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イイね!
2012年04月04日

液体ガスケットについて色々

最近、液体ガスケットを使用する機会が多かった事もあり、シール材について色々と調べていました。
新たに分かった点や気づいた点をメモしておこうと思います。


●溶剤系と無溶剤系
液体ガスケットを大きく分けると、この2種類でしょう。
前者は塗料のように有機溶剤で溶いてあるタイプ、後者は化学反応で凝固する不可逆性のものになります。
無溶剤系の詳しい反応機構までは、私の鳥頭では覚えきれませんでしたw


●溶剤系液体ガスケット
これを使用する上での注意点は、有機溶剤が使われている事。
大抵は速乾性で、極性の高い溶剤が使用されています。
乾燥しないうちは引火しますので火災の原因になります、火気厳禁ですね。

また、溶剤が油脂に溶け込んでコンタミネーション(異物)となる可能性がある事。
大抵はすぐに蒸発してしまうので問題にはならないでしょうが、不可逆的な分解反応が発生すると油脂の潤滑性能を損ねる可能性があります。

メリットとしては、除去が容易な事です。
キシレンやトルエン等、強力な溶剤を使用すれば溶け出します。
逆に、それらの存在する環境下では使用できないという事でもありますので注意が必要ですが。
発生するガスが決まっている点も美点ですが、これは後半で説明します。


●無溶剤系液体ガスケット
おそらく、自動車の整備において最も頻繁に使用するのがこのタイプです。
多くはシリコン系のゴム質となり、優れた耐熱性、耐薬品性、耐油性を発揮します。
その優れた特性から、高圧・高温になる場所をはじめ、あらゆる箇所に使用されています。

反応機構は溶剤系に比べると複雑です。
大雑把に言うと、空気や水分に触れた箇所が反応、液剤の中の成分が分離してガスを発生します。
一度空気と反応した液剤は元の性質に戻る事はありません。
つまり、不可逆的な反応が起こるという事であり、薬品に強い理由はここにあります。


●無溶剤系の反応生成物
液体ガスケットを使用する場合によく問題にされるのが、この反応生成物です。
データシート等に脱~等と書かれているのがそれです。

最もよく目にするのが、「脱アセトン」と「脱オキシム」だと思います。
前述の通り、これは空気や水分との反応によって生成されるガスですが、これらの扱いが少々厄介です。

アセトンをご存知の方は多いと思います、あの甘ったるい芳香を持つアレです。
金属との反応性は皆無であらゆる箇所に使用できますが、多くの樹脂に対して反応性を有しており、これらが存在する箇所には使用できません。
ゴム部品も材質によっては膨潤してしまう事があり、注意が必要です。
そういった箇所に使用する場合には、樹脂・ゴムの材質を確認し、反応しない事を確かめた上で使用するべきでしょう。
シール材としてよく使われる、ニトリルゴムやフッ素樹脂は優れた耐薬品性を持っていますので、そういった部材ならばまず安心です。

続いて後者のオキシムになりますが、これは一言で言えば有毒ガスです。
ホスゲンオキシムという毒ガス兵器がありますが、非常に反応性が高く、殆どの金属と反応して腐食させるようです。
液体ガスケットから発生するオキシムガスも多分に漏れず、銅合金に対して高い反応性を有しています。
当然、人体にも有害で、吸引すると頭痛を起こしたり、皮膚に付着するとかぶれ等の症状を呈するようです。
自動車では、軸受等に銅合金が使われているほか、ミッションのシンクロナイザーリングも銅合金です。
他には、電装系のサーキット、電線等も銅でできていますので、使用できる箇所はかなり限定されてきます。
尤も、密閉型で使用しなければ良いだけの話ですので、エキゾースト周りなどには使用できると思います。

「脱アルコール」「脱酢酸」と呼ばれるタイプもあるようですが、これはバスコーク等に多く使用されているようです。
酢酸には抗菌作用があるので、水まわりに使用する場合は好都合ですね。
しかし、当然ながら金属と反応して腐食を促進させるので、それらには使用できません。
もしも、作業中に液体ガスケットを切らしてしまってどうしても手に入らない場合等は、脱アルコールで代用しておくのが良いと思います。
そうならないように備えるのが一番ですがw


ざっと調べた所では、こんな具合でしょうか。
聞きかじっただけの情報なので、加筆修正があるかもわかりませんがw
そのうち、MSDSや文献を当たって調べてみる必要がありそうですね。


【追記】
コル注さんからのコメントを誤って削除してしまいました、すいません。
以下、返信になります。

> 耐油ガスケットは空気中の水分と反応して固まる と聞いたので、無意味なのを知りながらついミッ ションやエンジン組む前は塗布面に「はぁ〜っ」 と息を吹きかけてしまいます(^^;


水分に反応するといえば、瞬間接着剤を思い出しますね。
息を吹きかけない方が、芯までしっかり固まって定着が良い気がしますw

水分以外の物質に反応するものもあるようですが、反応機構を熟知していないとなかなか分かりませんね。
ロックタイトなどは空気を嫌い、全く違った原理で凝固するようですし、まだまだ知らない事だらけです。
化学式を辿れば理解できると思いますが、それについてはまた別の機会にでもw
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Posted at 2012/04/04 11:38:36

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