
近頃、“PLENUS RICE TO BE HERE”というラジオ番組にハマっている。
「食を通して、各地に伝わる日本の文化をひも解く」
をテーマに1回9分の番組。
今日までに取り上げられた都道府県は次のとおり。
石川、京都、富山、神奈川、茨城、福井、埼玉、長崎、栃木、大坂、香川、東京(江戸)、徳島、高知、沖縄(宮古)、石川(金沢)、静岡(熱海)、奈良、千葉、愛知(名古屋)、長野、山梨、青森(八戸・十和田)、佐賀、山形、福島、岩手、島根(隠岐)、岐阜、滋賀、福岡(行橋)、岡山、兵庫、兵庫(淡路島)、東京(江戸時代)、群馬、秋田、大分、熊本
(下)では、元日に発生した「令和6年奥能登地震」で被災した北陸地方を取り上げたい。新潟県は番組ではまだ取り上げられていないので、富山県、石川県、福井県の3県のみとなる。
【富山県】
Episode 14「御祝いにはカマボコ」
私がお正月にいただくカマボコは小田原のカマボコ。
必ず板の上に乗っている。

HPより拝借。山が高いのが、小田原かまぼこの特徴
一方、富山のカマボコは板に乗っていない。
「巻きカマボコ」と「細工カマボコ」の二種類があるという。
<巻きカマボコ>

HPより拝借。私もおすそ分けで何度かもらったことがある。
北前船の影響で北海道から運ばれた昆布を巻いて作ったのがはじまりらしい。
<細工カマボコ>

HPより拝借。ハレの日の特別なカマボコ
鯛の形をしていたり、鶴や亀などのめでたい生き物が描いてあったり、「長寿」「祝」などの言葉が書かれているそうだ。
もしかしたら大阪に住んでいる時に、引き出物でいただいたことがあるかもしれない。ちょっと記憶が曖昧…
なぜカマボコなのか?
①魚をムダにしない。
お刺身にした残りの部位をすり身にしてカマボコとして食べ切る。
②江戸時代の大奥ではカマボコが食べられていた。
③言霊の観点から。
「祝」とか「長寿」の字の書かれたカマボコを食べることで、気持ちが入ってくると考えられている。
④大きいのでお腹いっぱいになる。
皆で切り分けて楽しむ「おすそ分け文化」がある。

HPより拝借。最大級のサイズの鯛。年間40~50個は出るという。
1匹24,900円もする。
これはスゴイ!
おすそ分けしないと食べきれない!

お正月用として特別販売されていたと思われる。
デパート地下の食品売り場で、富山のカマボコがタイミングよく売られていたので買ってみた。
食べたら、「何シテル?」に載せて、後にこちらに追記するつもり。
【石川県】
Episode 5「表日本の中心地だった加賀」
子供の頃、ひらがなを覚えるのにお世話になった50音図。
いつ、どこで、誰が作ったのかなんて考えたこともなかった。
そのあたりは番組ナビゲーターの山口謠司(ようじ)さんの専門分野らしく、わかりやすく説明してくれた。
50音図は1100年頃、山代温泉にある薬王院温泉寺で住職をしていた明覚というお坊さんが作ったそうだ。
時期的には源氏物語や枕草子の書かれた100年後に当たる。

HPより拝借。山代温泉の景観
加賀は当時の国際都市、まるで今の横浜のような地域で、中国人、朝鮮人、日本人もいろんな地域から集まってきている。
そんな環境に明覚自身が身を置くことで、言葉は変化することに気がつく。
明覚は比叡山から降りてきた人。
比叡山にいた時に学んだ中国語と、加賀で聞く中国語が違う。
朝鮮語も変化している。
ところで現代日本語も変化している。
変化の渦中にいる私達は気づかないし、どう変化しているかさえわかっていない。
「あれ、若い人たちがヘンな言葉を使っているぞ」
と思っているうちに、それが定着していく。
明覚はこのまま日本語が変化していったら、古語が読めなくなってしまうと危機感を抱いた。
源氏物語や枕草子が読めるようにし続けるために、まだ読める段階で発音と文字を固定した表を作っておかなくてはいけない。
そう考えて50音図を作ったそうだ。

HPより拝借。「山口 謠司, 『日本語の奇跡』, 新潮社, 2007年」を元にHP製作者が作成
合わせてカニが紹介されていた。
雄のズワイガニを「加納ガニ」、雌のズワイガニを「香箱(こうばこ)ガニ」というそうだ。
メスは保護のため解禁期間はオスより短く、通常11月6日~12月29日までの2か月間。

HPより拝借。香箱ガニ。7~8㎝と小さい
甲羅の中にも卵、外にも卵。
カニ味噌、卵、カニ肉を混ぜてきれいに調えられたものを二杯酢でいただくそうだ。
山口さんいわく
「至福。これほどおいしい蟹を食べたことはないくらい」
この話を聞いて、冬の北陸はchérieちゃんでアクセスできそうにないけど、いつか食べに行ってみたいなぁと思った。
【福井県】
Episode 26「福井の巻 其の三-御食国(みけつくに)・福井」
御食国とは、
「お食事の材料になる国」という意味の古い言葉。
天皇が食されるための、海産物を中心とした食物を納めた国のことを言う。
淡路(兵庫県)、若狭(福井県)、志摩(三重県)が該当したそうだ。

HPより拝借。山あり谷ありのルートらしい
京都までおいしいものを届けるのに、3つの街道があったという。
・若狭街道:近世のメインルート
・針畑越(はりはたごえ):最古の鯖街道と言われる
・西の鯖街道
<若狭湾で取れる魚介類>
・若狭カレイ:薄だいだい色のきれいなお魚

HPより拝借
・グジ:若狭だけでしか取れない赤い甘鯛で皇室献上品。
煮つけにするとおいしいと言われる。
関東ではほとんど食べることができないし、現地でもものすごく高価で滅多に食べられないらしい。

HPより拝借
・越前ガニ
また年末は鯖のぬか漬けである「へしこ」のシーズン。

HPより拝借。福井のソウルフード
へしこが好きになれないと福井は好きになれないかもしれないと山口さんは言う。
いったいどんな味がするのでしょう?
私も気になる。
北前船は三国、敦賀、小浜の港にも立ち寄り、昆布やニシンが陸揚げされ、陸路、鯖街道を通って京都や大阪へ運ばれた。
なのでおぼろ昆布も有名
幅の広い包丁でリズミカルに漉いて出来上がる昆布。
地元の子供達はおにぎりは、海苔とおぼろ昆布の2種類で食べるそうだ。

HPより拝借。お米は福井の新しいお米「いちほまれ」かしら
富山のカマボコを買ったデパートの上層階では、福井の物産展がやっていたので、ふらっと歩いてみた。
おぼろ昆布も売っていたので、試しに買ってみた。
こちらもおにぎりを作って食べてみたら、「何シテル?」に載せて、後にこちらに追記するつもり。
実は去年11月のドライブ旅行は、北陸へ行く選択肢もあったのだが、いろいろ考えて、東北を楽しくドライブしてきた。
元日の地震により、ある考えが芽生えた。
「これは後で行くためにとってあったのかも」
時期が落ち着いたら、北陸へ遊びに行ってささやかなお金でも落としてこようと思う。
東日本大震災の年のゴールデンウイークにも、そういった趣旨のもと福島県西部へ足を延ばしている。
今回の震災で被害を受けた皆様のご息災と、一日も早いご復興を心よりお祈り申し上げます。
今回(上)(下)に分けて、ほんの少しだけ紹介したけれど、番組を聞けば聞くほど日本の豊かな文化を感じることができる。
地方の衰退が著しいと言われる昨今、こうした食文化が継承される限りは、まだまだ何とかなるんじゃないかなと思った。
そしてできる限り、私自身も追体験の旅に出てみたい。
最後に、“PLENUS RICE TO BE HERE”について
J-WAVE(東京のFM局)で月~木の15時10分~20分に放映されている。
それ以外にも、ポッドキャストで聞くこともできる。
食や食にまつわる歴史や文化、風土に興味のある方はどうぞ。