バロー(旧ユース)東鯖江店

2012(平成24)年初冬、私は西日本各地を転々とする出張の途上、メガネ生産で有名な鯖江市に投宿した。
日本海側は本格的な冬の訪れを前にして、一日中俄か雨を繰り返し雷鳴轟く不安定な気候。県内他地区では雹も落ちてきたと聞いた。
冬の日本海と言えば、11月上旬からはズワイガニのシーズン。
漁の解禁は鯖江に辿りつく前日のことだったが、漁を終えて帰港するのがその日の夕方。陸揚げ後すぐに競りに掛けられ、流通に回るのが翌日以降になるので、消費者の立場では鯖江で過ごす日が解禁日になる。
しかし、宿の周りに気の利いたカニ料理店が見当たらない。
天候が不安定な中、遠くまで歩き回る気分でもなく、已む無くチェーン展開の焼鳥店に入った(この店自体はとてもよかった)。
焼き鳥で空腹を満たしビール5杯で渇きを潤した後、アイスクリームとお菓子と、もう少し呑みたくなって酎ハイでも買おうかと近くのスーパー「ユース」(当時)に入ってみると、流石に本場。カニの特設販売コーナーが設けられていた。
私が利用した当時は、福井県の地場スーパー「ユース」の看板を掲げていた。最盛期は北陸地方最大の売り上げを誇っていたが、創業家に後継者がいなかったことと、小売業の競争激化と利益縮小に嫌気して、当時の経営者が岐阜県多治見市本拠のチェーン「バロー」に株式を売却。それまで福井県内での店舗展開がなかった「バロー」を補完すべく傘下入りした。
2013(平成25)年には吸収合併され、法人としての「ユース」は解散。スーパーの看板も順次「バロー」に書き換えられているが、古い地図では未だに「ユース」の表示が散見される。
地元の方も待ちかねていたようで、カニは概ね売切れ。
売り場の端っこの方に、小ぶりのカニがざるの上に集められ売れ残っていたが、「せいこがに」と書かれている。
保守本流のオス蟹(ズワイまたは松葉)が美味しいのは当然として、この地域担当の職員からはメス蟹(セイコまたは香箱)もいいよ、と聞いていた。
身の入りはイマイチだが価格が大幅に安く、内子(産卵前の卵)と味噌が絶品。地元以外ではあまり出回らないので、カニをオーダーするならこっちもお奨め……と申し受けていたものの。。。。。。。。
先に記したとおり、夕食は焼鳥店で済ませてしまい、さりとてスーパーのカニを買って帰ってホテルでバラすのも面倒くさい。
結局、解禁当日はカニの姿を見ただけで終わってしまった。
出張行程のどこかで、カニを食べる機会に恵まれるだろうか。
食いしん坊の本領発揮、はもちろんだが、仕事の過程でお会いする地元の人との会話を円滑にするためにも、ここは本物を食しておきたかった。
住所: 福井県鯖江市東鯖江1丁目6-8
電話 : 0778-51-8936
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