難しいとされる合金プレスアルマイトカールリムの修正
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1・・合金プレスカールリムとは
鋳造リムや鍛造リムとは製法が違いアルミ合金をプレス形成したリムを合金プレスリムを言います。
表面は一般的にアルマイトメッキ処理してありますのでアルマイトリムとも言います。
光輝リムで光っていますのでよくクロームメッキと勘違いされているオーナーが多いようです。
特徴として粘り、柔軟性、収縮性があり、その反面、曲りやすい特性があります。昔は1枚リムのみでしたが現在の大口径ホイールの扁平タイヤに耐えられるリムの構造としてパイプ状のモノチューブカールリムが主流となっています。
■写真解説■
リム構造がパイプ状のため曲がった箇所をプレス修正してもリム外周は当然つぶれたままとなります。
つぶれて凹んだ箇所は外周復元の肉盛溶接が絶対必要不可欠となるためプレスのみで直す事は構造上、「不可能」です。
凹んだ箇所に面を合わすためまともな部分を消すリ落とす悪質な修正が削り込み修正です。
削り込み修正とは
http://www.243ok.co.jp/z.,window/kezurikomi.html
解説写真はより判りやすくするため曲ったモノチューブカールリムの断面写真です。
●カールリムの曲り
プレスして内周は旨く出せても、リム外周は凹んだままとなり、裏面リム押し込みが良く解ります。
●カールリムの断面図
ホイールにより多少の形状の違いはありますが、カールリムはこのような構造となっています。
「プレス技術・溶接技術・研磨形成原型復元技術・磨き技術・塗装技術」これら全てが揃ってほぼ完全な修正となります。プロの技、職人の技の「下記作業例」を是非見てください。
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2・・2Ps19インチ合金プレスアルマイトリム(モノチューブカールリム)の修正事例
頻繁に見るアルマイトカールリムの曲りです。
合金プレスリムは鋳造、鍛造リムと違い粘り、柔軟性がありますので少々曲っても割れる事は有りませんが柔らかい分、グニャと大きく曲がってしまいます。
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3・・リムプレス修正の1番のポイント
ディスクから垂直に立ち上がったリムを凸凹にならないようにいかに綺麗にプレス出し出来るかがこの修正の一番のポイントとなります。
その理由はこのホイールは溶接結合タイプですのでリム単体に分解できないため垂直に立ち上がったリム面は研磨できないからです。
何でもかんでの研磨すればよいものではなく、極力オリジナルの肌を残すかが修理の課題なのです。
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4・・リムプレス修正
垂直に立ち上がったリムを重点的に慎重にリム内面を修正機にてプレス(押し出し)をします。
リム内面はほぼ完璧に出しましたがリム外周は当然凹んだままとなります。
リム裏面側のカールしてあるリムがくっついているのがお解りかと思います。
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5・・肉盛り溶接
凹んで入る箇所を表面、側面、裏面、包み込むように肉盛り溶接します。
周りのガリ傷の肉盛りはついで作業です。
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6・・微調整再プレス
曲り修正した後に肉盛り溶接をすれば溶接熱により、リムの膨張・収縮の現象が起きます。
それらを再度ダイヤルゲージで数値を確認しながら膨張・収縮を再プレス微調整して真円度を出します。
(きちんと丸くなったかの確認です。)
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7・・原型修復研磨形成
まともな箇所を基準として肉盛りした箇所のみ完全手作業による原型修復研磨します。
グラインダーやペーパー、ヤスリなどを使って昔から変わらないアナログ的な手作業です。
裏リムの押し込んだ痕跡が見え全体のリム幅が保たれている事は、肉盛り溶接した証として一目瞭然です。
2Ps・3Psのカールリム曲り修正に比べたらよくあるガリ傷程度の肉盛り研磨修正など私にとっては屁みたいな簡単な修正です。
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8・・ホイール研磨機により鏡面仕上げ
手作業による原型修復研磨で面を合わしてありますのであとは光沢を出すために60番ペーパーから2000番までひたすら根気よく磨き込みます。
手も顔も油まみれで真っ黒くなり一番つらいいやな作業ですがその結果ご覧の通りピカピカになりました。
最終処理にホイール専用の硬質ガラス樹脂をコートして釜で焼いて乾燥後ガラス樹脂を磨いて完成となります。
(重要)合金プレスリムの最終表面処理について
合金プレスは本来アルマイト処理してあります。
原型修復修正を完璧に直しさらにアルマイト処理さえ出来れば新品同様となります。
しかしアルマイトリムを再メッキするための2つの条件が必須となります。1つの条件満たない場合、合金プレスアルマイトリムは鏡面研磨仕上げとなります。
これらは簡単なガリ傷修正も同じ条件となりますので良くご理解くださいませ。
※1・分解可能でリム単体になる事。
※2・溶接肉盛を要す曲りやガリ傷など他のアルミを足した修正リムは不可となります。
詳細はこち
http://www.243ok.co.jp/wheel.repair.almait/almait/almait.html
PS:アルマイト処理とは違いカラー塗装やハイパー塗装、ダイヤモンドカット、スーパーミラーバレル研磨、メッキ加工など原型修復が完全に出来れば最終表面処理次第で新品により近く仕上げる事ができるわけです。
こんな難しいホイールがきちんと直せないと4本リフレッシュ、リメークのご依頼は受ける事が出来ません。
「磨く」・「色を塗る」だけではだめなのです。
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