2009年11月30日
人生は絶対評価。
明日から12月。
弟達が 「まだ全然早いけど」 と誕生日プレゼントをくれた。
以前冗談で 「これクレ!」 と言っていた、私には分不相応なブツを。まさかと思った。
「会社も軌道に乗ってきたしさ、でもまだまだこれからだけどね」
弟っていつまでも弟なのに、大人になったなぁと思う。
期待をかけられる人生と、そうじゃない人生、どちらが良いだろう。
それは、その人の考え方に因りけりだろうけれど、私は後者が気楽で好きだ。
上の弟は前者…期待をかけられた人生だった。祖母に。
近年減少したとは思うが、世代や地域性に因ってはまだ健在な長男崇拝論者、私の祖母だ。
最初の子を亡くした祖母は、それでもどうしても跡取りが欲しくて、遅くにして長男となる私の父を授かったため、その期待のかけようは大変なものだったらしい。
それでも自由奔放に生きようとしていた父は、クルマ好きが昂じ、若い頃は家業を受け継ぐ傍らあるメーカーのテストドライバーをしていた。
ある時、チームからレーシングドライバーをやらないかという誘いが来たのだが、それを祖母は泣いて縋って怒って咎め、最終的には病を偽ってまでやめさせた。
しかし後に嘘がバレ、父はその後一切祖母の言うことを聞かなくなったのだ。
祖母の関心はやがて生まれてきた孫へと向けられた。
孫をかわいいと思うあの興味とは少し異質で、あくまでも家系の跡取りとしての関心だ。
他の孫(私と下の弟)との差別は歴然で、家族から引き剥がし祖母が個別に指導し、最初の頃は夕飯の時間には見張りに来ていた祖母だったが、後々夕飯も自分の下で、家族とは別に食べさせるようになった。
「あんた達の頭は踏まれても仕方ないものでも、この子の頭は跨いでも処罰されるべきなのだ」
祖母にとっては期待をかけるのは長男だけ。あとは無意味な存在なのだ。
そんな祖母の口癖は
「お姉ちゃんなんかには絶対負けちゃ駄目!」
祖母にしれみれば、一家の跡取りが女に負けることがあってはならないらしいのだ。
それにしても、負けるって何に( ´Д`)?
周りの知人・友人に 「よくトラウマにならなかったね…」 と言われたが、私も下の弟もそんなことで精神を病むタマではなかったようだし、そもそも私は毎日を…自分の生き方を楽しむ事に忙しかった。その代わり、精神を病んだのは当の長男である弟。
学力なんて人生のうちのほんの一部でしかないのに、学歴至上主義者の祖母にはそれが解らない。
昼夜構わず弟を勉強漬けにした結果、そのストレスから彼は学校に行けなくなったのに、根本の原因に祖母は気づかず仕舞いだった。
うちの家族で上の弟は一番優しい。それ故にそんな祖母でも無下にしきれないところが彼をがんじがらめにしたのだと思う。
夜中に、普段やさしい彼が一度だけ、祖母にキレた事があった。家中の者がびっくりして跳ね起きたものだ。限界を感じた家族は、彼を祖母から離れさせて叔父の家に住まわせた。
同時に私も家を出た。高校1年の秋だったかな。
長男が家に居ないのに他がのさばっている事を祖母は許さないだろうし、許されなくても良いが、それで他の者にネチネチととばっちりが行くのを嫌ったからだ。
彼はその後何度も何度もドロップアウトしながらも、自分の人生を模索しながら幾年経ち、去年、小さいながらも自分の職場を築いた。もうすぐ1年、プレゼントをあげなきゃなのは、私の方だよなぁ(笑)
祖母のことをそうは言うが、それでも時々周りと自分のバランスを量る事があるのも否めない。
あの人は今ああだけれど、自分は…そんなふうに思うのは人間の心理としては、不思議ではないけれど、度を越さない事が大事だと思う。
「俺なんてまだまだだよ、俺の友達なんか…」 と言いかける弟に 「人生に相対評価は意味ないよ、人生は、」
「絶対評価であるべきだ、でしょ?姉ちゃんの信念」と言う彼を見ると、やっぱり弟だなと思った。
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Posted at
2009/11/30 15:17:24
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