ブリヂストンのSUV専用設計タイヤ「アレンザ」の2つの個性を同条件で乗り比べ。コンフォートの「LX100」か、スポーティな「001」か、あなたはどっち?

昨今、最もポピュラーなジャンルの1つとなったSUV。家族や大切な人を乗せたり、荷物を満載して遠くに行く機会も多いSUVには、安全のためにもタイヤは信頼できるものを選びたい。そこで今回は、ブリヂストンが展開するオンロードSUV向けのプレミアムタイヤ「ALENZA LX100」と「ALENZA 001」をマツダのフラッグシップSUV「CX-80」で乗り比べた。それぞれに共通する思想と、異なる個性を探る。

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CHAPTER. 01

人気のSUVこそ、タイヤはちゃんと選びたい

「そのタイヤがどんな価値を提供してくれるのか?」

それがタイヤ選びで大切なポイントじゃないでしょうか。クルマが路面と接する部分はタイヤしかありません。だからどんなタイヤを選ぶかはとても重要だし、タイヤでクルマの味付けが変わるのです。

それはタイヤが靴と同じと考えればイメージしやすいかもしれませんね。革靴なのか、それともスポーツシューズか。スニーカーやサンダルという選択肢だってある。選ぶ靴によって歩きやすさから運動性能、そして快適性が違うのは言うまでもないでしょう。高い靴と安い靴でも、やっぱり違いますしね。

ところで昨今の新車といえば、トレンドを越えて定番になっているジャンルがSUV。これを読んでくれている人の中にも、愛車がSUVという人が多くいるかと思います。そして、そろそろタイヤ交換を迎えるという人もいるのではないでしょうか。

もし、いままで履いていたのが純正タイヤ(新車装着タイヤ)であれば、それとは異なる市販タイヤに交換してみるのもいいでしょう。SUVブームを背景に、昨今は“SUV用”を謳うタイヤもたくさん販売されています。

そんななかで、まず心得ておきたいのは「ちゃんとしたタイヤを選ぶべき」ということ。車両重量が重く、重心も高くなりがちなSUVはタイヤへの負担も大きく、それは安全にも直結すること。だから信頼できるタイヤを選びたいところです。

信頼できるタイヤといえば、なんといっても日本を代表するタイヤメーカーのブリヂストン。そんなブリヂストンには、SUVタイヤとして「アレンザ(ALENZA)」というシリーズが用意されています。

アレンザの特徴はまず、SUV専用銘柄だということ。SUVの特徴やウィークポイントをしっかりと考えて作られているというわけです。そしてSUV用ながら“オンロード専用”として開発されたプレミアムタイヤということでしょう。

何を隠そう、そんなアレンザには重視する性能が異なる2つの商品が用意されています。

ひとつは、コンフォート性能を重視した「ALENZA LX100(以下、LX100)」。もうひとつはスポーティな「ALENZA 001(以下、001)」。同じアレンザでも、好みに合わせて2つの個性から選べる展開となっているわけです。

今回は、そんなアレンザの“2つの個性”を同じクルマに装着して両者の違いを明確にしつつ、それぞれのキャラクターを探ってみました。

車両はマツダ「CX-80」。マツダにとってもっともラグジュアリーなSUVである一方で、縦置きエンジンの後輪駆動プラットフォームを採用しスポーティな走りも楽しめる。つまり“LX100”を履くべきか、それとも“001”を選ぶべきか悩みそうな車種と言っていいかもしれません。

高重量・高重心なSUV専用に開発されたプレミアムタイヤ「アレンザ」シリーズ。オンロード専用設計とすることで、SUVの常識を超えた高い快適性と走行性能を両立したプレミアムタイヤとなっている。

静粛性にこだわりコンフォート性能を追求したLX100(手前)と、運動性能を重視しスポーツ性能を磨いた001(奥)。異なる2つの個性と特長を明らかにする。

テスターは、自身も普段からSUVを愛用する自動車ジャーナリストの工藤貴宏氏。同日・同車種というイコールコンディションのもと、LX100と001を徹底的に乗り比べてもらった。

CHAPTER. 02

結論、SUVで快適性を重視するなら「LX100」

まずコンフォート志向のLX100を装着。走り出してまず感じたのは優れた静かさでした。

これは走り出してすぐに感じられるレベルだし、特に実感するのがザラザラとした粗い舗装の場所。CX-80をはじめとするプレミアムSUVは、静粛性に気を遣って作られているので外からの音を多く遮断してくれるのですが、それでもタイヤを換えたことで静粛性が高まるのをしっかりと感じられることを改めて認識しました。

静かなタイヤは快適性を高めるだけでなく、音は移動中の疲れの原因にもなるからそれも軽減してくれる。そのうえ移動中に音楽を聴く人も、タイヤノイズが減ったことでより良い環境を作れますしね。

乗り心地の向上もすぐにわかるポイント。たとえば、路面の荒れた場所を走るとき、乗員へ伝わる衝撃がかなり緩和されていることを実感します。同じ場所を走っても、これまでだと尖って角が立っていた衝撃が、LX100だとしっかりと“いなす”から優しく包まれて角がマルくなったように感じられるのです。

いわゆる「あたりが柔らかい」という状態で、乗り心地の良さを実感できるタイヤだということが、実際に乗ってみると本当によくわかります。静粛性と乗り心地の両面から、SUVで快適性を重視するならLX100。疑う余地のない結論です。

もしかすると、快適性を重視した分だけ操縦性が軽視されていると考える人もいるかもしれません。でも実際に乗ってみると、そんな印象は皆無。交差点を曲がるときや車線変更の際にタイヤがよじれる感じや嫌なふらつきはなく、安心感がしっかりあります。

いっぽうで、ハンドル切り始めの反応はもう一つのアレンザである001に比べると緩やかですが、それも好み次第。穏やかなハンドリングを好むドライバーとのマッチングはいいでしょう。

CX-80もそうですが、昨今のSUVはシャープな走りを狙ったモデルも多いので、もう少し肩ひじ張らずに穏やかに乗りたいという人も多いはず。そういうドライバーとの相性はピッタリじゃないでしょうか。

LX100の静粛性の秘密は、「シークレットグルーブ」と「3Dノイズ抑制グルーブ」、そしてイン側に施された「3Dノイズカットデザイン」のおかげ。摩耗時も高い静粛性を維持し、従来品と比較して、新品時で22%、60%摩耗時でも9%騒音エネルギーを低減している(※)。

※詳細はブリヂストンのカタログや記事内リンク先のホームページをご確認ください。

高重量なSUVを支えるために専用のサイドチューニングが施されたLX100。高い剛性を確保し、走行時のふらつきを抑制する。

非対称パタンを採用しブロック剛性を最適化することで、ユーザーには嬉しいロングライフ性能も確保。従来品と比べ、摩耗寿命が5%向上している(※)。

※詳細はブリヂストンのカタログや記事内リンク先のホームページをご確認ください。

CHAPTER. 03

「001」は車体がひとまわり小さく、軽く感じる

いっぽう、運動性能重視の001に履き替えて「おや?」と思ったのは「意外に乗り心地がいい」ということ。運動性能重視でハンドリング志向のタイヤといえば本格スポーツタイヤのような乗り心地の悪さをイメージしがちで、ボクもちょっとだけ身構えていたのですが、はっきりいって拍子抜け。

001はバリバリの体育会系ではなく、乗り心地もしっかり確保。スポーツ系とはいってもあくまでSUV向けのプレミアムなタイヤであり、快適性はしっかり確保されているというわけです。快適性重視のLX100との違いは「“001”が快適で、“LX100”だともっと快適」といったイメージでしょうか。

いっぽうでハンドリングに関しては、車体がひとまわり軽快に感じられる印象。たとえば、曲がろうとハンドルを切り始めたときの初期の反応がいいからスッと曲がるし、旋回中の踏ん張っている感覚も一枚上手。

運転好きのドライバーが“こう動いて欲しい”という狙いにビシッと応えてくれて、こういうのを「人馬一体」って言うんだろうな、なんて思ったりして。

CX-80の車体は大きめですが、そんな車体の大きさを感じさせないほど……と言ったらちょっと言い過ぎですが「車体がひとまわり小さく軽く感じる」くらい軽快に動いてくれて、気持ちいいですね。使い古された言葉でいえば、軽快なフットワークです。速度を上げていった時の高い接地感からくる安定感も、より上をいくレベルだと感じました。

ところで、今回は好天に恵まれたので体感できませんでしたが、001は“LX100”に比べると舗装路面でのグリップが高いだけでなくウェット性能も優れているのだとか(すべてのサイズでタイヤラベリングのウェットグリップ性能「b」以上)。

日本は雨が多いし、さらに昨今はゲリラ豪雨的な短時間に雨量の多い雨もたびたび発生。そんな状況ではウェットグリップ性能が安心安全につながるので、そこを重視して001を選ぶというのもアリでしょう。これもタイヤが提供してくれる価値ですね。

ブロック端の角を丸める「チャンファリング」を採用し、制動時におけるエッジの巻き込み変形を制御。フラットな接地面を確保し、高いドライ&ウエット性能を実現する。

運動性能を重視しながらも、「ナノプロ・テック」を採用したシリカ配合や「3D-M字サイプ」などの技術により、ライフ性能を落とすことなく低燃費性能も向上。従来品と比べ、転がり抵抗を19%低減しながら、摩耗寿命をほぼ同等に抑えている(※)。

※詳細はブリヂストンのカタログや記事内リンク先のホームページをご確認ください。

「マルチラウンド・ブロック」などの技術により接地面を最適化することで、001は全サイズでウエットラベリング「b」以上を獲得。様々なシーンで乗る機会が多いSUVだからこそ、雨天時の安心感が頼もしい。

CHAPTER. 04

アレンザを選ぶべき理由

2つのアレンザを同じ車両で乗り比べて感じたのは、LX100と001の違いは“フレーバーの違い”くらいの感覚だと捉えればいいってこと。快適性重視のLX100を履いても走りに不安があるわけではないし、逆にスポーティな001でも快適性は十分なレベルです。

いずれも、プレミアムSUVに見合う基本性能をしっかり備えているのがアレンザの美点であり、そのうえで最後の味付けとして「快適」もしくは「運動性能」に振り分けているという印象です。

だから、どちらかが絶対的に優れているということなんてなくて、どちらを選ぶのも本当に好み次第。街乗り中心でひたすら快適性を求めるのであれば、LX100を選べば満足感が一層高まるでしょうし、運転を楽しむドライバーや峠道や高速道路を走ることが多い人は、よりキビキビと走り安定感も高い001を選ぶと幸せになれることでしょう。

LX100を選んでも001を選んでも、アレンザにはまず快適性が高く安心感があるという“価値”があり、加えてLX100では「より快適」という価値を、001には「運転の楽しさ」という価値を提供してくれる。それがアレンザを選ぶ理由と言ってよさそうです。

Text:工藤貴宏 Photo:篠原晃一 Edit:橋本隆志(LINEヤフー)

オンロードSUVに求められる様々な性能を、高次元で備えているのがアレンザシリーズの魅力。LX100と001、どちらを選んでも、きっと満足のいくカーライフを送ることができるはずだ。

どちらもプレミアムタイヤの名に恥じない基本性能の高さが自慢。LX100も001も、走りと快適性に何ら不満はない。その上で、「どちらをより重視するか」が選ぶ際のポイントとなる。

大切な人を乗せ、長距離を走る機会も多いSUV。同乗者を想ってこそ、アレンザのように快適性が高く安心感のあるタイヤを選びたい。

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