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2010年03月16日

明日から使えるドグ講座③

明日から使えるドグ講座③ さて、昨日はめでたく2速まで入ったドグミッション講座ですが、シフトアップとシフトダウンはあざなえる縄の如し、ということで、今日はシフトダウンでもしてみましょうか!

シフトダウンするときにもクラッチを切る方法と切らない方法の二つがあります。
ドグミッションでもシフトダウン時はクラッチを切ったほうが良いと教わった私は、初めのころはこれでもかとヒール&トゥ(以下H&T)を多用しておりました。
が、何ともうまくシフトダウンできないのです。
回転を合わせてるはずなのに、シフトチェンジしようとすると「ガガガガガガ!!」と弾かれてしまうのです。

で、これまた引出しの奥から引っ張り出してきたのが「ダブルクラッチ(以下W/C)」という技術です。
というか、W/Cを踏んだらうまくシフトダウンができたことがきっかけでT/Mの構造を考えるようになったというのが正しい順番なのですが。

W/CとただのH&Tの一番の違いは、ニュートラルのときにクラッチをつなぐかつながないかです。
シンクロ付きの車に乗っているとH&Tで十分なのですが、その実は大きく違います。

では、通常のタイトコーナー進入などでブレーキングしつつ2速→1速のシフトダウンをする場合を想像してください。

<ヒール&トゥ使用時>
まず、2速全開からブレーキングを開始します。
T/Mの中はこんな状態です。


このときもちろん車速が落ちるに従ってエンジン回転数も下がっていくわけです。
で、2500rpmになった時にレブリミットまで吹かせばスムーズに1速につながるわけですね。
(実際はブリッピングの間にも車速は落ちているわけで4500rpmぐらいでつながるのだとは思いますが、ここではそういうリアルな話は横に置いておきます。)

で、H&Tをやってみましょう。

まず、ブレーキを踏んだままクラッチを切りますね。


このときの【アウトプットシャフト】【ドグクラッチ】【両2速ギヤ】【インプットシャフト】の回転数は全て2500rpmです。

次に、この状態のままブリッピングをして1速ギヤにエンジン回転を合わせてやります。
1速の減速比は2.000ですので、目標のエンジン回転数は5000rpmですね。

ただし、H&Tの場合、クラッチを切りっぱなしでこの操作を行うため、いくらエンジン回転を合わせてもクラッチ以降の【1速ギヤセット】には伝わらないわけです。
ちなみに、このときの【ドライブ側1速ギヤ】の回転数は2500rpmですが、【ドリブン側1速ギヤ】の回転数は1250rpmですね。
このままの2→1速のシフトダウンでは2500rpmの【ドグクラッチ】を1250rpmで回転している【ドリブン側1速ギヤ】にぶち込むことになるのです。

これが前出の「ガガガガガガ!!!」の原因になるわけです。

ちなみに、このとき回転がいくら合わないからって、焦ってクラッチを踏みっぱなしのままアクセルを吹かしまくったりしてしまいますが、要するにクラッチをつながない限り何をやっても無駄なわけです。
が、シフトチェンジできない状態でクラッチをリリースするのも恐怖ですし、自分の手と足が今何をしているのか全く分からなくなってしまうことも多々ありました。
俗にいうパニックですね~。

そういう時は迷わずハザードをたいて路肩に止まって頭を再起動です。
ミッションの構造をよく考えながら再チャレンジしましょう!

<ダブルクラッチ使用時>

また2速全開からブレーキングを開始します。


2500rpmになった時にまずクラッチを切ってシフトをNに入れます。


で、おもむろにクラッチをつないでブリッピングをします。


これこそまさにW/Cの真骨頂ですね!!

このときのT/Mの中の状態はこんな感じです。

【アウトプットシャフト】【ドグクラッチ】の回転数は前と同じ2500rpmです。
で、ブリッピングしてやることによってエンジン回転を5000rpmにしてやります。
このとき、クラッチはつながっているため【インプットシャフト】の回転数も5000rpmになるわけです。
つまり、常時噛み合いの【ドリブン側1速ギヤ】は減速比によって2500rpmになるわけです。

これで【ドグクラッチ】と【ドリブン側1速ギヤ】の回転数がちゃんと合いました。

合った瞬間にクラッチを切ってシフトチェンジをすれば極めてスムーズに1速に入るわけです。

ここでお気づきでしょうか?
実はこの操作の間でクラッチは何の役割も果たしていないわけです。

シンクロ付きミッションの場合は、クラッチつないだままではエンジン回転があっていない場合シンクロナイザーに負荷がかかりすぎてぶっ壊れてしまうという理由がありますが。
(分かりにくいですよね~、忘れてください!!)

きっちりエンジン回転をあわせられるならクラッチを切らなくてもよいのか?
良いんですよ~!!

<クラッチを切らずにシフトダウンする場合>

また、2速全開からスタートします。
コーナーが近づいてきて、あなたはおもむろに『左足で』フルブレーキングを開始します。
で、エンジン回転が2500rpmになった時にアクセルを吹かします。
と同時に【ドグクラッチ】にかかっていたトルクが消えるのですかさずギヤをNに入れます。

そのままブリッピングをして5000rpmになった時にアクセルを離すと同時にN→1速にシフトチェンジをすれば2500rpmで回転している【ドグクラッチ】が、同速で回転する【ドリブン側1速ギヤ】に吸い込まれてシフトチェンジが完了するわけです。

画像にすると連続してこうなります。




実際はこのときにも、ブリッピング中もブレーキングを続けることによる【アウトプットシャフト】の回転落ち分や、エンジンのトルク曲線=回転の上がるスピードの差なども考えながらのシフトチェンジになるわけです。

メンドクサイでしょ!!

じゃ、結局H&Tとは何なのか?
私の中の結論はシンクロ機構が付いている車だからできる究極のシフトチェンジだと思っております。

T/Mの中身は、こうやって考えてみると大きく分けて3つのパートに分かれると考えられます。
「前(トップの画像でピンク)」=エンジンからクラッチのドライブ側まで。
「中(同グリーン)」=クラッチのドリブン側からドリブン側のギヤまで。
「後(同ブルー)」=ドグクラッチ、もしくはシンクロメッシュからアウトプットシャフトまで。

このなかで「前」はエンジンに直結、「後」はタイヤの回転数に直結しています。
が、「中」だけはどちらかに連動して動くだけで、随意に回転させることはできません。

スムーズなシフトチェンジのためには、3つのパートの回転数を合わせてやることが大事なのですが、シンクロなしの場合、「中」はクラッチを使って「前」パートで回転を調整してやるしかないため、W/Cという技術が必要になるわけです。
しかし、シンクロ機構付の場合、シンクロメッシュが「後」の回転に合わせて「中」を同調させてくれるため、ドライバーはクラッチをつないだときのクラッチ前後の回転数差さえ気にしておけばいいわけです。

三度目になりますが、ここでもシンクロコーンの優秀さが証明されたわけですね~。

じゃ、ドグのメリットは何か?

レース用のミッションでは、ギヤの繫がりのダイレクトさとかシンクロナイザーにかかる負荷の大きさとかの理由によって、ドグが使われているようです。
ミッション自体の重量も軽く出来るようですし。

後は、左足ブレーキが自由に使えればな~。
最近は練習しているのですがねぇ。

結局シンクロ付きでもクラッチを切らずにシフトチェンジは出来るのですがね~!

ということで、『明日ドグ講』これにて終了です~。

皆様も是非悶々としてみてください~!
ではでは!
ブログ一覧 | テクノロジー | 日記
Posted at 2010/03/17 00:57:29

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この記事へのコメント

2010年3月17日 5:47
すばらしい講座でした。
ありがとうございます。

ダブルクラッチについて、さらなる知識をお求めの方は、某動画投稿サイト(確かヨウツベとかいうやつですよ)で「ダブルクラッチ」と検索してみてください。

ヒロミ・ゴーとチイチイがレオーネでカーチェイス?をする伝説のトホホ映画、「ダブルクラッチ」のクライマックスシーンがアップされているようです。
なお、これを見ても笑えはしますが運転は全く上手くなりません(爆)
コメントへの返答
2010年3月17日 23:20
いえいえ、お粗末さまでした~。

早速ヨウツベで「ダブルクラッチ」を検索させていただきまして、ありがたい映像の数々を堪能させていただいております。

まるで、スバルをスポンサーにしてタランティーノ監督がジャッキー・チェンを主演で映画を撮ったかのごとくの出来栄えに、あふれる涙を抑える事が出来ませんでした。
野沢のダートを走る前にこの映画でイメージトレーニングをしたら、たっぷり30秒は遅くなってしまいそうです。

ただ、スーツを着たままダートの練習にいけてしまう環境は羨ましい限りです(違)
2010年3月17日 8:19
なるほど、「前」「中」「後」の「中」の意識がほぼ無いのが失敗の原因だったのですね!
すんごくよくわかりました!ありがとうございます!
コメントへの返答
2010年3月17日 23:21
マジですか~!!
苦心してギヤとかを切った甲斐がありました!
こちらこそありがとうございます!

調子に乗って次は動画?
2010年3月17日 8:40
なんとなく、わかったようなわからないような・・・
構造がやっぱり良くわからないんですよね~

弟にちょっと教えてもらおうw
コメントへの返答
2010年3月17日 23:33
実際に中身を見るチャンスもほとんどないですから難しいですよね~。

黒目さんの動画も分かりやすいですよ~!
2010年3月17日 19:11
こんばんは~

ホント、シンクロ様サマですね。
ノーマルミッションでやっていた、素早いシフトは
シンクロのおかげなんですね~
しかも、シンクロを痛めつけていただけ・・・。

ノークラシフトダウン、理屈は分かった感じがするのですが、失敗と思うと
怖くて・・・。
ノークラシフトダウン、ナラシが終わったらちょっと練習してみます。

ドグ、面白い代物です。
そして、毎日が練習・・・。
コメントへの返答
2010年3月18日 1:37
こんばんは!!

そうなんですよね。
ドグにしたからといって決してシフトが早くなるわけではないのですよね~。
エンジンの回転落ちを早くしてやると今度はトルクが落ちてしまいますしね。

じゃ、なぜドグを入れるのか…
(入れたのは前のオーナーさんですが。)

そこにドグがあるからですよね!

ドグミッションには、一度味わうとヤミツキになってしまう魅力があります。
日常生活で役に立たなくたって良いんですよね!
2010年3月17日 22:10
↑×2
シンクロ付きMTですが、分かり易そうなサイトを探してみました。
シンクロの働きが良く分かるサイトどっかに無いかなぁ…
コメントへの返答
2010年3月18日 1:39
動画、分かりやすいですね~。

またややこしいのがこの「常時噛み合い」と「選択式噛み合い」の違いですよね~。

もっと分かりやすくするにはどうしたら…
2010年3月18日 1:44
改めてシンクロとクラッチの役割を教えられました
さすがです
昔の人は賢いなぁ

ちなみに
H&Tはコーナーを脱出する時のシフトダウンをブレーキング時に済ませる技だと考えていました

というわけでアクセルをあおるのはシフトをするためではなくクラッチをつないだときのギク&シャク対策だと思いますが・・・

でも車の運転は奥が深いですね
まだまだ精進が必要ですね
コメントへの返答
2010年3月18日 2:24
シンクロを発明した人はノーベル賞モンです!
今流行のツインクラッチミッションなんかよりよっぽど斬新ですよ~。
ドグに乗って初めて分かる有難さでした。

H&Tでアクセル煽るのは、おっしゃるとおりギクシャク対策であって、決してシフトチェンジの操作自体の助けにはなっていないのですよね~。

シンクロつきのクルマでも、注意深くシフトチェンジをしていれば、入りにくい瞬間・入りやすい瞬間とか分かるものなのでしょうか。

もうそっちの感覚を忘れてしまいました…

精進ですね~!!!
2010年3月18日 8:34
若い人は大変ですね。
僕らジジイは、ヒール&トウとダブルクラッチはセットで覚えましたよ。

逆に質問なんですが、ダブルクラッチ無しでもスムースなシフトダウンは可能なんですか?
練習会等で若い子を乗せると、不思議そうな目で見られます。
体が覚えていて、自然にセットでしてます。

ちなみに、昔のMT車は、クラッチワイヤーが良く切れました。
切れると嫌でもノンクラッチシフトになりましたよ。
コメントへの返答
2010年3月18日 23:36
最近はDSGやらSMGやらセレスピードやらで、クラッチがついているほうが少なくなりつつある今日この頃、はたして車を運転する楽しさとはなんだろう、と考えてしまいます。
とすると、やっぱりノンシンクロの車とかの方が楽しいんでしょうね~!

技術の進歩ってなんなのでしょう…

シンクロ付きの車であれば、ダブルクラッチは全く必要ありません~。
シンクロを労わるつもりがなければですが。

クラッチワイヤーが切れたら、絶対に止まれないですね~。
2010年3月18日 11:18
おはようごさいます(^^)

図解があって、
本当に良いです(^^)

そうそうエンジン回転数さえ
あわせればギアってクラッチを
切らなくてもスコスコと
変えられるですよね…(^^)

この時、ダブルクラッチの要領で
一度アクセルを話してシフトレバーを
ニュートラルにしてアクセルでパンと
エンジン回転数を上げた瞬間に

シフトレバーを変速したいギアに向けて
軽く押してあげると、突然スコッと
入る…

こうすればシフトアップもシフトダウンも
できちゃいますもんね(^^)
コメントへの返答
2010年3月18日 23:39
こんばんは!!

楽しんでいただけたようでよかったです!

クラッチもシンクロも、大変だったシフトチェンジを便利に簡単にする機構だと思いますので、論理的にはなくても大丈夫なのですよね~。

クラッチだけは発進時にどうしても必要ですが…

ドグのクルマに乗って、あらためてマニュアルミッションのクルマの楽しさを発見した気がします。

技術って奥が深いですわ~。
2010年3月24日 8:16
クラッチワイヤーが切れた時は、一速に入れたままセルを回します。
すると、セルモーターで車を進めつつ、エンジンがかかるんですね。
エンジンがかかっちゃえば、後はノンクラッチシフトで走るんですよ。
コメントへの返答
2010年3月24日 12:47
やはりそうでしたか!
教習所で習う「踏切でエンスト時の緊急脱出法」ですね!!
セルモーターのトルク、半端じゃないですもんね。
あれこそ一度体験しておいた方が良い教習内容だと思います。

2012年12月8日 17:49
初めまして!
ドグミッションのことが知りたくて、
検索していたらたどり着きました。

とてもわかり易い説明でした。
勉強になりました。ありがとうございました。
コメントへの返答
2012年12月16日 3:25
はじめまして~!!

こんな古いブログが皆様のお役にたっているかと思うと嬉しい限りです!!
こちらこそありがとうございます!

もう少しわかりやすくするための「何か」を考えたくなってきました~。
今後ともよろしくお願いいたします!

プロフィール

「スベルノスキー 2019年 集合場所・時間のご案内! http://cvw.jp/b/408909/42439298/
何シテル?   01/23 23:50
ラリーとダートラを生きる糧とし、MotoGPとトライアルをこよなく愛し、旧車に憧れ、たまにホットロッドとチバラギ仕様に浮気しそうになる日本男児36歳。 一...
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