散文 202

それは偶然だった。

土手の上から段ボールで滑りおりる遊びに興じていた時


捨てられた極彩色の雑誌を見つけた。


干からびたページを一枚一枚めくるたび

少年は奇妙な興奮にときめいたのだ。


パリパリとめくる音が不思議と卑猥に聞こえ


少年の背徳感を助長した。



やがて時を追うごと


土手に捨てられた本では満足できなくなってゆく……。






思春期の少年から大人に変わる時

時折 奇抜な衝動と行動を起こすものだ。



少年はともかく走った。


実はポケットの小銭で買えたのだが


レジの女性が母親の年齢層だった。


ゆえに少年は罪を犯した。



少年はともかく走った。




かの ボブ・ラッツの言葉を借りれば


「俺の血管にはガソリンが流れている」


少年は生涯この性分に苦しむことになるだろう。




爆発的に走るしかないパッション



そんな時代には


枕草子の翻訳もきな臭いものになる。



春はバカモノ。やうやう青くなりゆく山ぎは、柵が開いたりて、紫だちたる 白の廣島たなびきたる。
　夏は夜。お盆のころはさらなり。やみもなほ、敵機多くたちはだかりて暇も無し。また、１台とシュツットガルトなどの猛獣と手合わせ行くもをかし。雨など降るも床まで踏みにけり。やはり奴はバカモノ。秋は夕暮れ…………



少年の危うい心情が表現されているが


揮発性は否めない。


静電気ひとつで爆燃しそうだ。


銃弾よりも速く


そして


カラーボールよりも速く


少年は走り抜けるつもりなのだ。



そのうち少年は理由すら無くても走るようになるだろう。



理由なき暴走

理由なき反逆



そんなほろ苦い記憶


蜂の巣をわざとつついて走り出した


いつかの少年……


誰しも似たような道を通るのではないだろうか？







本当の幸せ教えてよ破れかけのエロ本


















走れエロス。