Soccerへの想い

高校サッカー決勝戦が雨の中行われた。
決して忘れた事の無い35年前の‘あの日’は晴天だった。

父はベンチで黙って戦況を見つめている。当時小学５年生だった俺はスタンドで声援を送った。
前半を終了し0-2と負けている。後半１点を返すと今までの鬱憤を晴らすかのようにスタンドから
いっせいに紙吹雪が舞う。「ひろえー！」OB達が大声を出すとスタンドにいた俺たちは紙吹雪を
集めた。正直なところ意味が分からなかった。PKから同点になる。ひろった紙吹雪が舞う。
また「ひろえー！！！」やっと意味が分かった。
終了２分前に劇的な逆転ゴールが決まる。狂喜乱舞して紙吹雪を投げるスタンド。
もう誰も「ひろえー！」とは言わない。言葉にならず心の中で紙吹雪が舞っていた。

小学３年生から始めたサッカー。Jリーグはあるはずも無く企業スポーツでマイナーだった。
しかしこの日を境に“Soccerへの想い”は日増しに強くなっていったのは間違い無い。

全国大会へもバスに揺られ応援に行った。ベンチに座る父はとても大きく見えた。
初出場で３位という素晴らしい成績を残した高校生のお兄さん達。
父に連れられ何度も練習や試合を見に行った想い出はずっと心の中にある。