ホンダはもともとバイクメーカーでしたが、4輪事業に参入する際にまず最初に作られたのがT360という軽トラックでした。なんと日本車で初DOHCな上に4連キャブというレーシング軽トラです(笑)
その後にデビューしたS600ですが、随所にバイク屋の技術やひらめきがあります。こちらもDOHCの4連キャブでレッドゾーンが9500rpmという当時のクルマでは絶対に成し得ないパワーを絞り出していました。しかも、ボア×ストロークが54.5×65mmというロングストロークだというのに。さすが精密機械と呼ばれるだけの名エンジンです!
さらにS600で特徴的なところがバイクと同じようなチェーン駆動なんです。私はてっきりプロペラシャフトの代わりにチェーンが使われているものだと長年勘違いしていましたが、実は短めのプロペラシャフトと若干前進させたデフより両サイドにあるチェーンケースより駆動力をタイヤに伝えているんです。チェーン駆動のメリットとしてはバネ下重量が小さくできるため乗り心地がよくなり、デフが若干前進させられるためトランクスペースを広く確保できたり、プロペラシャフトを長くすることなくホイールベースを大きく取れるなどです。
S600を市販化する際に赤いボディにしたかったのですが、当時の規制で緊急自動車以外に白や赤は使えなかったので役所に通い詰めてようやく認可を獲得できたそうです。
余談ですがS600はほぼレーシングエンジンゆえにディーラーの整備士が泣いていたそうです。特に市販車では前例のない4連キャブにかなり手を焼いたとのことです。
ホンダは4輪車は未経験だというのに、しかも当時の技術ではハードルが相当高いオープンスポーツをあれだけの完成度で後生に語り継がれる名車に仕立て上げた本田宗一郎たちには頭が下がる想いです。
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Posted at
2014/12/31 05:42:07