アイルトン・セナさん。
サンマリノでのあの日は、小学3年生だったか。
朝起きたら、おっかあの第1声が「セナが死んだ」だったのを覚えてる。
当時はF1ブームで、トップドライバーの名前は結構な人が知っていたと思うけど、
よっぽど、現地生中継での悲報ニュースが衝撃的だったんだろう。
コース上で赤旗が準備されていなかったからこんな事になったんだと
小坊ながらに憤慨していた記憶。
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セナが使っていた自身の技の中でも、突出した運転技量を表す言葉として、
セナ足やセナ目がある。
セナ目は、「視界に映る情報を誰よりも多く認識できる力」
を指すと思っている。
セナは日本から迎え入れた技術者をモーターホームまで自分の運転で移動する際、
助手席に知りたい情報を持っている技術者を載せて、
運転中に質問攻めにしたそうだ。
それも、助手席に座る相手に顔を向けた状態で。
「セナ、頼むから前を向いてくれ!」
「大丈夫だ。全て把握している。」
とかやりとりがあったらしい。
他にも、トップスピードでコーナリング中に無線を使ったり
(ストレートではエンジン回転で発せられるノイズが無線の邪魔になる。
ただ、集中すべきコーナリング中で話をするドライバーはセナのみだったそうな。)
コーナリング中に車の警告インジケータが点灯したことを察知した等、
「みえているもの」の次元が違ったそうな。
どっかで見た中嶋悟さんのインタビュー記事でもこれに触れられている。
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/motorsports/motorsports/2014/05/02/f120_1/
勝手にまとめてしまうと、
彼は私と特別違うことをしていた訳ではないけれど、
同じ時間で数多くの動作をすることが出来た。
それは「みえているもの」の差だった。
一点を注視せずに、視界に見えているもの、
特に視界の外側や後方、ピントが合わない運転席部分の変化にさえも、
完全に見えないブラインドの先にすらも意識を積極的に向けることは、
周りのドライバーよりも早い段階で、的確に動作を行う事に役立ったはずだ。
セナ足は「タイヤの4輪を全て限界まで使い切る力」
を指すと思っている。
4輪ドリフトの完成形。
恐らく、カート時代からこの走り方の方がいいと直感的に判断して編み出していたはず。
スロットルを小刻みに、振動させるようにして、
ターンイン後のクリップに着く直前から、
アウト側フロントタイヤがほんの僅かに100%のグリップ力から落ちて来て、
リアタイヤで曲げる状態が作れた瞬間から、
車が「踏めるよ」という声が聞こえてくるよりも早く、踏む。
限界を決して超えないレベルで。
それと同時に手も小刻みに舵を当てる。
それが当たり前になれば、誰も聞こえないような「踏めるよ」の声が、
誰よりも早く聞こえるようになる。
分かる観客はコースを見ていなくても、その独特のエキゾーストノートから、
セナが走っていったと分かったそうな。
タイヤを限界まで使ってターンインした後、
リアタイヤが使える状態になる瞬間から、むかえに行くようなタイミングで
スロットルを僅かにでもONさせることは、
周りのドライバーよりもボトムスピードを高く、高次元で保つ事に役立ったはずだ。
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で、、、
このセナ足とセナ目、私がやる場合はいも足といも目になるんですが、
いも足は昨年末の鈴鹿本コースで、デクナー1と130Rを除き、可能な限り試してみました。
タイム的な変化は、アタックし切れた周回数が少なく分かりませんでしたが、
1コーナーからデクナーまでの区間で、ほぼ同ペースだったNBとの差が開いていったのは分かりました。
(その後デクナー1を攻め切れていなくて結局追いつかれてしまいましたけどもw)
いも目は・・まだ発展途上ですw
これらの技・・・レースやサーキットには合うんです。
ただ、
ジムカーナで使うのが非常に難しい。
単独走行なので、走行中に意識を視界全域にとる必要はまずないことと、
10~40km/h程度の低速コーナリングでは、4輪ドリフトになる瞬間が殆どなく、
ターン前の姿勢制御やステアリングの持ち替え方等の方がタイムアップに貢献してしまうのです。
前にN9000というケンチャナヨタイヤを使っていた時は、
ジムカーナでも4輪ドリフトの領域が広くとれていたのですが、
これも中速域で出来ていた話で、サイドターン時では全く使えていませんでした。
ジムカーナにおいては車速が低くなるほど、
「リアタイヤで曲げる」よりも、「リアタイヤで前に進ませる」という方が理に適うんです。
とはいえ・・・
「誰よりも早い段階で情報を察知できるよう、積極的に動いて的確に対処する」
それが一番出来ていたドライバーは後にも先にも、アイルトン・セナだと思っています。
その走り方を取り入れてみたい。
もっと言えば、その生き方を取り入れてみたい。
そんな気がしています。
・・・でもスカラシップ制度があることすら一昨日始めて知ったぐらいだし、
PN-1にするのに何を外さなくちゃいけないのか今だによく分かってないし、
競技規定を見れば3分で眠気がくるし、暇があれば実家のぬこをモフりたいし、、、
慣熟歩行1回するだけで1本分走ったぐらいの情報量をもし入手できたら、
すごいだろうなと思う今日このごろ。