
スポーツ性とラグジュアリー性という二つの要素を、一台のクルマにどう盛りつけるか。三菱のギャランは、あるクラス以上のクルマが悩むであろうこの問題に、ずっと直面し続けてきたモデルのひとつであるかもしれない。
このギャラン(1987年、6代目)は、その意味では、クルマの性格を強くスポーツ性に振り、成功したモデルとなった。その頃に成熟してきた4WDという機構と技術を、オールシーズン性といったことではなく、純粋に「速く走る」ためのものとして使った。エンジンのハイパワーと4輪でのトラクション能力という組み合わせが、ダートやスノーでなくとも、舗装路でいかに速いか! そのことを、多くの一般ドライバーにも体感させたモデルとなったのが、この6代目だった。
スタイリングの面でも、流行りかけていたスラントノーズや丸っこいヌルッとした面作りには背を向け、水平とスクエア造形を基本とした骨太なセダンとしてまとめられた。時代から“半歩”下がったような、このデザインワークも新鮮で、性能面だけでなく、この造形に魅せられたファンも多かった。
そして国内外を問わず、ラリーというコンペティティブなフィールドにも進出。WRC(世界ラリー選手権)というステージにおいても、より小柄なランサーEXが出現するまで、三菱ワークス・ラリーカーのベース車となって、世界で活躍したのは記憶に新しい。
(「カーセンサー」誌、1987年、「昭和名車伝」より))
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クルマ史探索file | 日記
Posted at
2015/05/14 07:42:08