
先日XVを車検に出した軽井沢オートさんで見かけた
原付バイクです。
バイクを見たとたん釘付けになりました。
何故ならこの原付バイクは、HONDA50周年記念で
1997年2月に発売されたHONDAの技術が凝縮された
排気量50㏄のDOHC4バルブのバイクなんです。
ドリーム50はホンダマニア、旧車マニアからは反響
が高かったものの、あまりにもマニアック過ぎたせ
いか、329、000円という価格設定が高すぎたのか、なかなか販売数が伸びず、わずか3年(2000年)で生産終了となりました。
4ストローク50ccでは唯一のDOHC4バルブエンジンを採用し、カム駆動系はチェーンギア駆動、サイレントチェーンとオートテンショナーリフレクター、またサブギアトレインを採用し、心地よい単気筒サウンドを演出しつつ静粛性に優れたメンテナンスフリーを実現していました。
また、CR110のスタイルを踏襲しながらも、前後にディスクブレーキと、ウインカー、ニュートラル、サイドスタンドの各インジケーターに当時ではまだ珍しかったLEDを搭載し、現代的なパーツがいくつも採用しています。
市販車の生産終了後HRCからレーシングコンプリートカーを2009年まで発売
★ホンダ・Dream50R
ドリーム50を開発したエンジニアたちは、相当な50ccレース好きだったのでしょうか?
ドリーム50がわずか3年で生産終了になっても、その後ドリーム50のレーサーマシン『ドリーム50R』をHRCから登場させて、CR110の復刻モデルは公道仕様のみならず市販レーサーマシンまでも再現してみせました。
そんなドリーム50Rは、HRCが開発したKitパーツを組み込まれ、エンジンは1.4PSアップの7PSを13,500回転で発揮。
さらに手を加えたフルコンプリートマシン『ドリーム50TT』まで登場させて、カム、クランク、キャブ、クロスミッションなどの至るところをチューニングされたエンジンは、18,000回転まで回る超高回転仕様でした。
また、ドリーム50R/50TTを活躍させる場を設けるために、ホンダはドリームだけで競い合うレース『ドリーム/レトロ50カップ』まで開催します。
ドリーム50のユーザーが、そこまで多くないにもかかわらず、これほどまてまにドリーム50が特別扱いされたのは、歴代のホンダ車でも稀でしたねHONDAの原点のバイクの拘りなんでしょうか?。
50ccのミッション付き原付が、ごくわずかしか新車で販売されていない今となっては、とても珍しいバイクなんです。所有している人を見ると羨ましくなります。
ドリーム50のベースとなったCR110は、ホンダの歴代ファクトリーレーサーマシンと、とても密接な関係を持っています。
ホンダは1958年に初代カブ(C100)発売しました。
ここで注意したいのがモデル名に”100″や”110″とありますが、すべて50ccです。
当時は50ccのレースが世界中で行われており、1962年からロードレース世界選手権にも50ccカテゴリーが創設されることが決定。
ホンダは参戦するために、50ccレーサーマシンの開発に着手します。
当時は4ストよりパワフルな2ストが主流で、ロードレース世界選手権50ccクラス初年度のシリーズタイトルは、2スト単気筒ロータリーバルブエンジンを搭載したスズキ RM62が獲得しました。
しかし、本田宗一郎は4ストに並々ならぬこだわりを持っていたため、ホンダが投入したワークスマシンは、4スト単気筒DOHC4バルブを搭載したRC110というモデルだったのです。
後継モデルにあたるRC112では50ccで2気筒化され、1966年に登場し、更に進化したRC116は21,500回転で14馬力を発揮しました。
そしてホンダは、RC116で50ccクラス初のシリーズタイトルを獲得したのです。
ホンダ・カブレーシングCR110
話は戻りますが、1962年に登場したRC110をベースにした市販レーサーモデルCR110を発売。
さらに、国内で50ccの市販車レースが盛んにおこなわれ、その出場車両のレギュレーションで、年間50台以上販売されているバイクという条件があったため、ホンダはRC110に保安部品を付けただけのホモロゲーションモデル、『カブレーシングCR110』を発売します。
市販レーサーモデルと同じモデル名でややこしいのですが、当時はサーキットではなく、ダートでレースが行われていたため公道走行可能なカブレーシングC110は、スクランブラー仕様になっていました。
ホンダ・Dream50スペシャルエディション
DREAM50はレース嗜好者からの評価は高くレース用需要は衰えずワンメイクレースも行われた。このためHRCからレース専用のキットパーツのほか競技専用としてキットパーツをあらかじめ組み込んだコンプリートマシンとした型式名AR02の本モデルが販売された。
保安部品省略・ステー類カット・前後アルミフェンダー装着等により車両重量を81kgから71kgに軽量化。
マニュアルトランスミッションを5速から6速クロスレシオへ変更。
エンジンはHRC製「Dream50用レース専用キット」による専用ヘッド・カムシャフト・バルブスプリング・ピストン・低フリクションカムチェーン・クランクシャフト・軽量ACジェネレーター・ケーヒンPC20キャブレター・エアファンネルを組み込み。エキゾーストパイプは構造二重管から単管とし排気効率を向上。
最高出力を7.0PS/13,500rpmにアップ。
◇Dream50 ◆Dream50R
型式 A-AC15 AR02
全長×全幅×全高(mm) 1,830×615×945 1,790×615×945
軸距(mm) 1,195 1,195
乾燥重量(kg) 81 71
エンジン型式 AC15E AR02E
エンジン種類 空冷単気筒DOHC4バルブ 空冷単気筒DOHC4バルブ
排気量(cm3) 49 49
内径×行程(mm) 40.0×39.6 40.0×39.6
圧縮比 10.1 11.7
最高出力(kW[PS]/rpm) 4.11[5.6]/10,500 5.14[7.0]/13,500
最大トルク(N・m[kgf・m]/rpm) 4.11[0.42]/8,500 4.41[0.45]/10,500
変速機 5速 6速
タイヤ 前 2.50-18 45L 2.50-18 45L
後 2.50-18 45L 2.50-18 45L
新車価格(円) 329,000円 438,000円
当時は若者の間でビッグスクーターと400ccアメリカンが流行っていたので、若年層からはあまり注目されず、2000年にカタログ落ちしました。
余った在庫を販売店に処分価格210,000円でセールをしていて当時知り合いのお店から原価でどおっ?と勧められた記憶。あの時買って置けばよかったなあと後悔してたバイクです。