(なんだか、らしいようならしくないような、
文体もごちゃごちゃで褒められたブログじゃないです。)
7月15日。
クスコの強化クラッチとフライホイールとZ3と新ドラレコと慌ただしくつぎ込んで挑んだ
ガレージT2カップ。
サイドが全くロックしなかったのに勝ったよ。棚ぼただね。
パイロン水シャワーのあと、さすがにマイク借りて「ばかやろう」と言ったよ。
楽しかった。
その後、宴会へ向かう途中だった。
小田原の早川口交差点。箱根板橋駅側から南下する方面。
夕刻。日が落ち始めていたが、まだ明るくスモールも必要がない状態。
先頭のぽいちゃんが右折した後で直進が来はじめた所で待機。
車のノーズを右に出しすぎていたため左に振りなおして戻した後だった。
対向から白いアルトが見えた。
右折待ちの列の最後尾から、かなりギリギリを縫うようにゆっくりと現れて、
そのまま直進してくる。
・・・右折待ちで対向の直進車が1mないぐらいの距離で傍を通過するぐらい、
よくある話だ。
まして、この場所は対向側から見ると2車線から1車線になっていくため、
一時的に5台が横並びになる。狭い道だ。
アルトの横や左後方には車は見えないが、
死角を気にしていれば対向右折車に近づくのも無理はない。
そう思った直後、ただならぬ気配を察知した。
直進してはいるが、右に寄ってきている。
こちらにまるで気づいていない。
目を見た。
視線はこちらを見ておらず進行方向へ真っ直ぐ向いているが、
角度が10°ぐらいは違う。
車は確実にこちらに向かってきている。
その目は、はっきりとは見えないものの、淀んでいる。
目に映るものを認識できていないのか・・。
映ったところで認識する範囲が極端に狭まっているのか・・。
このままいけば10cmぐらい被る・・・・・・
ある時の出張の帰り、
借りたレンタカーでトラックの飛び石を受けてフロントガラスが割れた。
その飛び石が見えた瞬間、心の中で「あっ 無理。」と呟いたことがある。
その言葉には全く驚きがなく、次に起こることを理解していた。
4cm立方ぐらいの大きさ。対向速度は60km/hぐらいだろう。
本当に一瞬だが、視界に入った危機を察知しても反応しようがない時、
自分でも驚くほどに冷静、いや冷めた目でその対象を見る。
その瞬間はすごく長い時間に感じることが出来た。
変な使い方だが 印象的だった という言葉が自分にはしっくりくる。
それと同じ感覚を覚えた。
これは避けずに当たってくる。そう確信する。
じゃあこちらが避け・・ れるはずもなかった。
もう3mないぞ。
冷静に、冷めた目で相手に視線を送り続けていた。
なんなんだろうな。どうして・・・。
気づけ・・・・・・ないんだろうな・・・・・・・・・・・・・・!
ガアァンッ!
当たった・・・っ!
右フロントに大きな衝撃を受ける。
40km/hぐらいか?ノーブレーキで10cmほどのオフセット衝突というやつか。
エアバッグは展開しない。
体が反応して無意識に避け始めるための回転を上げた排気音が響く。
たまりかねて「バカっ!」と発する。
その後続の対向車が進んで来ないのを確認して右へ。
ガタガタガタと痛ましい音が耳をつんざく。
右フロントがイヤな方向を向いている。
・・・ホイールとアーム、ステアリングも狂ったと曲がりながら理解する。
自車後続のちょびちゃんも自車の前に止める。
運転席のドアが重い。金属の擦れ合う音がする。もちろん構っていられない。
急いで当たった相手の前へ行き、路肩に移動するように手振りを大きくして指示する。
幸い早川口の高架下には一台分は停められる程度の都合のいいスペースがあった。
相手の左フロントも大破している。だがやることに変わりはない。
たどたどしく、緩急がつきながらも前進してきた。
・・・これで進路は賄えた。
相手の右肩に左手をやり、目を凝視して言った。
「ケガはないか。」
・・・首を縦に振った。こちらもケガはない。
驚き・・・以外の感情が読み取れない。
他に何かしら話をしようとしたが、声がくぐもるばかりで聞こえない。
ただれた白シャツにベージュの短パン。白髪混じりの短髪。とても清潔とは言えない。
吐息が匂う。焦点が定まっていない。埒があかず他に目をやる。
互いのケガがないことを確認して信号を気にしながら、
全方向赤になった切れ目を見て進行を停止させ、
路上のデブリを外へ放つ。蹴り飛ばす。
この間にアルトのホイールカバーの破片や散乱物を踏んでいった車が2,3台あった。
ちょびちゃんに促され110番を呼んでもらうよう頼む。救急車はいらない。
双方最低限交通の妨げにならないことを確認して、
こちらの保険屋に一報を入れレッカーを手配した。
ディーラーにも連絡を入れたが意味がなかった。
神奈川の事故に岐阜のディーラーが何か出来るわけじゃない。
メモと紙を引っ張り出しドラレコを確保し、
警察も来たところでこちらの事故状況の話をし、ようやく相手と話をしようとした・・。
・・・警察がかなり苛立っている。
話の辻褄が合っていないのか。
日がかなり落ちてきている帰宅ラッシュの高架下。
電車の音が大きすぎる上、まともに話せない声を聞き取るのは困難だ。
名前と住所、電話番号を自分も一緒になって聞き取ってメモする。
これだけで10回は相手と警察との会話にならないようなやりとりがあった。
ダミと、かすれの混じる声。タ行が特に聞き取りづらい。ツがシュになる。
気が動転しているというのを差し引いても、重度のものが見受けられた。
相手のスマホにある電話番号が本当か掛けてみる・・・
ツーツーツー・・ 繋がらなかった。番号は間違っていない。
どういうことだ!? 警察に窘められ再度掛けてみたら繋がった。
全く同じ番号にリダイヤルした。今でもよく分からない。
年齢は60後半。住所はここからさほど離れていないのは分かった。
分からないのはもっと根本的なところだった。
人間・・・なのか・・・?
会話ができない。
落としたメガネが拾えない。
自分のスマホで保険屋へ電話することができない。
事故前に既に左フロントがパンクしていたのを理解していない。
重度の痴呆・・・なぜ運転出来ていたんだ・・・。
危機を感じ、なんとか話をつけて相手の保険証書を手に入れ全て写真を撮る。
・・こちらと同じ保険会社だ。相手から事故報告さえされれば・・。
警察から早く移動しろと言われ、自費でレッカーを手配することにしたようだ。
こちらと同じくレッカーは保険が効くのに。支払いさえ怪しい。
相手のスマホで保険屋への電話番号を掛けてあげて相手へ渡す。
・・・傍から見ていても全く会話が進んでいない。保険屋も迷惑しているだろう。
5分に1回は電車の通る轟音がする。健常者でも一報を入れるのに難がある。
音のしない所へ移動するなんて発想はないだろう。
もっとも、もしそうしていたなら、もっと困ることになっていた。
・・・そのまま徘徊してもおかしくなかったから。
保険屋へ連絡したかという問いに首を大きく縦に振るのを建前上受けとめ、
(実際にはドラレコのデータと保険証番号の控えが頼り)
声にならない声の謝罪を受け入れた。
ただ、こちらを見て深々と頭を下げて頂けたことで、
心だけは侵されていないことは分かった。
申し訳ないという感情だけは伝わり、
それだけを受け止める他なかった。
宴会場へ移動した頃には予定の3時間半は経っていた。
落ち込んだままではいられない。
上座に座らせて貰った後、とりあえずは祝杯をあげて事故以外の楽しい話をして、
酒も入れて美味しいものを食べて、、、
・・・・・・・・・・早めに端を陣取ってうなされるように眠りについた。
深夜。
正体が捉えきれない悲しみが襲ってくる。
皆寝静まっているのを見やり、ひとしきり泣きはらした。
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痴呆というものは、外的要因がないなら、
その原因は単に今まで頭を使って来なかったからだ。
その占める割合は、年齢よりも大きい。
これは人により発生する年齢差が確実に存在している。
通常は、生きていくために、仕事というフィールドで戦う。
戦う中で頭を使う。その戦いを誠実に受け止めることが出来なかった人は、
残念ながら、およそ人とは言い難い振る舞いを早い段階で見せてしまう。
どうしてこんな事になった?何がそうさせた?単に運が悪かった?
それで済ませるべきことなのか?他にどう解釈すればいい?
・・・俺は、、、もっと戦って生きていきたい・・・。
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翌朝。
事故に遭ったのが他人事のような気分でトイレへ。
スマホが鳴る。 ・・・あいつか。
とはいえこちらは、うんこっこタイムだ。
うんこっこが終わるまで待て。
そこまで持つはずもなく切れる。ケツをキレイキレイしてかけ直す。
・・・ツーツーツー。
予想はしていた。出なければ連絡の取りようがなくなることは。
留守電に保険屋の連絡がされたのかを残すのみ。
その後は箱根や首都高で同乗させて貰ったりで、
naoさんやごーさんにお世話になり、
休み明けの出張が関東方面で車に積んでいたこともあり(ぶっちゃけおかしいw)、
地元に帰らず日常に戻って連絡を待っていた。
この休み中にどこで修理するかを考えることに。
自車をレッカー移動で地元に戻すには遠すぎて有償分が発生する・・。
無償で賄うなら、
先日主催して頂いたガレージT2さんに入庫するのがいいという話になり、
申し訳なくお電話。快諾して頂いてレッカーへ連絡。
その後相手の保険屋からの連絡が小田原からあった後、横浜に変わった。
なんでも相手は事故と関係なく入院したようだ。・・・全額国民保険で賄えるのか・・?
それから2週間が経った。
保険屋からの連絡が滞る上、
ステアリングギヤの故障が事故前からあったのではと疑いをかけられ、
フレームは修正する必要があり、付けていたJet'sCE28は生産中止で元に戻らず、
CE28 Club Racerも入荷が11月末になる等があり、
ダンパーもアームもタイヤもありとあらゆる所が交換で、
レンタカーのなんでもないインプレッサに乗り始めて粛々と連絡をとっていたころ。
元請け先での仕事帰りでインプレッサをおとなしく走らせる。
気が変わって、少し遠回りルート。
不意に、いかにもイジってる軽が目に入る。
誰も見てない所で、喋ってるか思ってるかも覚えがない、恒例のひとりごと。
「あらまー、あの車マフラー変えてるな。車高もなかなか下げてるなー。
あそこまでしなくてもとか思っちゃうけど、手間暇かけると楽しいもんだよなー・・。
自分でやるとめんどくさいんだけどねー、、なかなか・・・・・」
「うっ・・・・・ぐ、、、、、うあ・・・・・・っ!!!!」
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これが、、、喪失感というものなんだろうか。
見ようとすると、取り戻そうとすると、考えようとすると、
辛くなる。
だから、出来るだけ考えないようにしてきた。
そうじゃなきゃ、持たなかったから。
・・・バカ言ってんなよ。
車は モノ だろうが・・。
しかも、完全じゃないかもしれんが元に戻るだろ・・。
戻らないものじゃないんだぞ。ずっと恵まれてるクセしやがって・・・
そうだろうが・・・・・
それでも、その感情に蓋をしてはいけないと思った。
どこかで表に出さないといけない。
感傷に浸ることなく、ひとしきり出し切ったら、
次に進めるようになる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・そんな気がした。
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マーヒーだから乗ってる人の顔でも見ながら走ろー
なんて人が対向を走ってたら、びっくらこいてクラッシュもんだったかもしれない。
30過ぎたいい大人が、思いっきり泣きじゃくって鼻水ずびずびで通り抜けて行ったんだから。
事故から約2か月半の今日。
無事に・・・帰ってきました・・・!
なんか、なんて顔していいのか分かんねぇ・・。
情けない話だけど、気持ちの整理が出来てなくて、直視できないんだ。
車が問題なくしっかり走れることを確認して、
10/8のG6トラップ・ラウンドに応募した。
・・・まだ、 戻ってきてくれてありがとう って言ってないな。
朝ちゃんと言うから、ちょっと眠らせてくれ。
お相手さんも、退院できるといい。
誰も轢くことなく、ケガもなく、自分の車で止めることが出来た。
なかなか経験出来ないことだ。
事故に遭ったらどうするか、喪失感に苛まれたらどう抜け出すか、
これで分かったんだから、貴重な経験だ。
むしろツイてるだろ。
マイナスな事だって、考え決めて縦にたった1本線引けば、プラスになる。
そうやって生きていったほうが、おもしろい。