目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
30分以内 |
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ポルシェ930(1974年〜の911)には「オートマティックヒーターコントロール」が付いています
名称は立派ですが、オートエアコンと違い非常にアナログティックでアバウトなシステムです
930は空冷エンジンですので、現代の一般的な車のように冷却水を使用していません
一般的な車のヒーターは熱くなった冷却水を車内に引き込みその熱を使用していますが、空冷エンジンの車は事情が違います
『TOYOTA Sports 800』などは、オプション?のガソリンストーブが付いていてボンネットの中にあって非常にメカニカルで興味をそそります
『VW ビートル』以降の空冷ポルシェはエキゾーストマニフォールドの熱を利用したシステムになっています
「ヒートエクスチェンジャー」というエキゾーストマニフォールドの周りを囲ったケースの中を通過する温かい空気を車内に取り込むというシステムです
これのメリットは、水冷の車のように冷却水が温まるまで暖房が効かないということがなく、走り出してすぐに温風を車内に引き込めることだと思います
時代によって当初はエンジンを冷やすためのファンからの風をそのままヒートエクスチェンジャーに入れて、それを車内に取り込んでいましたが、930では別のファンが追加になっていて空気を取り込む経路が変わっています
さらに別のファンが追加されたりと、基本をそのままに追加でグレードアップ??していっているようです
写真の中央の赤いノブを上(手前)に引くとヒートエクスチェンジャーからの空気取り入れ口が開くというものです
しかしこのノブはそれ以前の手動だったころの遺品で、オートマティックヒーターコントロールではこのノブが付いたレバーにモーターからのリンケージが繋がっていて、モーターでこのレバーを上下させます
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オートマティック・ヒーターコントロールの仕組みは写真のようになっていて、下記の【A,B,C】3つの情報をもとにモーターを回したり、止めたり、反対に回したりして温かい空気を取り込むバルブを開け閉めするものです
【A】
ルームミラーの上あたりに付いている室内温度センサー
【B】
ヒートエクスチェンジャーから室内へ入る空気の温度を測る温度センサーです
【C】
任意の温度に設定するスイッチです
スイッチといっても本体は巻線式の可変抵抗器です
【D】
制御回路の基盤です
[現在の状況]
私の車両は買った当初(33年前)から、温度調整のスイッチを一番低い「1」にしても、ヒーターレーバーはMAXのままで、ヒーターは効くのですが、まったく自動制御不能でした
[今回の修理着手の経緯]
あまりヒーターは使いませんし、入れたり切ったりすることで特に困っていなかったのですが、最近になって「スイッチをどのポジションにしてもMAXのままなのは、制御基盤の経年劣化不良が多い、、、」ということを聞き、Webも調べましたが確かにそういう記事が多く、私の車両もそうだろうと予測しました
Webでこの基盤を調べると、サードパーティのものでも ¥40,000-以上もし、高いものは ¥70,000- もします(基盤の内容から呆れてしまします、、、)
しかし知人から教えていただいたものは $110- というのがあり、これだとまだ現実的か??と思っていましたが、まずは経年で必ず劣化し機能しなくなる「コンデンサー」を交換してみようと思い実物を見ると、「ポリスチレンコンデンサー 100pF / 160V」のようですが、このタイプは100個単位とかしかないので大阪日本橋で「セラミックコンデンサー 100pF / 1kV」を見つけて買い、とりあえずやってみようと始めました
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これが買ってきた「セラミックコンデンサー 100pF / 1kV」です
結果からいうと、コンデンサーの不良ではなかったので交換はしていません
なのでこれが使えたかどうかは今のところ不明です
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写真は運転席側(左側)のシートを外してコントールボックスを捲ったものですが、この状態にするには4本の小さなボルトを外すことと、レバーとモーターからのリンケージを繋ぐボールジョイントをこじって外す必要があり、助手席側のシートを外した方がやり易いと思います
私はガレージの関係上 運転席側を外していますが、仕組みを知っていればこれでも可能です
もちろん両側を外すとさらにやり易いと思います
【A】
ヒートエクスチェンジャー側の温度センサーからの配線です
【B】
室内温度センサー側からの配線です
[不良原因の確認をします(範囲を絞ります)]
①【A】の抵抗値を測ります
マニュアルには「気温20C°」のときに「1.7kΩ」とあります
**********************************************
「2.2~3kΩ」くらいで「気温せいぜい「5C°」くらいなので良しとします
(まずは導通していますし、短絡もしていないので良しとします)
②【B】の抵抗値を測定します
マニュアルには「気温20C°」のとき「1.9kΩ」とあります
**********************************************
導通が全くありません!!
→少なくともこれも原因の一つ!!
室内センサーはサーミスターで、温度が下がれば抵抗値は上がります
断線していれば抵抗値は無限大となるので、MAXのままということもありえます
③温度調整スイッチ(可変抵抗)の抵抗値の測定
スイッチの位置は{0=off と 1〜9/DEF の10段階のon があります}
「[5]の位置で 950Ω±20Ω」とあります
*************************
手持ちのテスターでの実測値です
[0]0Ω
[1]0.36kΩ
[2]0.47kΩ
[3]0.61kΩ
[4]0.87kΩ
[5]1.05kΩ
[6]1.12kΩ
[7]1.32kΩ
[8]1.46kΩ
[9]1.76kΩ
[DEF]2.00kΩ
誤差の範囲ということで問題なし
■上記の結果、とりあえずは室内温度センサーの導通なしの原因を探ってみます
このままだと基盤が正常でもどうにもなりません
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【A】
制御基盤です黄色い点線で囲んだものがコンデンサーで同じものが2つ付いています
【B】
温度調整のスイッチ(可変抵抗)です
*******************
温度調整スイッチのダイヤル部分は、パーキング及びヘッドライト点灯時は光ることを、つい最近に知人の車両を見て知りました
【C】の部分に【D】の「T5」ウェッジ球のソケットが差し込まれていますが、抜いてみると電球が切れていました
LEDにしておこうと思い、手持ちのものを探しましたが、T5のLEDはどれも長すぎたり、頭が大きすぎたりで入りません
またチップから自作するしかなさそうなので、今日のところは通常の電球を入れておきます
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色々と調べてみましたが、室内温度センサー自体は外して抵抗値を測るとほぼ規定とおりで問題ないのですが、もとの位置に繋ぐと導通がなくなります
【写真(左上)】サンバイザーの間の黒いゴムの突起物が室内温度センサーのカバーです
これを外して、サーミスターを直接測ると、だいたい規定の抵抗値にあるようです
(サーミスター本体はセラミックコンデンサーのような形をしていますが、ソケットにハンダつけしてあり、写真はソケットに付いた状態です)
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【写真】はサーミスターを取り外してケーブルだけになったものですが、固定されたケーブルが断線するのも、どうもおかしいのですが、このコネクター部分にガムテープが貼られていたり、いじった形跡があるので私が所有する以前に調子が悪く不適切な作業をし、そのままになっていたものでは?と推測します
ケーブルは同軸になっていましたが【写真右下】白色の点線あたりが断線しているようです
先から6~7cmくらいのところから切って、別のコネクターをつけて接続します
■正常??許容範囲??かどうかわかりませんが、温度調整ノブの位置でレバーの位置も変わりますし、温度調整レバーを[1]にして、室内温度センサーにドライヤーで温風を当てると、直ぐにレバーは下がっていくので、動作が新車時とどの程度違うかは解りませんが、とりあえずは動作しているのでこれで様子を見ることにします
見込みで買った、¥35 のコンデンサー 2個は無駄?になりましたが、あとはガレージにあるコネクター等だけで治りましたので良かったと思います
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ついでにこの辺りの清掃を念入りにやり、ヒートレバーのノブの溝に埋められた塗料も剥げかけていたので、タッチアップ用の塗料を爪楊枝で塗り、磨いて綺麗にしておきました
次の課題は、今回機能していなかった室内温度センサーはルームミラーより上についていますが次の世代の930は、ダッシュボードに埋め込まれていて、頭より低い位置に移動しています
頭や顔は温かくなる必要をあまり感じず、足元が暖かく頭は涼しいというのが良いと思うので、センサーは低い位置の方が良いのでは?と考えています
暫く様子をみて、新たなサーミスターを低い位置、例えばセンターコンソールの裏側とかに付けて、足元の温度でコントロールすると窓を少し開けると「頭寒足熱」で眠くならない快適なドライブが出来るのでは? などと考えています
取り敢えず、これで33年前の状態よりまた一つ良くなりました
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