一自動車評論家の影響

昨日、徳大寺有恒氏が亡くなったと報道されました。

彼がいなければ、私は何の疑いもなく「国産車」を選び「外車」には縁がなかったでしょう。
周囲に「外車」に乗っているひとがいなかった私は、当然ながらシトロエンに乗ることもなかったでしょう。

どんなクルマにもそれぞれの魅力があり、それを楽しむことができる。なので簡単に現状に満足できる。

ただ、知らなくても困らないけれど、すこしでも知って考えることで一気に世界が広がり、より多く楽しむことができる。

「外車」という漠然とした、時に排他的なイメージをもたらす言葉を、イタリア・フランス・ドイツ・イギリス・スウェーデン・アメリカなどのクルマと考えると、それぞれ具体的でどことなく親近感をもてるものになる。そうなると今度は単なる「国産車」を日本車として捉え直し、いろいろな国のクルマたちと同じ土俵で比較できるようになる。

それぞれのクルマからそれを生んだ各々の国に思いが至る。それぞれの良いところも、そうでないところも考えられるようになる。

クルマは思った以上に深くて楽しい。

意図したことではないでしょうが、そんなことを彼は教えてくれた気がします。


ご冥福をお祈りします。