熱海駅

老舗温泉観光地・熱海の玄関口。
日本の大動脈たる東海道新幹線が開業した当初からの停車駅(原則「こだま」のみ停車)だが、東京方面からの東海道本線の列車が最初に到達する静岡県内の駅で距離的に関東圏から近く、在来線利用者の需要も大きい。観光客の利用を見込んだ特急「スーパービュー踊り子」「踊り子」を筆頭に、通勤利用に便利な快速「アクティー」等の普通列車も多数設定されている。
当駅は伊東・伊豆急下田方面へ向かう伊東線(伊東以遠は伊豆急行線)が分かれるジャンクション、そして東海道本線上におけるJR東日本とJR東海の管轄境界駅でもある。駅の管理実務はJR東日本が執り行っている。
特急「踊り子」号のうち2往復は前半10両が伊豆急下田行き、後半5両が修善寺(伊豆箱根鉄道線)行きの重層列車となっており、ここ熱海駅で分割(上りは併合)を行う。
制御回路と連結器を切り離す作業のため、熱海駅で長めの停車時間が設定されており、分割・併合の様子を見学できる。
我が家は以前多摩地域に住んでいて、その頃は京王線の特急電車や小田急線の急行電車で分割・併合が頻繁に行われていたが、その何れもが全廃(小田急はロマンスカーのみ存続)されてしまった。
また分割・併合とは異なるが、かつて機関車牽引の客車列車が全国を網羅していた時代、要所要所で機関車交換をする必要があり、これまでの牽引機を列車から解放→新しい牽引機の連結をするシーンが見られた。こちらも貨物列車が操車場内で行う交換作業を除き、ほぼ全滅している。
通常の運行では見られない、スローで繊細なな車輌の動き、作業員の手際の良い作業と規律正しい確認、利用者の安全を確保しつつ見守る駅員……。鉄道好きにとっては、これ以上ない旅のハイライトである。
ある春の週末、伊豆長岡の温泉へ浸かりに行った折の事。
興味津々で列車の分割作業を見学していた我が子たちに熱海駅の駅員さんが、「こっちの電車(=後半5両の修善寺行)は暫く動かないからもう少し近づいていいよ」と声を掛けてくれたばかりか、「これで写真を撮るかい?」と制帽を脱いで子どもたちに被せてくれた。
一律「危ないからさがって!」と言い放ってしまう方が楽だろうに、親切でサーヴィス精神旺盛な駅員さんもいらしたものである。
子どもたちもこんな経験から、真の鉄道好きになっていくのかもしれない。
子どもたちは初めて、私も久しぶりに見た分割作業とともに、いい旅の思い出となった。
住所: 静岡県熱海市田原本町11-1
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