
現在MAZDA3 6MTに乗っていますが、その前は2代目N-ONE RS 6MTに乗っていました。どちらもオートブレーキホールドを備えた現代的なマニュアル車で、特に坂道発進が楽になるので重宝している機能なのですが、2台を乗り比べるとオートブレーキホールドの動き、特に発進時のブレーキ解除の動作が微妙に違っていました。
まず、発進時のブレーキ解除動作について、取扱説明書の記載を比較します。
○ホンダN-ONEのマニュアル車向け説明
保持中にシフトポジションをニュートラル 以外の位置にし次の操作をすると、自動でブレーキが解除され発進することができます。
・平坦路や下り坂でクラッチペダルから足を離す
・上り坂でクラッチペダルを操作しながらアクセルペダルをゆっくり踏み込む
○マツダMAZDA3の説明(説明上AT/MTの区別はない)
車両を発進させる。
ブレーキの保持が解除され、メーター内のオートホールド作動表示灯が消灯します。
N-ONEではCVTとMTを書き分けて、かなり詳細に動作条件を記載し車両の前後角も見ていることを明記しているのに対し、MAZDA3はAT/MTを分けておらず、しかも動作条件が「車両を発進させる」以外書かれていません。これではMAZDA3の動作の詳細はわかりませんね。
次に、実際の動きの違いを説明します。
○N-ONE 6MTの場合
停止してブレーキがホールドされると、メーター内のインジケーターが点灯すると同時にブレーキペダルにフィードバックが来ます。具体的には、瞬間的にブレーキペダルを緩めて踏み直すと、ペダルの踏みしろがなくなりペダルが踏み込めなくなるのです。これにより、ドライバーはブレーキホールドが効いたことを認識できます。このことは、オートブレーキホールドがフットブレーキ機構に介在して動作していることの証左であるように思います。
また、発進時にクラッチをつなぎ始めると、音もなくブレーキはリリースされます。アクセルとクラッチを少々ラフに操作しても常にスムーズに動作し、乗っていて不自然さを感じることは一度もありませんでした。
○MAZDA3の場合
停止してブレーキがホールドされると、メーター内のインジケーターが点灯しますが、ブレーキペダルへのフィードバックはなく、いつも通りの踏み心地が維持されます。動作していることは、メーター内のインジケーターと、実際にブレーキペダルを緩めて車が動かないことでしか確認できません。
また、発進時にクラッチのつなぎ始めかアクセルの踏み始めかわかりませんが、どちらかを契機としてオートホールドを解除する「シュッ」という動作音がします(ちなみに停止時のホールド動作時は音はしない)。これが減点ポイントその1。
また、ブレーキリリース動作もお世辞にもスムーズとは言えません。かなりアクセルとクラッチを丁寧に操作しないと、スムーズに発進できず少し唐突気味な発進になります。常にスムーズに運転したい私にとってはこれが減点ポイントその2。
平坦な場所でしか実験していませんが、MAZDA3のMT車の場合、半クラッチ操作だけでもアクセル操作だけでもホールドは解除されました。つまり、クラッチを切った状態でアクセルを空吹かししただけでもホールドは解除されるということです(ホンダは平坦路ではアクセル操作を無視する仕様)。これが上り坂・下り坂でどうなるのかまでは実験していませんが、平坦路と同じ動作ならちょっと怖い。また、クラッチ操作も監視して動作することは分かりました。
機構的な詳細はわかりませんが、「シュッ」という動作音から推測すると、マツダのオートホールド機構はフットブレーキではなくパーキングブレーキ機構を使って動作しているのかもしれません。
言いたいことは、MAZDA3はCセグメント大衆車のカテゴリーにいながらプレミアムカーに匹敵する洗練されたデザインのエクステリアとインテリアと充実した装備を持った車なのに、オートブレーキホールドだけは動きが洗練されていない、ということだけです。
マツダvsホンダいうタイトルにしていますが、実際には同じマツダであっても他の車種では該当しないかもしれませんし、マツダの場合同じ車種でも毎年年次改良が入るので、ウチの子(2023年改良モデル)より後の年次では改良されているかもしれません。
オートブレーキホールドはメーカー毎に実装も動作条件も解除条件も異なる機能で、スバルはオートでホールドされるものの、ホールド解除は発進前にブレーキを踏み込むという他メーカーにない操作になっていたり、メルセデスはホールドがオートですらなく停止後にさらにブレーキペダルを踏み込むとブレーキホールドがかかるなど、調べると結構奥が深い世界でした。
私はMT車のオートブレーキホールドを、ヒルスタートアシストよりも確実な坂道発進アシスト機能として坂の多い自宅周辺で便利に使っていますが、では車両停止時にいつもホールドに頼ってブレーキペダルから足を離しているのかと言うと、全くそんなことはありません。信号待ちの停止時にブレーキホールドされていても律儀にブレーキペダルは踏んだままです。これは長年の習慣というのもあるし、ブレーキホールドのない車が存在する以上それに頼りすぎてブレーキを離す癖をつけたくない、という意識も明確に働いています。
オートブレーキホールドはAT車の場合さらに好き嫌いが別れる機能です。クリープのあるAT車では、ブレーキを離してクリープで少し動き出してからアクセルを踏むのが普通だと思いますが、ホールド解除の条件が「アクセルを踏み込む」だとかなりデリケートにアクセルを踏まないと唐突な発進になる車もあると思いますので、日頃からアクセル操作がラフな人には相性の悪い機能かもしれません。
ただこれもアクセル・バイ・ワイヤなら、ホールド状態からの発進時にどんなアクセル操作であってもスムーズに発進するよう制御できるはずで、それらの制御をどう実装・設定するかの問題とも言える気がします。
オートブレーキホールドに対して肯定的か否定的かは、最初に乗ったブレーキホールド付きの車の動作が自然で洗練されているかどうか、によるのかもしれませんが、いずれは各メーカーとも制御が洗練されて誰も何も感じなくなる日が来るかもしれませんね。
Posted at 2025/11/08 16:22:05 | |
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