた白線が閃光のようにボンネットの下をくぐりぬけていく。
だが、災難は突然やってきた。
ひるんで一瞬アクセルを離したスキに、それは赤いモノを点滅させながら、迫ってきた。
敵との距離は信号一区間あまり。
間にはさっき抜いた佐川急便、その斜め後方にはトレーラーがその巨体をユサユサ揺らしながらハエが止まるような速度で走っている。
県境に近い国道、わずかばかりの上り勾配がつづく。
距離は充分ある。
パトカーと言えども、所詮は実用重視の国産タウンカー。
アリストやスープラのターボ付きエンジンならいざしらず、スムーズさだけがとりえのクラウンの6気筒など、はっきり言って敵ではない。
このまま捕まれば6点減点、いや50kmオーバーなら12点減点か?
とにかく赤切符の一発免停、さらに罰金も悪質と判断されれば二けた万円もありうる。
言い訳にもならないが、若かった勢いもあってそのままアクセルを踏み込んだ。
この先、道路は山あいの峠道を境に燐の県に入る。
たしか管轄外での無理な追尾はしないはず。
峠道に差し掛かるまでの直線で一気にアドバンテージを稼ぎ、そのまま県境を越える!
峠道にさしかかるまでの直線は2kmあまり。その先からは2車線が1車線に絞られ対面通行となる。
峠入り口の信号はラッキーなことに青、横断歩道の信号が点滅しだした。
じきに信号は青から黄色に変わる。タイミングは微妙。
そこを抜ければ県境まで信号はほとんどない。
ハンドルを握る手にも緊張が走る。そして信号は青から黄色へ・・・・
対向車線で右折を待っていたオデッセイがこちらに向かってそろそろと前に出てきた。
マ、マズイ!
鬼気迫る勢いでつっこんでくる妙なクルマにただならぬ雰囲気を感じとったらしい。右折途中で固まるオデッセイ。
かまわず逃げる、とにかく逃げる…
徐々に上り勾配がきつくなり、峠道にさしかかる。
ルームミラーで後ろをうかがうと・・・追ってきてない。
・・・俺じゃなかったのかな??
そのまま県境をなんなく抜け、市街の入り口まで差し掛かった。
そのまま市街地に入ると昼時のためか、昼食を取りに出ているらしいOLやスーツ姿のビジネスマンが目立つ。
交通量も増え、信号で徐々に停滞するように。そして外気温もジリジリと上がりつつあった。
ふと横を見ると手に手に小さなポーチや、財布を持って楽しそうにおしゃべりしながら歩く3人組みのOL。栗色のさっぱりとしたショートヘアに薄いグレーのベスト、半そでからのぞく白い二の腕に思わず目を奪われる・・・にしても、こっちの事を見ようともしない。
ちょっとくらい、こっち向け!
ちょっとアピールしようと、景気よくアクセルを煽った瞬間にエンジンが止まった。
当時はなにも考えず、エンジンルームに電磁ポンプを置いてリターンもなし。
今にして思えば、そんな処理の仕方で問題がないほうがおかしい。
常にアクセルを開け回転を上げ気味にしないとエンストしそうになる。
そんな状態だから発進でもクラッチ操作が荒いとホイルスピン、運が悪ければエンスト。そのままエンジンがかからなければ、その場で立ち往生するハメになる。
後ろからクラクションを鳴らされてあわててキーを捻ると奇跡的にエンジンはかかったが、アインドリングがバラつき気絶寸前。
結果的にOLの視線を浴びることとなったが、これはカッコ悪過ぎた。
次の交差点を左折すれば混みあう市内の中心部を避けられる。その先に大型の商業施設がある。そこの駐車場に入って、エンジンが冷めるまで時間をつぶそうと考えた。
よし、左折・・・う?(汗)
こんなときに限って間が悪い。
交差点の角、今まさに左折するその場所に”やつら”はいた。
人通りが多い市街地の横断歩道、歩行者信号が赤になっても渡る人が多いのだろう。おそらくだが、歩行者信号無視を制止するため立っていることはなんとなく想像できた。
ヘンな動きをする外車が目についたのか、こちらを一瞥。
しばらくして通行人に向き直った。
とにかく先の一件もある。
へんに刺激しないよう、さっさと抜けよう。
だが、左折しかかってこれまたタイミング悪く横断歩道を歩く大群に行く手をはばまれた。エンスト寸前のタイムマシン、ガクガクとぎこちない動きで歩行者の切れ目にクルマを割り込ませるとうまい具合に歩行者が立ち止まってやり過ごしてくれた。
片手を上げて会釈し、超絶半クラでソロリソロリと左折開始。
ここを抜ければ駐車場はすぐそこ(滝汗)
すると信号脇に立っていヤツが、こちらにすっ飛んできた!!?
「歩行者の通行妨害、そこ寄せて!」
減点2。