
スイスポ手離す直前に行った整備ネタです。
31スイスポにおいて、故障診断時に使われるOBDⅡポートに関する情報が少なかったので、以下備忘録的に書いておきます。
車両で何らかのエラーが発生し警告ランプが点灯した場合、ディーラーに持ち込んでエラーの原因を教えてもらったり、出ているエラーを消去してもらったり、というケースがありますが、有償対応を主張してくることもあるので、自分でやろうと市販の安価な診断機を入手。
試してみると、他の車では上手くスキャンできるのに、31スイスポでは全く読み取れませんでした。
かつてOBDの仕様は各社独自だったのを、日本では2006年に国土交通省がOBDⅡ仕様の自己診断機能搭載を義務付けましたが、対象は2008年10月以降であり、それ以前発売のZC31S1型は完全準拠ではなくスズキ独自部分があるようです。
しかし諦めの悪い私は、このスズキ仕様に対応するスマホアプリが存在することを知り、ELM327との組み合わせでチャレンジすると期待以上に使えた、というお話です。
具体的なツールは以下2点、
・スマホアプリ SZ Viewer(Android版)
・Zappa ELM327W OBD2スキャンツール
修理したのはエアバッグ警告灯の点灯。てっきりハンドル内のスパイラルコードだろうと思っていたら、運転席側プリテンショナーでエラーが出ていました。
プリテンショナーの抵抗値が高すぎるというエラーです。SZ Viewerで見るとこんな表示です。(Driver P/T の部分が5Ω超とPassenger P/Tの倍以上あり異常値です)
シートベルトを巻き取るインフレーターへの配線を見ても接触不良など無さそう、プリテンショナーが壊れたのか、そこまでの配線異常か、エアバッグコンピュータ自体が壊れているのか?
診断環境があると判別できます。画像のように配線をクリップでショートさせてみます。
抵抗値はゼロに近くなるので抵抗値が低すぎるというエラー(B1052)が出るはずですが、診断は変わらず高すぎるエラー(B1051)がでます。
この段階でおかしいのだからプリテンショナーが壊れている可能性が薄くなり、配線異常ならどこかでショートしてやはり抵抗値が低いエラーになる筈です。ということで、ダメ元で以前入手していた別のエアバッグコンピュータに取り換えてみることにしました。
エアバッグコンピュータはシフトレバーとサイドブレーキレバーの間のカーペット下にあります。
純正シートに戻す作業のついでにカーペットを1部切って、カプラーだけを差し替えて再度診断してみます。すると何という事でしょう、クリップでショートした状態で、期待の抵抗値が低すぎるエラーが出ました。
クリップを取り除くと今度は高すぎるエラーが出て、正常な結果です。
結局エアバッグコンピュータが壊れていたというレアな結末、随分前にヤフオクで600円で確保していたものが、思いもよらず役に立ちました。
SZ Viewerは本当に良くできていて、SRSのカテゴリ選択でエアバッグに関する情報を、正確にリアルタイムスキャンしてくれます。さらにDTC(Diagnostic Trouble Code)と呼ばれるエラー履歴も消去できるのです。ディーラーにいちいち依頼する必要がありません。
エアバッグコンピュータの脱着は例もなく少し作業し辛かったものの、きちんと置き換えてプリテンショナーへの配線を戻して、以降エラーが出ることはありませんでした。スッキリ!
※この診断環境で使用するELM327ですが、当たり外れが激しいようで、チップの機能の1部しか提供しない粗悪品も多いようです。自分が買った画像の白いやつはBluetoothでの接続も安定していて、エンジンのデータなど全て正常にリアルタイムスキャンできていました。

<右が元々のエアバッグコンピュータ、左が入れ替えたものです>
Posted at 2020/12/18 23:21:03 | |
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