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若く見られても52歳。もう体力的にも気力的にも最後かもと一念発起して大型二輪免許を10/10に取得。
バイクの多頭飼は安月給のサラリーマンには無理なので、お目当ての中古車大型バイクに買い換えようかと通った全国チェーンのバイク屋。
三度目にフェーザーを下取りに見せたんですよ。
営業の店長、副店長は感じのよい方なんですが。
「キレイですねぇ、大事にしてあったのですね。(今月四万円かけてアレコレ純正部品を交換して、エヘヘ。)
そうですか、それは査定プラスです。本部に掛け合います。…(暫くして)下取りに前例がない珍しい古いバイクです。逆に幾らで取ってほしいですか？と言っても一桁万円ですけど」
一桁って言っても9万円とは言われてないですよ。
…でもね。オークションで48000キロ走った(俺のより程度の悪そうな)同じフェーザーが22万円で最近落札されていた。

嫌、それはいい。
「ではバイクを確認します」
とパワーチェックやらで若いウグイス色のつなぎを着たメカニックが、さっさとまたがってフェーザーを持っていき、セル一発でエンジンをかけたとたん、16000回転のパワーバンドまで延々とブン回しやがる。あの轟音は18000回転までアクセル回してないか？
俺でもいたわってやらないのに。
…ちょっと回しすぎやしませんか？
店長「パワーバンドまでチェックしてます、大丈夫みたいですね」
若いメカニックは無言でアレコレ品定めしながらまだ爆音のフェーザーのエンジンをギャンギャン回し続ける。

自分の娘を勝手に連れていかれて、跨がってギャンギャン(エンジンを)回されて悲鳴を聞いているような、無力感。
悲しくやるせなく、ガラスの向こうのフェーザーを眺めるオーナー。
なんだか一気に冷めました。