992カレラの試乗インプレッションです。
前回 718 GTS 4.0 の試乗インプレの際にもお世話になった仲良しの営業さんから今月の初めにご連絡を頂き「スポーツエグゾースト付きとノーマルエグゾーストのカレラ2台を用意するので是非!!」とのことでお伺いしてきました。何故か2台ともガーズレッドで100万弱のエアロキットを装着しています。営業さんの話しによると、エアロキットはPJからの押し付け仕様で、それに500万のオプションを付けてオーダーしないといけないそうです。PJらしいですね (笑)
【試乗車の仕様】
・右ハンドル
・8速PDK
・スポーツエグゾースト付き / ノーマルエグゾースト
・ホイール カレラSホイール (F) 20インチ (R) 21インチ
・タイヤ P-ZERO (F) 245/35/20 (R) 305/30/21
今回も下道と阪神高速環状線を2台乗ったのでたっぷりと計3時間。2台とも走行距離は100km走っておらずエンジン・足回り どちらもまだ馴染みが出てなくて渋く・硬い状態ですが、レブOKとの事で遠慮なく回させて頂きました。
以前、S/4Sの試乗車には何度も乗せて頂きましたが、その時の印象は何度乗ってみても、また外観をイメージしながら乗ってみても「良く出来てはいるが、何の車に乗っているのか判らない??」(みん友のterry997さんもまったく同じコメントをされていました)という印象が変わらなかったので、その辺りの比較インプレも交えたいと思います。
【ネガ】
・ターボ(個人的にNA好きなので・・)
・キーレスエントリー(2021モデルイヤーから標準装備)
ファミリーカーではないので必要性を感じないし、リレーアタック等のセキュリティーにも気を遣い煩わしい。単純にキーボタンでドア開閉、キーを差し込んでエンジンをかけたい。
・ドアノブ形状、キーレスでポップアップ等々、不自然で違和感がある。
・タコメーターのみアナログのデジタル5連メーター。
・シフトスイッチ、操作系
マニュアル、パーキングはボタン式でブラインドタッチ出来ずシフトスイッチ形状も馴染めず慣れる気がしない(私の好きな Janko Lindoさんは納車と同時にポルシェのソックスを被せていました (笑)
・タッチパネル
走行中タッチしにくく扱いずらい。物理スイッチが良い。
【エンジン】
下道での信号ストップ&ゴーの状況で、S/4Sでははっきりとターボラグを感じたが、このベースカレラではまったく感じない。アクセル開度に応じてダイレクトにピタッと応えてくれてパワーの立ち上がり、ピックアップレスポンスもすこぶる良い。
高速走行でも、レブ7,400回転までストレスなくきれいにキッチリ回ってくれ、とても気持ち良い。また、レブまでの回転フィールもS/4Sで感じたターボ特有のトルク・パワーの急激な駆け上がり感ではなくて、あたかも NA自然吸気エンジンのような回転フィールである。
下道と同様にアクセル開度にピタッと応えてくれて、「間違いなく 911カレラに乗ってる!」という気持ちにさせてくれる。
そんなエンジンに仕上がっている。
これらは、S/4Sに較べて タービン径、コンプレッサー径が小型化されていることが起因しているのは間違いない。
【足回り・シャーシ】
シャーシ剛性は高く、991世代より骨太な感じである。
S/4Sでは乗り心地が良く、路面にピッタリ張り付く感覚があったので、このベースカレラにはよりしなやかな足回りを期待したが、下道の不整路面では「コツコツ」と硬さを伝えてくる。高速に入ってスピードレンジが上がるとスムーズになるが、路面の継ぎ目の大きい所ではタイヤが蹴られて突き上げ感を感じる場面がある。
これらは、S/4Sでは PDCC 他の電子デバイス制御が効いているのと、タイヤがS/4Sはグッドイヤーでこのベースはサイドウォールの硬いP-ZERO装着であること、走行距離が少なく足回りの初期馴染みが出ていないこと、ベースのサスは(F)19インチ (R) 20インチでセッティングされているが、オプションの(F) 20インチ (R)21インチにインチアップしている。等々が影響していると思われる。
ただ、この足も1,500km辺りで馴染んでくるだろうし、慣らし完了の 3,000km超ぐらいでアライメントの最適化をし、タイヤをミシュランPS4Sに換装すれば、ほぼこれらのネガはなくなるだろう。
とはいえ、シャーシデバイスに頼らず、RR特有の感じが残っていて コーナー進入では前荷重でターンイン、ステアリングを切り込んでいく時の感覚はシャープでレスポンス良く、姿勢がスパッと変わってくれる あの気持ち良さは「911カレラだな!」と思える瞬間でした。
【排気系】
スポーツエグゾースト付きとノーマルエグゾーストを乗り較べたが音フェチの私的にはノーマルはジェントルで少し物足りなかった。
とはいえ、スポエグのシフトダウン時、アクセルオフ時に出る「パラパラ~」という華美なバックファイアー音が好みではない。
そこで、スポーツエグゾーストシステムの構造・仕様について仲良しのPC工場長に説明頂いたところ、私は大きな誤解をしていたことが判った。
私が好みでない「パラパラ~」音は、スポーツモードのみで出ます。ノーマル・スポーツプラスモードでは出ない。(小さな音で聞えてないのかも?ですが)
スポエグの排気管は左右各2本に分かれて、バンパーの一体パーツであるお飾りのマフラーカッター(楕円形/ひし形/2本出し)の内側に接合されずに存在する。
エキマニ→タービン→触媒から1本で出てきた排気管は2本(2系統)に分かれて、1系統はサイレンサーへ(これがスポエグスイッチ/OFF状態)もう1系統はストレートパイプへ(スポエグスイッチ/ON状態)である。
スポエグスイッチの ON/OFFをバルブ開/閉と表現するのは解りにくい。スイッチON=ストレートパイプへ、 OFF=サイレンサーへ排気整流される。
ここで、なぜ スポーツモード設定時のみ パラパラ音がするのか?私はこれらをタイカンやBMW i8のように擬似音を造音して車内スピーカーから流していると思っていたが、それは間違いで物理的に出ている音であるとのこと。
工場長によると、燃費・環境に影響を及ぼさない程度・範囲で?ガソリンをわざと散らしていて、そのガソリンが排気管・触媒内で燃焼するときに発生する音である。とのこと。
ポルシェ開発陣曰く、「スポーツモード」は音を楽しんでもらうモード、「スポーツプラスモード」はサーキット等のトラックモード、「ノーマルモード」はECOを考え、静かにジェントルに走るモード、として開発されているらしい。
また、バルブはエンジンの負圧ではなくモーターで、ECU設定にてアクセル開度に応じて ストレートパイプ側へ、またサイレンサー側へ排気整流されるように細かく制御されている。
試乗しながら色々モードを切り替え、試してみて、
私なら(私見)「ノーマルモード」スポエグON、「スポーツモード」OFF、「スポーツプラスモード」ON、という使い方が良かったです。
以上。
見慣れなければいけない。。。 使い慣れなければいけない。。。
と、少しのネガはあるものの、それは大したことではなく、
これは 間違いなく 「911カレラだ!」と言える 1台だと思いました。
ps / 皆さんが「当然 知ってるよ!」という内容まで、長々と書いた中にたくさんあると思いますが、どうかお許し下さい。