ご要望にお答えして、KMYさんのTC2000のログデータを解析してみますw。
今回はその速さの理由に迫りたいわけですが、比較対象が無いとわかりにくいので、Lightingspree君の12月のユートレのデータもお借りしました。KMYさんもspree君もともにSタイヤ装着です。
分析はセクター毎に分けて行いました。TC2000のセクターに大まかに合わせてセクター設置しましたが、正確に同じ位置ではありませんのでご了承ください。
それと残念ながら、KMYさんのデータは、ロガーの計測周波数が少し荒くなっていて(周波数が低い)、走行ラインやGの分析はちょっと難しかったので、主に速度のデータを使っています。
まずタイムです。
spree君も9秒台前半という106としては速いタイムですが、KMYさんの7秒台中盤は驚異的!
ご本人によるとベストタイムは7秒3だそうです!
タイム差を見ると、2人のタイム差は主に、セクター1, 2で付いていることがわかります。
では実際どんな走りなのか、
速度チャートを見てみます。

まず、我々11秒以下の人たちと比べると、はっきり言って、全域で速いですww。
・コーナー進入で減速開始がより奥
・コーナーのボトムスピードが高い
・立ち上がり加速が鋭い
・ストレートの最高速度が速い
ぐうの音も出ませんw。
で、2人を比べてみると、KMYさんの特徴は
・コーナリングの際のV字カーブがきれいに出ている。
非常に精密にコントロールされた走りです。
対してspree君は、
・コーナーのボトムスピードが高い(1ヘアではKMYさんより10km/hくらい高い)
・1コーナー、1ヘア、最終で、減速が2段階になっており、
その分コーナー立ち上がりの加速が鈍くなっています。
ではさらに詳しくセクター別に見て行きましょう。
セクター1(計測点~1ヘア立ち上がり)
ホームストレートの最高速、そこから1コーナーへの減速はほとんど同じですが、
差が付いているのは
・1コーナーからの立ち上がり加速
・1ヘアからの立ち上がり加速
で、spree君は1ヘアへ進入でブレーキ遅らせてタイムを稼いでいますが、立ち上がりで取り返されてますね。
また2つのコーナーで、KMYさんはセオリー通りスローインファストアウトなのに対して、spree君は車の向きを変えるために、リアをスライドさせているようです(車速ラインの差)。
セクター2(ダンロップ手前~裏ストレート半ば)
圧巻なのは、ダンロップ~80RのKMYさんの走り。ダンロップのAPEX付近のボトムスピードが102.7km/hと格段に速く、しかもコーナー立ち上がりではそのままきれいに加速していきます。
FSWでも、コカコーラ~ヘアピンで同じように、高いコーナリング速度から加速する走りをしており、この走りはまさにKMYマジックと言えるでしょう。
そして2ヘアではしっかり減速し、きっちりコーナリング。そしてするどい脱出加速でspree君との差を広げています。
セクター3(裏ストレート半ば~計測点)
このセクションでは2人のタイム差はほとんどついていませんが、最終コーナー進入ではKMYさんがコーナー進入でspree君より突っ込んでいます。しかしコーナー立ち上がりでもわずかですがspree君より加速がするどくなっています。結果わずかですが、ストレートでの到達速度もKMYさんが高いですね。
車のチューニング、セティングを別にすれば、2人の差は2点に集約されます。
1) コーナリングのアプローチ:
・立ち上がり重視の正統的なコーナリングのKMYさん
・コーナーの旋回時間を短くし、くるっと向きを変えて脱出するspree君
2)ダンロップ~80Rの処理:
・コーナー立ち上がりの犠牲にすることなく、脅威のコーナリングスピードのKMYさん
・ダンロップでしっかり減速し、先の加速を重視するspree君
個人的には、この速度域でもいわゆるオーソドックスなコーナリング理論をしっかり実践してタイムが出るんだ、という驚きと納得を感じました。
一方で、spree君のコーナリングは「決まれば速いが失敗すると立ち上がりでロスになる」というリスクをはらんだ走りに見えます。
ここでspree君の「短い時間でくるっと向きを変えて、立ち上がりでするどい加速」
をもう少し掘り下げます。
これは2ヘアのspree君の走行ラインに速度データを書き加えたものです。
A地点で減速Gが最大にになり、B地点で減速Gが0になっています。同時ボトムスピードになります。
このコーナリングでは、B地点、すなわちAPEXより手前で最低速度になり、減速Gもなくなっている、
つまりそのから先はAPEX~さらに立ち上がりへと向け、B地点から加速できているという事です。
この図は、同じ2ヘアの横Gの変化を見たものです。
赤がspree君、青は澤師匠です。
注目したいのは、下側(左)のGの抜け方で、Gの最大値からの戻りは、最初澤師匠の方が早いですが、0Gに近づくにつれspree君の方が戻りが早くなり、0Gに到達するのは、わずかですがspree君の方が早いです。当然横Gがなくなる分、縦G(加速)にタイヤを使えるので、このわずかな差は、加速力の差となって現れます。
コーナーの跡のストレートが長いところでは、spreeラインに利がありそうですね。
そうそうrsport240さんが、KMYさんのFSWの走りを解析されてるので良かったら、以下の関連URLへもどうぞ。
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Posted at
2012/03/10 16:04:49