2026/02/01
ABSは、なぜ最短距離で止まれる? 【摩擦力とタイヤ(1)】
人が生活していくうえで絶対に必要な物を3つ挙げるとしたら、まず空気、次に食料と水は欠かせないとして、あとは摩擦力でしょうか?
※摩擦力がなかったら、食事をしようにも、箸を持つのも食材をつまみ上げるのも無理だから(それ以前に、建物から何から全て崩壊するでしょうが・・・)
「物体は外部から力が加わらない限り、静止している状態を保つか、等速直線運動を続ける」は物理(力学)の基本中の基本、つまりニュートンの第一法則(慣性の法則)です。
ここで、車という物体に加わる力は何かというと、駆動力や制動力、操舵力(横力)、走行抵抗など様々ですが、いずれも摩擦(更に言えばタイヤ)と密接な関係があります。
※例えば、駆動力とは何かというと、エンジンが発生させるトルクの事ではなく、タイヤが路面を蹴る力の反力、つまり「タイヤと路面間の摩擦力の反力」を指す。
なので、理工系の学部へ進んだ方は、必ず摩擦に関する基本(クーロンの摩擦法則)を学んだはずですが、タイヤは「空気入りゴム」という弾性体のため、実は複雑な摩擦挙動を示し、クーロンの摩擦法則に従わないことが多いことは、あまり知られていないように思います。
※実際、大学教授の中にも「タイヤがロックすれば走行抵抗だけになるので、マンガのようにキキーっと急停車は出来ない」と言う人もいる。
また、カーマニアでも、タイヤ(摩擦力)の重要性を認識している人は稀で、車を構成する数あるパーツの一つぐらいにしか思っていない人が多いですが、そのタイヤの摩擦挙動の話をする前に、まずは摩擦の基礎から。
【クーロンの摩擦法則】※別名:クーロン・アモントン則
①摩擦力は、垂直荷重(⇔垂直抗力)に比例する。
②摩擦力は、見掛けの接触面積に依存しない。
③摩擦力は、相対速度の大小に依存しない。
このうち①と②は、接触面をミクロで見ると、面ではなく点接触の集合だからという事で理解できると思います。
【静止摩擦と動摩擦】
・外力(F)≦最大静止摩擦力(f,max)の場合、静止摩擦で考える。
f=μ×N(静止摩擦力=静止摩擦係数×垂直抗力)
・外力>最大静止摩擦力の場合、動摩擦で考える。
f’=μ’×N(動摩擦力=動摩擦係数×垂直抗力)

※画像はモノタロウ「ネジの基礎講座」より引用(横軸は外力F、縦軸は摩擦力f)
なお、静止摩擦力は外力とイコールです(外力が0なら、静止摩擦力も0)
一方、動摩擦力は外力の大きさに関係なく一定値を取ります(相対速度に依存しないため)
また、必ず最大静止摩擦力(f,max)>動摩擦力(f’)となります。
これは、静止時の物質同士に(分子間力により)凝着が起こっているからです。
※床に置かれた物体を押して動かす時、動き出した瞬間に力がすっと抜けるのはこのため。
次回は、タイヤのような回転体の摩擦について。
Posted at 2026/02/01 16:30:54
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