法務省入国者収容所大村入国管理センター

2011(平成23)年9月、石川県能登半島沖の日本海で動力のない小型船が漂流しているのを操業中の漁船が発見。船内に居た北朝鮮からの「脱北者」とみられる男女9名の一団が保護され、全国に3か所(茨城県牛久市・大阪府茨木市・長崎県大村市)設置されている収容施設「入国管理センター」のうち、ここ長崎県・大村市へ移送されてきた。
難民認定を受ける、もしくは強制退去されるまでの一時滞在施設として我が国で初めて1950(昭和25)年に整備された「大村入国管理センター」(設置当時は「大村収容所」)は、3か所のうちで最大となる収容定員800名分の生活スペースや医療施設の他、様々な宗教を持つ外国人の為に礼拝施設も備える。
元々は針生村(現・佐世保市の一部)にあった、敗戦に伴って外地から引き揚げてくる邦人の受入れ施設が改組され、現在地に移転。管轄も外務省から法務省に変わり今に至る。
ヴェトナム情勢やカンボジアの政変で難民が大挙押し寄せた事態への対処を念頭に、相応の施設規模が維持されているが実際の収容人数は100名ほどで推移しており、大幅な縮小もしくは施設そのものの廃止を求める声も上がっている。
「脱北者」と思われる9名の移送当時の報道映像を見るとパトカーが先導するのはともかくとして、わざわざレンタカーのマイクロバスを借りている。
いわゆる「機動隊バス」など警察警察車輌に押し込めるのは、不幸な境遇の「脱北者」を犯罪者扱いするようで忍びないとの配慮からかと推察するが、個人的には些か問題があると考える。
彼らは、難民もしくは亡命希望者と認定されるまでは領海侵犯・不法入国を図った疑いのある「容疑者」である。生命の安全が保証されない不幸な境遇から逃げてきたのかどうかは、状況からそう推察されるに過ぎない。初動としては通常の犯罪捜査と同じ扱いをすべきで、セキュリティーの面からも警察車輌で護送するのが適当だろう。
しかし、極めて貧相な小舟で大海に漕ぎ出すなど、まさに自殺行為である。
「電車の窓から綺麗に見えたので登りたくなった」とかで、軽装のまま富士に入山し遭難しかけて救助要請をしたバカ者がいたが、それを上回るスーパーバカ者か、助かる見込みのないリスクに身を曝してもなお絶望的な状態から脱したかったか、いずれかだろう。それだけ「かの国」は救いがたいほど重篤な危機に陥っている。
将来に希望を見いだせなくなった人々が起こす行動は二つ。
例え確率は低くとも絶望的状況から脱出し、新天地を目指す難民の群れ。
そして圧倒的な力に対し自身を棄て抗う「自爆テロ」だ。
動機も結果も全く異なるが、極度の貧困や経済的窮乏、身体生命に切迫する避け難い危機が原因という意味では、同根の現象だ。困窮する人々の悲しみ・絶望・怒りの発露のベクトルが異なっているだけに過ぎない。
北朝鮮国内で圧政に抵抗しての自爆テロなら、内政問題であり日本は口を出す立場にないが、ラングーン事件や大韓機事件、そして数々の拉致事件を引き合いに出すまでもなく国家的に対外テロ工作を仕掛けてきた国である。現実に絶望した哀れな人々を洗脳して人間爆弾に仕立て上げ、日本を標的とした自爆テロを実行しないとも限らない。
「脱北者」と確認された暁には、正式に難民として処遇し、身体の自由と平穏な生活を獲得するための援助を惜しみなく与えよう。しかしそれが確定するまでは、警戒を怠るべきではない。難民を偽装した工作員、ということだって考えられるのだ。集団に子どもや女性がいるからといって安心はできない。年端もいかない幼児や、若い独身女性が自爆したテロ事件だって実際に発生している。
大海を女・子ども含めた家族(らしき集団)が小舟に乗って彷徨っていた、というだけで可哀想だとばかりに人道的な庇護を与えるのはお人好しに過ぎる。
最初に発見した漁師さんも、海の男として看過できなかったのだろう。ただもし万が一彼らが武装していたら、近寄ってきた漁船員を皆殺しにし、船を乗っ取って堂々と入港→上陸する作戦で待ち構えているかもしれない。また海上保安庁の巡視船や海上自衛隊の護衛艦だったら、まさにその場で「自爆テロ」を仕掛けるかも知れない。
日本海で不審な船を見掛けたら安易に近寄らず、遅滞なく海上保安庁に連絡するように啓発することが必要ではないかと考える。
発見された小舟と同様に日本海に漕ぎ出し敢えなく転覆したか、沈まなくとも食糧と水を使い果たし船上で飢え干からびた数多の人々の魂と無念が、エチゼンクラゲと共に海中を漂っているに違いない。
最低限、自国民の生命を護れない国家は存在する意味がない。早急に体制変革が始まることを、願って止まない。
なお保護された9名は体調回復の後、外務省との協議を経て翌月には韓国へ向け出国している。
住所: 長崎県大村市古賀島町644-3
電話 : 0957-52-2121
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