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ほんとも犬のブログ一覧

2005年08月04日 イイね!

妄想小説「接待オフロード」 第十回

これを書き始めたときは、十回位の構想でいたんですが、未だ本題の「接待」まで話が進んでないんですね。
一体、どこまで連載が続くんだろ?


引っ張り出したケーブルはしかし、ジープまで届かなかった。
ランクルの位置する斜面の上からでは、距離がありすぎるのだ。
ここは少々危険だが、ランクルを斜面の途中まで降ろしてけん引するしかない。
社長はランクルを、斜面に向けて足を進めた。

10mほど下って、社長はランクルを停止させた。
傾斜はおよそ20~25度程度ある。
人間の感覚では、かなりの傾きを感じる角度だ。
そこまで下がって、ようやくウインチがジープまで届くようになった。

が、問題はここからである。
この状態でけん引を行うのは、かなりのリスクを伴った行為である。
下手をすれば、引っ張っているランクルまで転倒しかねないのだ。
しかも社長はウインチを操作するために、降車している。
運転席に、しかるべき操作をする人間がいなくなってしまう。
そこで社長は、私に声をかけた。
「運転席に座って、ブレーキを踏んでてくれ!」
とってもイヤな…いや、重要な役割を私に命じてきた。

ここに到るまで、私は一度もランクルのハンドルを握ったことがない。
まぁ他人のクルマを運転する機会など、そうそうあるものではないが、よりによってこういう時にその機会が訪れてしまった。
が、事情が事情である、躊躇している暇はない。
私は意を決して、運転席によじ登った。
これほどの緊張感を持って運転席に座るのは、恐らく教習所で初めてクルマを運転したとき以来だろう。
そこから見える世界は、すぐ隣の助手席とはまた違った光景だった。

私が運転席に座るまでに、社長はウインチのフックをジープに固定していた。
ジープの周りにはどこから現れたのか、何人かの人が復帰を手伝おうとワヤワヤと集まっている。
社長が私に一言、
「よし、ブレーキを思いっきり踏んでくれ!」
と合図してきた。
私がブレーキを踏みしめると、社長はウインチのスイッチを入れた。

ジリジリと引っ張られる感覚が、運転席に座っていても感じられた。
社長がゆっくりとウインチのワイヤーを巻き上げると、ジープは少しづつ動き始める。
ある程度持ち上がると、ジープを取り囲んでいた人々が一斉にジープに取りついた。
「ヨッコラショー!!」
ようやくジープは、本来の立ち姿に起き上がった。
Posted at 2005/08/04 18:08:23 | コメント(1) | トラックバック(0) | ブログ小説 | その他
2005年08月03日 イイね!

妄想小説「接待オフロード」 第九回

JR東海浜松工場関係がようやっと一段落して、ほっとしたところです(^_^)

しばらくして気分が落ち着いてくると、私たちの他にも何台かの四駆が、様々なところで悪戦苦闘していているのが見えた。
その数を数えてみると10数台くらいはいるようだ。

しかし走っている車種を見ると、ランクル、ジープ、ジムニーの三種類しかいない。
一般道でよく見かける、パジェロ、サーフ、テラノは一台もいなかった。

まあそれもこの地形を見れば、何となく理由が分かる。
はっきり言って、それらの車種では走破出来ないような地形ばかりなのだ。
出発する前にエスクードを置いていった理由が、実に分かりやすい形で飲み込めた。

ただ上記三車種にしたところで、ノーマル状態の車両は皆無だった。
大抵のクルマは、タイヤやバンパーを交換、リフトアップも何台か見られた。
今乗っているランクルも、SJさんの手がかなり入っているので、もはや別のクルマと呼んでも差し支えない程の状態である。
その内容はタイヤ・ホイールの交換に始まり、若干のリフトアップと標準装備のサイドステップの取り外し。
更にフロントバンパーをギブソンバーに交換したあげく、オフロードでの路面追従性を高めるために、フロントスタビライザーを外す所までやっていた。
この辺りの改造は、Hさんのランクルにも同じように施されているので、端から見ていると少々近寄りがたい雰囲気がこの2台には漂っている。
ともかくここには、マトモじゃないクルマだけが斜面と格闘を繰り広げていた。

そんな中、ある1台のジープが斜面に取りついていた。
そのジープが斜面をジリジリとよじ登っていく様は勇ましい光景だったが、次の瞬間目の前が凍りつくような事態が発生した。
ライン取りを誤ったのか、斜面の途中にあるコブに片輪を乗り上げてしまったのだ。
私たちの見ている前で、ジープは横転してしまった。

幸い運転手その他に、けが人は出ていないようだ。
しかし、横転した際に溝にはまりこんでしまったジープは、ちょっとやそっとでは起こせない状態になってしまった。
途方に暮れたようになっている運転手を見て、社長が声をかけた。
ランクルのウインチを使って引き起こそうというのだ。

ジープが横転した場所は、急斜面の真ん中辺り。
余り足場がいいとは言えない。
が、このまま放って置くわけにもいかないだろう。
社長のランクルは、隣のコースを使って斜面の上に出ると、そこからウインチのケーブルを引っ張りだした。
Posted at 2005/08/03 21:21:48 | コメント(0) | トラックバック(0) | ブログ小説 | その他
2005年07月30日 イイね!

妄想小説「接待オフロード」 第八回

何か当初想定していたより、長い連載になってしまいました。
話まだ半ばにして、少々お疲れモードです…。


眼下に伸びる坂道は、路面というより溝に近いものだった。
轍なのか雨で削られたのか、路面の真ん中に1m近い溝が不規則に路面を走っている。
そこをまたぐように、ランクルは降りていくのだが、ときたまその溝にタイヤを取られる。
他人が運転するクルマで、これほど揺すられたことは初めてだった。
シートベルトだけでは体を支えられなくなり、アシストグリップを掴むが、それでもまだ支えきれない。
今にもひっくり返りそうな体勢になりかかるが、そこから粘って体勢を建て直すと更に下っていく。

長い長い時間が過ぎたように感じたが、それでも30秒位のものだっただろう。
ようやく斜面を下りきったが、ほっとする間もなく今度は別の同じような斜面を登り始めた。
また視界には空しか写らない。
感覚では、ほとんど垂直の壁を登っているようだ。
しかし登っている間は、それほどの恐怖心は感じない。
何しろタイヤをほとんど空転させることなく登っていくものだから、地面を足で登っているような感覚なのだ。
このランクルの走破性には、私も驚いた。

斜面を登りきって後ろを振り向くと、Hさんのランクルも続いて登ってきた。
走りは豪快だが、上手い走りか?と問われると、私が見ても少々疑問符がつく。
一言で言って、同乗したくない走り方だ。

「いやあ、さっきはちょっと危なかったなあ」
斜面を登りきってからの、Hさんの開口一番がこれだった。
Hさんはさっきの下りで、一瞬ブレーキを踏んでしまった為に転倒しかけたことを振り返って言ってるのだ。
しかし私は、
「いや、危ないのはHさんの走り、そのものなんだけど…」
と言うツッコミを頭の中でしていた。

実際、普段のHさんの走りはオフロードに限らず、かなり強引だ。
人から聞いた話だが、Hさんの運転するランクルは接触事故で、相手の車を2・3台くらい廃車に追い込んでいるらしい。
しかも尚悪いことに、Hさんのランクルはそれだけのダメージを相手の車に与えながら、無傷だということだ。
ランクルが丈夫というのもあるが、ぶつかった相手も気の毒なものである。

そんなことを思っていると社長が、
「危ないのは、Hさんの走りだろ」
と、笑いながら私の代わりにツッコンでくれた。
Posted at 2005/07/30 15:57:11 | コメント(0) | トラックバック(0) | ブログ小説 | その他
2005年07月28日 イイね!

妄想小説「接待オフロード」 第七回

妄想小説「接待オフロード」 第七回今日も暑いです。
気分もダラダラになりそうですね。


道中、社長はHさんがランクルを買ったいきさつを話してくれた。

私の勤めている会社と同じく、Hさんは件の会社と取引がある。
そんな仕事の合間に、Iさんとオフロードの話で盛り上がったのだそうだ。
仕事上の付き合いもあるし、ここ最近のクロカン四駆のブームもあって、Hさんも愛車をクロカン四駆にしようと思った。
そこでHさんは最初は手軽なところでと、テラノを買おうとしたそうだが、Iさんから
「テラノじゃオフロードは走れないよ」
と一蹴されたそうだ。
Iさんに言わせれば、社員でテラノに乗っている奴がいて、一緒にオフロードに連れていったんだが、てんで走りがダメで、帰る頃にはボコボコになってしまったから、らしい。
私は、
「それは、テラノのせいと言うより、走ったコースの方に問題があるのでは?」
と思ったが、話の筋とは関係ないので黙っていた。
結局Hさんはその話を聞いて、テラノを買うのを止め、Iさんの勧めるままランクルを買ったのだそうだ。

「まあ、Iさんと一緒に走ってると、命がいくつあっても足りないだろうな」
と、社長は最後に「接待オフロード」での走りを予感させるような言葉で、話を締めくくった。
私は話を聞いていて、何かトンでもないことにつき合わされているのではないか?と思い始めていた。

サービスエリアで一回休息した後、クルマは中央道の土岐I.C.で降りた。
クルマは土岐市街地へ向かわず、そこから山道へと進む。
しばらくそんな山道を走ると、周囲を薮に囲まれたあまり目立たない細い脇道に入り込んだ。

舗装はそこで途切れ、時々脇の木々の枝が車体をこする。
「この先に今日走る所がある」
社長は、車幅一杯の道幅しかない脇道を走りながら言った。
そんな薮の中の道を走り抜けると、突然目の前の視界が広がった。

そこは一面のススキ野原であった。
周囲はだいたい2km前後か?
しかし地形は山あり谷ありの、典型的な山岳地形。
その野原の中に、草をかき分けて造ったような細い「道らしき」ものが、何本も走っている。

「ここが今日走るところだ」
クルマのすぐ目の前の地面が見えない。
窓から前方をのぞくと、目もくらむばかりの坂道「みたいなもの」が一直線に50mほど下っていた。
「じゃ、舌を噛まないように気を付けろよ」
の社長の一声と共に、恐怖の時間が始まった。
Posted at 2005/07/28 17:53:20 | コメント(0) | トラックバック(0) | ブログ小説 | その他
2005年07月27日 イイね!

妄想小説「接待オフロード」 第六回

妄想小説「接待オフロード」 第六回今回の台風は無事に過ごすことが出来ましたが、先日の河原はどうだったんでしょうか?
そういや昔、あそこで台風が接近する中走って、水没しかけたことがあったなあ…
(オイ)

あの練習から、一ヶ月が過ぎようとしていた。
「接待オフロード」に関しては、ここ数週間仕事に忙殺されていて、お呼びがなかった。
と言うのも、その仕事も件の取引先からの依頼だったからで、当然例のお偉いさん「Iさん」とも顔を合わせてはいたが、あくまで仕事優先ということで話がなかったのだ。

そんな仕事にようやく一段落がついたころ、私は社長から呼び出しを受けた。
話の内容は何となく想像できたが、知らぬフリをして話を聞くと、やはりその話だった。
社長の話では、
「再来週の休み辺りに誘われているがどうか?」
というものだったが、お得意先からの誘いを断れるはずもなく、当然了解することになった。

私は、話はそれで終わりかと思って退席しようとすると、社長は更に話し続けた。
「それでいきなり連れていくのも何なので、来週の休みにランクルで山を走りに行ってくるが、どうだ?」
と、新たな誘いを受けた。
どうやら、私的な練習をするので付きあえ、ということらしい。
「来週ですか?」
私は、「接待オフロード」だけでも憂うつな気分だったのに、更に追加があるのかと暗たんたる思いに捕らわれた。
社長は続けて、
「この時は、Hさんも一緒に来るから」
と、私にとって聞き覚えのある人の名前を口に出した。

Hさんは、私の以前勤めていた会社の上司だった人だ。
私が今の会社に転職すると同時に独立して、今も仕事で関わりがある人である。
私はHさんもランクルを買ったことを聞いていたが、よもやここで話に出るとは思わなかった。

「Hさんも今度の話に誘われているんで、少し練習をしたいというんだ」
社長は、HさんもIさんに誘われている旨を話した。
私は、
ああ、「被害者」はここだけじゃなかったんだ…
と思った。

結局、次の日曜日の「練習」にも私は参加することになった。
休日の会社に集合すると、今回はエスクードは出さなくていいとのこと。
ノーマルエスクードでは走破出来ない所を走るから、だそうだ。
エスクードで走れない所って、どんなコースなんだろう?
私はかすかな期待と不安を抱いたまま、社長のランクルに同乗した。

間もなくHさんのランクルもやってくると、集合場所を後にした。
2台のランクルは縦列を組んで一路、東名高速を西へ向かった。
Posted at 2005/07/27 17:56:04 | コメント(0) | トラックバック(0) | ブログ小説 | その他

プロフィール

「ほんともけん」と読みます(^^) 2004年にみんカラを始めた頃は、平八郎(M・ダックス♂)も子犬同然でしたが、2018年の暮れに虹の橋を渡ってしまいました...
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