目的 |
チューニング・カスタム |
作業 |
DIY |
難易度 |
中級 |
作業時間 |
12時間以上 |
1
【注意】この整備記録はエラーも含めて書いています 。中には重大な失敗も含まれていますので、必ず最後 まで読んだ上で、あくまでも参考程度に留めて下さい 。真似をされても必ず同じ結果になるとは限らないと 思うので自己責任でお願いします。
さてNOSのススメシリーズも、NOSの「搭載」については今回が最後になると思います。「其の5」です。
前回までの行程で、NOS噴射時の危険性は排除できました。
NOSボトルの内圧を一定にする為のボトルヒーターも装着したことで、ここに来てようやくNOSセッティングのスタートラインに立てたわけです。
2
以前にも記述しましたが、NOSの燃調セッティングはN2Oガス(Nitrous)と燃料(Fuel)の、それぞれのラインにセットする「フレアージェット」のサイズ(番手)を入れ替えることで調整していきます。
NOSに限らず燃調セッティングの基本ではありますが、燃料がリッチ、濃い状態からだんだん燃料を薄くしていき、その都度燃焼状況を確認しながら燃調を詰めていきます。
たとえば燃料が濃すぎるとパワーは出ませんが、その時に「パワーが上昇しないのはN2Oが少ないからだ」と判断し、N2Oのジェットサイズを大きくしてパワーを出そうとするのが最もやってはいけない行為です。(僕が最初にやったのがこのパターンです)
N2Oを増やしていけば確かに燃調は薄い方向に移るのでパワーは上昇していきますが、N2Oのジェットは数番手変わるだけで噴射量が大きく変化します。一気にN2Oが増えますので、その時にもし燃料が足りなかった場合は最悪エンジンブローが待っています。
3
NOSのマニュアルにも書いてありますが、NOSのウエットショットの燃調セッティングはとてもアナログです。
燃調は実走行でNOSを噴射した後にプラグを外し、そのプラグの焼け具合で濃いか薄いかを判断し、燃料側の(←ここ重要)ジェットサイズを(基本的には)小さくしていきながら、ベストな燃調を出します。
プラグがどんな焼け方だと燃調が濃いのか薄いのか、それはNOSキットのマニュアルに「挿し絵」で解説してあります。絵です、非常にアナログです(笑)
ここでA/F空燃比計を取り付ければ良いんじゃない?と思ってしまいますが、NOSのプロもプラグを確認することが最も確実なセッティング方法だといいます。A/F計の数値は参考にはなっても、NOSの使用下において実際に燃焼室の中で何が起きているのかを見切るにはプラグチェックが一番だということでした。
僕はまず自分のビートが駆動系を含め、どこまでのパワーに耐えることができるのかのリアルなイメージが無かったため、まず何馬力上げたいのか?という具体的な数値が定まっていませんでした。
とにかくある程度馬力を上げてみて「ビートがあとどれくらいなら耐えれそうか?」を確認することからの作業でした。
安全マージンを取って、小さいサイズのN2Oジェットから試していきました。「燃調が取れる→まだパワー上げても耐えれそう→N2Oを増やす→また1から燃調を…」の繰り返しです。
エンジンハッチを開けた状態のままで走ってはプラグチェック→ジェットサイズの変更→走ってはプラグチェックという作業を何十回も繰り返しました。
4
とても地道で大変な作業でしたが、これは僕がビートという車の全体的な耐久力の「余力」を体感で確認しながらセッティングしたかったからであって、本来のNOS装着のセッティングの出し方はもっとシンプルです。
NOS(Nitrous Oxide System)におけるパワーの上昇値というのはN2Oの噴射量で決まります。噴射するN2Oの量によって増える酸素量は決まるので、噴射したN2Oをきちんと燃焼させた時に発生するエネルギー量というのは概ね決まっていて、それはNOSマニュアルに記載されています。
「まず追加したい馬力を決める」つまりこれがハッキリしていれば、N2Oのジェットサイズは自ずと決まってくるわけです。
そのN2O量を綺麗に燃焼させられる燃調を、燃料リッチからだんだん薄くして調整していけば良いわけです。
画像はマニュアルの一部です、「HP」は馬力です。
もっと読みたい場合はNMPさんの日本語訳NOSキット取り扱い説明書の購入をオススメします(´∀` )
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僕はNOSらしい刺激的なパワーの上昇感をビートに求めました。
NOSマニュアルによれば、その車のノーマルスペックの1.5倍の馬力までが安全圏だということです。
しかしビートのノーマルスペックはカタログ上では64馬力、その1.5倍というと96馬力にもなります( ´゚Å゚`)
はたしてノーマルのピストンやコンロッドは耐えられるのでしょうか?とても安全圏とは思えないのが普通の感覚ですね。
ところが僕のビート、妥協せずセッティング作業を繰り返すことで、最終的には3●馬力追加のN2Oジェットに落ち着きました。
燃調はあえて濃い目にしているので綺麗にマニュアル通りの追加出力が出ているかはまだ分かりませんが、体感加速としては当初NOSにイメージしていたものを実現することができました。
僕はやっていませんが、更なる馬力を狙うのであれば点火タイミングを遅らせるなどのセッティングを施すそうです。
あ、そうそう。
僕のビートはほとんどノーマルなので、これまでレギュラーガソリンを使っていたのですが、異常燃焼のリスクを減らす目的でハイオクに変えました。
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イメージ通りのパワーが出たので、急勾配や、コーナリング中、連続噴射など、一通りのシビアコンディションでの使用をテストしました。
それらにも耐え、異常燃焼がないことも確認できたのでセッティングは完了です。
このNOSビートのパワーと動力性能については動画をご覧下さい。
【0-100km/h動力性能テスト】
https://youtu.be/UBDqe5YU7AY
【動力性能テストのGPSログアニメーション】
https://youtu.be/VUKwEBbMaYE
0-100km/h加速、9秒というのは軽自動車ではかなり頑張ってると思います。
ノーマルに対して約4秒速いです。ちなみにこの計測時は重たい工具セットや油圧2トンジャッキなど満載の状態でしたので、サーキットを走る時のように荷を全て降ろした状態ならば確実に8秒台が出ると思います。
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パワーは出ました。
では、このN2Oガスにどれくらいのお金がかかるのか?とても重要な部分です。
NOSの標準的サイズともいえる10lb(ポンド)ボトル、kgで言うところの5kgボトルですが、このボトルを一回満タンにするのに約27000円かかります。
近所にN2Oを充填してもらえるショップがない場合(関東と九州及び中部以外は無いと思います)は、ショップにボトルを郵送して再び送り返してもらうようになるので往復送料がかかります、合わせると約30000円です。
僕がビートのN2O噴射量で一本消費するまでの噴射時間を足し算で計算したところ、「355秒」でした。
この計算には誤差があると思います、かなりドンブリ勘定ではありますが、この数値で計算すると「1秒噴射=84円」になります。
一周60秒のサーキットで使用すると、実際はコーナリング出口から噴射するのでけっこう長く噴射するようになりますのでおそらく少なくとも40秒は噴射するでしょう。
一周=3360円です。ゼロヨンで記録を狙うとか、サーキットの一周タイムアタックを狙う、そういう明確な使用目的があるならアリかもしれないですね。スプリントレース、耐久レースなどではストレートで楽にライバル車をパスする…ボトルの内容量的にもそういった使い方しかできないと思います。
街乗りのみの使用目的でこの金額をイメージすると、けっこう高くつくと思います。(収入にもよりますが(汗))
しかし、このNOSを使用した時のみ発生する加速の刺激は正直かなり楽しいですよ。ヤミツキになります。
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これにて搭載及びセッティングは完了です。
僕はこのNOSキットのDIYでの搭載を通じて、NOSというものが本当によく計算されて出来ている「リアルチューン」であることを感じました。
性能も期待以上のものになりましたし、何より「特殊な加速装置がついている」「そこらのチューンドより全然速い」という優越感、満足感があります。
そして、ビートのような、ノーマルが素晴らしく楽しい車にこそオススメできるアイテムだとも思います。NOSを噴射しなければノーマルそのままです。チューニングは必ずと言っていいほどネガな部分が付随してしまうものですが、NOSには基本的にはそれが無い。ここが本当に良いポイントだと思います。
今後はNOSを使用したサーキットアタックや、パワー測定をして結果を載せていきたいと思います。
あと、映画「ワイルドスピード2」で、主人公が乗るGT-Rが白い煙りをバンパーから放出するシーン。近いうちにあの「NOSパージシステム」も搭載しようと思います。
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