飛燕II型改試作17号機その2
投稿日 : 2019年05月04日
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その1の投稿から1年空いてしまった件。
その2です。
「ハ140」エンジンを前から。
直噴式インジェクタ(!)に当時としては先進的なSOHCの動弁システム。
フルカン接手(トルコンの様な流体クラッチ)による可変ブースト機構。
水メタノール噴射による筒内冷却システムetc…
当時の日本の工業力には手に余るドイツの最新技術の塊故に、国産化したら悲惨な事になりました。
せめてもう少し構造の簡素なユンカース社のユモ系エンジンにしておけば…
と当時の関係者さんにすら嘆かれてしまう悲運のエンジンです。
でも好き。
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こちらは「ハ140」の前身である「ハ40」のピストンとコンロッド。
I断面なんですねえ。
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そしてこれが問題のクランクシャフト部のローラーベアリング。
当時の日本では子ベアリングの精度が出せずエンジン故障の原因に。
なんでも大きさが不均一なために一点に負荷が掛ってそこから焼き付いてしまうんですって。
開戦によって工作機械が入手出来なくなり(工作機械も輸入に頼っていました)、戦時徴用された学生さん達に手作りで作らせてりゃさもありなん。
つかメリケンと戦うのにメリケン製の機械がないと部品の製造ができません、とかもはやギャグの領域です。
なお途中でプレーンメタルへの転換が図られたようですがそちらも何らかの理由で頓挫した模様。
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ハ40のバルブ周りの部品と燃料ポンプ。
バルブはなんと現代のレーシングカーや高性能車にも使われているナトリウム封入式。
時代を考えると凄いですよね。
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ハ40の片バンクのシンリダーブロックとカムシャフト。
ちなみに燃料噴射装置周りの設計はあのボッシュが手掛けているそうです。
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各地を転々としている間に喪われてしまった計器盤も復元展示されていました。
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そして星型18気筒の「ハ42」エンジンも展示されていました。
余談ですが各エンジンの頭についてる「ハ」は発動機のハです。
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これの元になった星型14気筒の「火星」エンジンと、エンジンの生産が追い付かず大量に余っていた飛燕の機体を合体させた急造機がいわゆる五式戦闘機。
五式戦も大好きなんですよね~。
いつの日かイギリスにある現存機を見に行きたいものです。
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