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2016年02月15日

「クロスUP!」についてのメモ 《2》

「クロスUP!」についてのメモ 《2》 * ただ、彼の地(ヨーロッパ)には、日本まではあまり伝わってこない感じはあるが、1920年代の「サイクルカー」に始まって、その後の「マイクロカー」「バブル(風船)カー」にもつながる軽量・小型“自動車”の系譜があり、その「文化」は21世紀の今日でも何ら変わってはいない……ようだ。

* その文化があるゆえに、トヨタは00年代後半に超・小型車の「iQ」を作ったのであろう。欧州のそんなマイクロカーのカルチュアに、トヨタが参画した。こう考えれば、あのクルマのナゾも解けるし、一気に合点がいく。

* そして、こんなことも考える。ヨーロッパのディープな事情は体感としてはわからないが、たとえば1950年代の西独時代に、航空機ではないメッサーシュミット、その「KR200」に乗っていたのは、階級的に最下層である人々だけだったのか? 半ば想像になってしまうが、そうではない人々も、あのメッサーシュミットには乗っていたのではないか。かつてのサイクルカーや今日のマイクロカーの存在を、「階級」だけで捉えていいのか?

* もちろん、ヨーロッパという地では、ある階級の人々は必ず、それに適した“階層”のクルマに乗る。このことは、知識としては知っている。だから、かつての英国BLMCは、内容的には「ADO16」でまったく同じであるクルマに、ヴァンデン・プラとかウーズレーとかモーリスとかMGといった異なるバッジを付けて、それぞれの階級・階層に向けて販売した。

* ただ、そういう現実がある(あった?)一方で、ヨーロッパの場合、クルマというエクィップメントについての許容範囲が広いというか、さまざまなタイプのクルマが地域内にあっていいのだという文化や慣習が、同時に存在するように思う。(トヨタの「iQ」が“小さい高級車”とまでは言わないにしても、装備的には上級車と同じであったのは、マイクロカーと階級が無関係であることの証左か?)

* そういえば、クルマの元となった馬車も、馬に引かせるという点では同じでも、ずいぶんと粗末な馬車と、その一方で絢爛豪華な馬車とがあった(ようだ)。「ビークル」に大小や形状の違い、そしてグレード差があるのは、用途や、それを使う階級が異なるのだから自明のこと。乗り物についてのこうした感覚や習慣が「馬車の時代」からずっと存在するとすれば、それが20世紀以降のヨーロッパと、そこでのクルマに適用されていても当然ということになる。

* ……あ、話がちょっと逸れすぎている(笑)。ヨーロッパ文化についての探究は今後の課題として、VWの「UP!」だ。そもそもヨーロッパでの「セグメント」なんてのは、ニッポン庶民がこの国でクルマに乗る際にはどうでもいいことだった。その「UP!」に、かすかにクロスオーバー(SUV)的な衣装を着せた。それがこの「クロスUP!」である。

* 運転席に乗り込むと、印象がクリーンというか、とにかく明るい感じ。ちょっと“非ドイツ的”な感覚さえある(ラテン車にありそうだ)。ボディの赤い外板色が室内にあることが、そんな印象を生んでいるか。その意味ではこのクルマの場合、ボディのカラーを何にするかによって、インテリアの雰囲気はかなり変わりそうである。

* そして、たとえばポロやゴルフから乗り換えると、ドアミラーの鏡面に余計なもの(室内の光りものパーツなど)が何も映り込まない。その意味でもクリアで、これはストレスがなくていい。VWは、ゴルフにしてもポロにしても、ドアミラーに何が映るかもチェックしながら、インパネのデザインやミラーの位置を決めていった方がいい。

* そして、普通にオートモードにしておけば、アクセルを踏むだけでクルマを動かせるが、1速から2速に変わる際などに、一瞬“息継ぎ”のような状態がある。あるいは、1速から2速へは必ず、一種の“継ぎ目”を経て変速されるというべきか。この“継ぎ目”感は、右足すなわちアクセルペダルを仮にジワーッと踏んだとしても消えることはない。

* そこまでわかれば、さっさとドライバーが自分の手でミッションを操作してしまえばいい。こう判断してそれを実行してしまうのは、ニューモデルを試乗する者の姿勢としては、あまりよくないだろうか?(笑)でも、いきなり個人レベルに話を持っていけば、私なら、このミッションはそのように扱う。

* すなわち、クラッチペダルなしで変速できるクルマ。つまり、「2ペダルのMT車」として乗るのだ。そして、たとえば時速60キロまで加速するとして、どういうアクセルワークで、どういうタイミングでシフトアップすると滑らかに変速できるか。そんなことを探っていく。

* ただ、スポーツ・バイクやMT車で「変速」を体感してきた人なら、これは自分でチェンジしちゃえばいいんじゃね?……と思いついて、それを実行するかもしれない。しかし、50ccの原付から250ccのスクーター、そして四輪ではCVT車だけを乗ってきたような“無段変速育ち”の人々に、この「変速」という概念を説明するのは結構むずかしいような気もする。

* ちょっと見方を変えれば、アクセルを踏めば、後はクルマ任せで……という、いわば受け身の姿勢ではなく、このミッションは、どういう操作をすれば《快》なのだろうかと、ポジティブに、というか積極的に、クルマやそのメカニズムに関わっていく。そういうスタンスで、このクルマには乗るというアプローチなら、「UP!」のシフトと“格闘”するのは、逆におもしろいテーマである……かもしれない。

* 乗り心地は、粗っぽさはもちろんないのだが、でも、すごく優しかったり、柔らかく乗員を運んでくれたりという、その種のホスピタリティは一切ない。素っ気ない外観と飾り気のない内装に見合った、そういう意味では見事にモードが揃った、素朴な走りの味があるだけ。こうした全体的な「挙動」のまとめ方には、何も文句はない。

* 「道具」という言葉が好きな人。道具である以上、装飾は要らないと思う人。道具だから、それはシンプルであればあるほどいいし、そして道具は使いようなので、使い手が的確に働きかけないと道具もうまく機能しないし──。

* ……以上のようなフレーズに、ふと立ち止まってしまうようなタイプの人にとっては、この「クロスUP!」が全身で醸し出している《素》のフィールとその佇まいは、なかなか新鮮で、そして気持ちのいいものではないだろうか。

* 基本的にクルマ(量販車)というのは、皆さまに買っていただきたい商品であるので、どうしても「いかがですかぁ?」「ワタシ、キレイでしょ~」と、カスタマーに媚びつつ迫って来ることが多い。

* それに対して、このクルマのように、ホスピタリティなし、あるのは、ただ「道具感」のみ……。そんなタイプとキャラのクルマって、国内外を問わず、実はそんなにないと思う。Aセグメント「クロスUP!」に価値あり! ある視点からの、これが結論だ。

* (ただし、あくまでもMT車が好きだったり、また、MTの運転についてのキャリアが多少なりともあるという人にとっての「価値」なので、念のため)

(了)
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Posted at 2016/02/15 09:06:01

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