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2018年12月23日 イイね!

カブ・CD系の各部仕様を大雑把に比較

車両入れ替えに伴い、次の車両のパーツの差異や互換性をざっくりまとめました。

・カブ(キャブと一部のFI車)
・CD50(1979年以降)
・CL50(復刻)
・CD90(HA03)



○フレーム

・カブ
 排気量違い含めほぼ同等と考えてよさそう、年式によりエアクリ位置や肉抜き等形状変更あり
 大きく分けて
  ・行灯、MD50
  ・C系、AA01、HA02
  ・OHV、CT系、MD90
 FI車各種は詳細不明、一部を除きキャブ車とは一切の互換性なし
 材質の違いがあるかは不明
 CD系と比較してスイングアームピボットが10mm程度後ろに位置

・CD50
 年式間で差異あり
 サイドカバーの大小によりフレーム内部の構造が異なる模様
 同じ年式・外観のパーツでなければ流用できない可能性が大
 カブ系と比較してスイングアームピボットが10mm程度前に位置、またエンジンのマウント角度がきつい
 フレーム左側の開口部上から後ろの開口部にかけてエアクリーナーが収納される、後方吸気

・CL50
 年式間での差異は不明
 CD50と同等に思えるが、フレーム後部の形状やタンクマウントの位置が異なるため外装はほぼ専用品
 エアクリーナーはCD50と同様の収納方法

・CD90
 年式間で差異あり、また、CD50等とはフレーム形状が一部異なる
 後期型になるとフレーム後部の形状が一部異なる
 CD50と同じく、同じ年式のパーツでなければ流用できない可能性が大
 エアクリーナーは左側の開口部を塞ぐ形で設置される、インテークが右を向くが実質的に後方吸気



○足周り
 スイングアームは一部を除きほぼ全ての車種で流用可能

・カブ
 フロントはボトムリンク、カスタム等一部のモデルはアンチリフト装備、アクスルシャフト10mm
 MD・CT系はテレスコ仕様のアクスルシャフト12mm、ステムの形状が異なるためハンドルストッパーが追加となっている
 ハンドルストッパー・ハンドルロックの位置はボトムリンクとテレスコで異なる

 リアは78年式より330mmショック装備、それ以前は250mm、CT・MD系は350mmとなっている
 スイングアームは78年を境にショックブラケットの形状が変更となり、AA・HAになった際にもドラムストッパーの形状が変更
 ショックのカラーは20mm幅、多くの社外品が使用可能だが、5mmオフセットのついていないものはチェーンカバーに干渉する可能性あり
 プレス・MDはアクスルシャフト径が14mmとなり(通常は12mm)、強化サイドスタンドを装備
 CD系と比較してアクスルシャフト位置が10mm程度前に位置する
 また、ショックのアッパーブラケットがCDより後ろに位置する(ショックの角度が立つ)

・CD50
 フロントはテレスコ、アクスルシャフト10mm、CD90と同等?
 ハンドルストッパー・ハンドルロックの位置はボトムリンクのカブとは異なる
 リアは基本的に78年以降のC型カブと同等であるが、モデルや年式によりチェーンカバーの形状が異なる
 フルカバーとハーフカバーではそれぞれのスイングアームに互換性なし
 また、カブと比較してアクスルシャフトの位置が10mm程度後ろに位置する
 ショックのアッパーブラケットはカブよりも前に位置する(ショックの角度が寝る)
 リアショックのカラーは25mm幅、他車種流用等には工夫が必要
 リム幅はフロント1.20リア1.40、タイヤ幅はフロント2.25リア2.50

・CL50
 通常のCD系と比較して車高が高く設定されており、サイドスタンドも専用品となっている
 フロントは専用のブーツ装備、12mmシャフトのものを採用、インナーパーツを除きJA07Proと同等
 リアショックは350(355?)mmのものを装備
 スイングアームは基本的にCD50のハーフカバータイプのものと同等と考えて良さそう
 リム幅は前後1.40、タイヤ幅は前後2.75

・CD90
 基本はCD50と同等ではあるが、タンデムステップが装備される等の差異あり
 CD50と同じく、無印はフルカバータイプ、Sはハーフカバータイプのチェーンカバー
 リム幅は前後1.40、タイヤ幅は前後2.50



○外装関係その他
 スタンドほか細かなパーツの互換性

・カブ
 基本的にそれぞれのフレームの系統に準ずる
 カバー類は系統が異なる場合でも流用可能なものあり(行灯とそれ以降のサイドカバー等)
 ボトムリンク車とテレスコ車では車高が異なるためスタンド類の長さが異なる
 センタースタンドはフレームにストッパーあり、 CD系のものはストッパーがなく使用不可
 テレスコ化した際にはMD50のセンタースタンドを流用する方法あり(MD90未確認)

・CD50
 初期型、後期型(S含む)でサイドカバーの形状が異なり、補機類のレイアウトも変更となる
 センタースタンドはマフラーにストッパーあり、カブ系のものはフレーム形状の関係で基本的に使用不可
 一部、CT110のものなどが流用可能との情報あり(未確認)、アップマフラーにする際などに必要と思われる
 年式によりメットホルダーの取付位置が異なる、初期型キャリア後期型フレーム

・CL50
 サイドスタンドは高い車高に合わせた専用品
 サイドカバーはCD50後期型(S含む)のスリムなもの、補機類はフレーム内
 タンクはじめシートも専用品につき流用不可
 アップマフラーであり、センタースタンドは標準装備されていない
 センタースタンドの後付はCT110用の流用で一応可能だが、溶接加工が必要な可能性あり(未確認)

・CD90
 基本的にはCD50に準ずる
 エアクリーナーの形状の関係で大型サイドカバーのもののみ



○電装系

・カブ
 6Vから12Vに変更される際に大規模な変更があるほか、モデルや年式で細かな変更あり
 6VのCDI仕様が存在する(CDIそのものは後の12Vのものと同等)
 同じ6V、12Vでもコネクタの形状やアサインが全く異なっている場合があり要注意
 (レクチファイア仕様とレギュレータ仕様で異なっている、等)
 CDIのピン位置が一貫して同じであったり、バッテリーケースが6Vと12Vで流用可能であったり等の特徴あり
 CT・MD系は専用設計となっている場合が多く、他系統への流用困難か

・CD50
 カブ同様、6V(ポイント)から12V(CDI)への大規模な変更あり
 初期型と後期型でレイアウトが異なる
 CD90では開口部となっている位置にイグニッションコイルが装着される
 CDIは初期ではカブのものが使用可能であったが後期型にて110型カプラ4P+3Pのものに変更となっている
 CDI変更に伴いサイドスタンドスイッチが装備
 カブと同じく50には固定進角のものが装備される
 初期型と後期型でメインキーの配線が異なる
 メインハーネスはフレーム内に収納される形となる

・CL50
 基本的にはCD50の後期型と同等と考えて良さそう
 細かな差異がある可能性があるが詳細不明

・CD90
 基本的にはCD50と同様の仕様
 ただし、メインハーネスはフレーム外部にあるクリップで保持され、外部を沿わせる形でレイアウトされる
 イグニッションコイルはエアクリーナーの存在がありCD50と同じ位置には装着できないため、更に上部に逃がす形で装着される
 CDIはカブと同じく90用のものが装備されている



○エンジン
 大雑把に言うと、ミッションの支持方式が年式や排気量により異なる
 6V時代は多くの車種において細かな変更があり、一般的なケースと互換性のないものが存在する
 (ATモデルのブッシュ埋め込み式、一部のモンキー系など)
 12Vになると、大まかに50系、90系の2種類(内面幅、強化措置の違い)となり、ミッションは全てボールベアリング支持となる
 CT110やMD90は別物なので、比較対象からは除外

・カブ
 系統によりエンジンマウントの位置が異なる(OHV・CT110・MD90とそれ以外)
 行灯以降のカブは基本的に全車種間でスワップ可能ではあるが、一部ボルト形状等異なるため工夫が必要
 6Vから12Vに変わる過程でクランクケース、クランクシャフト、発電系、オイルポンプ、カム、ピストン、ヘッド等に大きな変更が加えられている
 MD50のエンジンは例外的に6V車の設計を継承しているため、12Vであっても6V車用のパーツが必要
 全車ロータリーミッション、通常仕様ではトップからNには入れられないが、プレスとMDでは可能となっている
 マニホールドの形状がCDと似ているが、高さが違うため互換性はない(10mm程度低い)

・CD50
 マニュアルクラッチのみ
 カブ同様に6Vから12Vへの移行あり
 全車ロータリー、トップ→N可
 マニホールドの形状がカブと似ているが、高さが違うため互換性はない(10mm程度高い)

・CL50
 基本的な箇所はCD50と同等

・CD90
 カブ、CD50いずれとも異なり、専用の二次側クラッチとなっている
 ミッションの構成部品から異なっており、他車種とのパーツ共有を困難にしている
 (クランクケースの内面幅やギヤの厚みが違うなど)
 キックスピンドルは専用品で、クランクケースとセットでの使用が前提
 また、クランクシャフトもCD90の専用品であり、他車種への流用は不可(逆は社外パーツにて可能)
 全車ロータリー、トップ→N可



※一部不正確な情報が含まれている可能性があります
Posted at 2018/12/23 04:26:04 | コメント(0) | トラックバック(0) | 雑記 | 日記
2016年11月26日 イイね!

横型エンジンのカムチェーンのこと

最近、カブのカムチェーンについて調べる機会があったので情報を簡単にまとめておこうと思います。


横型エンジン向けに各社から強化カムチェーンが出ていますが、その価格にはかなり開きがあります。
何故なのかと思って調べてみたところ、いくつかの種類に分かれている事が判明しました。

・25
標準品
プレート幅0.75mm

・25H
ノーマルの25よりもプレート幅が広い(1mm)
いくつかの車種に純正採用されている

・25HT
25Hと同じく1mmプレートでソリッドブッシュを採用しているもの
摺動部に硬質コーティングが施されているものもある

・25HS、25SD
1mmプレートを採用しつつ、他のものと比較してピン径を縮小
強度を確保しながらもフリクションの低減と軽量化を謳っている
摺動部に硬質コーティングが施されているものもある


種類はプレートの刻印で区別でき、概ね下に行くほど価格は高くなります。
このように特徴を羅列してみると価格差にも合点がいくのではないでしょうか。
チェーンは軽量であるほど追従性も上がり、騒音やコマ飛びの原因であるキンクも低減されます。
この理屈でいくと25HS、SDが最も高性能なカムチェーンであると言えます。

カムチェーンが破断したという事例を見る限り、プレートの部分が千切れているパターンが多いようです。
伸びや破断を抑止するのにプレートの厚みを増やす事は有効であると思われます。
高回転仕様であったりバルブスプリングを強化している場合は定期的な点検と交換が必要な部品と言えそうです。
横型エンジンの場合は腰上を全て分解せずとも交換できますので、ケチらずに交換したいところです。
Posted at 2016/11/26 05:55:42 | コメント(0) | トラックバック(0) | 雑記 | 日記
2015年01月19日 イイね!

ざっくりタイヤレビュー(17インチ)

普段使いにしている(していた)タイヤの簡単なレビューなどしていきたいと思います。
尚、フィーリングには個人差がありますので、必ずしもレビューの内容と合致しない場合があります。(逃げ口上)

【2021/5/29】
3Rを追加しました。

【2021/4/21】
GP-5を追加しました。

【2021/2/15】
NF63、NR78を追加しました。

【2022/10/1】
NF37、NR41を追加しました。


○ミシュラン
全体的な傾向としてコンパウンドは硬め、ビードも硬いです。
着脱に悪戦苦闘する事と思いますが、やがてその剛性感の虜になる事うけあい。

・Pilot Street


ライフ ★★★★☆
直進安定性 ★★★☆☆
ドライグリップ ★★★★★
ウエットグリップ ★★★★☆
ダートグリップ ★☆☆☆☆
スノーグリップ ?
コストパフォーマンス ★★★★☆
総評 ★★★★★

ミシュランから発売された新しいモデルです、チューブ・チューブレス両対応。
小排気量用では珍しい、スポーティーなパターンです。
前後では回転方向の指示が逆になる事に注意です。

グリップに関しては申し分ありません、街乗り用としてはむしろオーバースペックです。
高いグリップの割に最高速や燃費は殆ど変わらず、不思議な感じです。
特筆すべきはタイヤの暖まる速度、本当に一瞬で暖まります。
そのお陰か、ウエッティーな路面でも安心して寝かし込む事ができます。
速度を上げられない状況でも安定した性能を発揮してくれます。

ビードとサイドウォールはそこそこ硬め、組付けも難しく乗り味も硬いです。
その代わり剛性は高めらしく、荷重を掛けてもヨレる感じがありません。
かといって硬いタイヤにありがちな跳ねるような感じはなく、路面に吸い付くようです。
どんな急なコーナーも安全確実にクリアでき、どこまでも寝かせられそうな感覚さえあります。
フィーリングに関しては上々と言えるでしょう、だいぶ好印象です。

ライフに関しては何とも言えませんが、恐らく期待できます。
交換後300km程度走行し、それなりに攻め込みましたが、まだヒゲとバリが取れない状態です。

宣伝文句の通り、街乗りからツーリングまでオールマイティーにこなしてくれそうなタイヤです。

【7/25追記】
走行距離500kmを超えた辺りでようやくヒゲが抜け始めました。
やはり、ライフはかなり長めと見て良さそうです。

【11/14追記】
4000km以上走行し、ある程度摩耗も進んできたため評価を改めたいと思います。

ライフ ★★★★★
直進安定性 ★★★☆☆
ドライグリップ ★★★★★
ウエットグリップ ★★★★☆
ダートグリップ ★☆☆☆☆
スノーグリップ ☆☆☆☆☆
コストパフォーマンス ★★★★☆
総評 ★★★★★

舗装路ではBT390に匹敵するグリップながら、既存のどんなタイヤをも凌駕するロングライフ。
気温が氷点下近くの寒い日であっても硬くならず、初期から安定したグリップを発揮してくれます。
カブが履ける中では、まさに至高のオンロードタイヤと言えるのではないでしょうか。


・M35


ライフ ★★★★★
直進安定性 ★☆☆☆☆
ドライグリップ ★★★☆☆
ウエットグリップ ★★★☆☆
ダートグリップ ★★★☆☆
スノーグリップ ★☆☆☆☆
コストパフォーマンス ★★★★★
総評 ★★★★☆

同社のライナップ中最もリーズナブルで入手性の良いタイヤです。
最近になってパターンにマイナーチェンジが加えられましたが、自分が使用したタイヤはマイナー以前のものになります。

コンパウンドは硬めながら日本の気候の下でもひび割れにくく、ライフは長いです。
断面形状は真円に近く、寝かしこむまでもなく自分から寝ていくような感覚です。
接地抵抗も少ないので、燃費向上や最高速アップが期待できます。
前後に履くと高速域でふらつきますので、扇型のワイドタイヤをリア履きにするとコントローラブルになります。

絶対的なグリップは一般的なロード用タイヤとは比較になりませんが、特筆すべきはその独特なパターンの優秀さです。
パフォーマンスを引き出すキモは荷重移動にあり、的確なブレーキングとリーンを使用すれば驚く程安定した接地感が得られます。
これができれば、ありとあらゆる路面のコンディションでほぼ一定のグリップを維持してくれます。
特に、荒れた舗装路での安定感は同価格帯のタイヤの追随を許しません。
オールマイティーに使え、ツーリングでは頼もしい存在となってくれるでしょう。
ただし過信は禁物、当然ですがあまりに条件が悪いと対応しきれません。
あくまでも慎重な運転を心掛ける事が前提です。

尚、自分は現在これを常用しているため数本をストックしていますが、某所でマイナー前の古いモデルが2000円せずに叩き売られていました。サイズは2.25/17のみとなります。
比較的簡単に見つけられると思いますので、在庫がなくならないうちに是非。


・M45


ライフ ★★★☆☆
直進安定性 ★★★☆☆
ドライグリップ ★★★★☆
ウエットグリップ ★★☆☆☆
ダートグリップ ★☆☆☆☆
スノーグリップ ☆☆☆☆☆
コストパフォーマンス ★★★☆☆
総評 ★★★☆☆

M35と比較してブロックが大きめのタイヤです。
入手性もそこまで悪くはありませんが、価格設定は高め。
断面形状は扇型となっていますが、寝かし込みもそこまで重くはなく、寝かせようと思っただけ寝てくれます。
特筆すべきは直進安定性の高さで、多少横風を受けたくらいではふらつきません。

舗装路でのグリップは悪くないのですが、センター減りしやすくひび割れも早いので、運転によってはライフが短めです。
普段からしっかりと寝かし込むような運転をしている方には良いと思われます。
良く言えば基本を押さえた、悪く言えば特徴のない凡庸なタイヤと言えます。
アスファルト以外の路面や砂利の乗ったような場所では危ない思いをするかもしれません。
ウエット性能はそこまで悪くはありませんが、やはり過信は禁物です。


・M62


ライフ ★★☆☆☆
直進安定性 ★★★★☆
ドライグリップ ★★★★☆
ウエットグリップ ★★★☆☆
ダートグリップ ★★★☆☆
スノーグリップ ★★☆☆☆
コストパフォーマンス ★★☆☆☆
総評 ★★☆☆☆

オフロード用タイヤのようなパターンを取り入れたタイヤです。
ミシュランのタイヤにしては全体的に柔らかく、グリップは総じて高めです。
M35と同じくオールマイティーに、しかもM35よりも安定感があります。

これだけ書くと良いこと尽くめに思えますが、幾つかどうにもならない欠点もあります。
まずは、コンパウンドの柔らかさからくるライフの短さがあります。
普通のロード用タイヤのような感覚で使っているとブロックの前後の偏摩耗が激しく、微細な振動に悩まされる事になります。
また、他のタイヤに比して非常に寝かし込みづらく、必然的にセンター摩耗が進行しやすくなります。
トータルで見た場合、旨味のある期間が短く、非常に短命に終わる可能性があります。
また、燃費や最高速にもかなりの悪影響があります。

デュアルパーパスという触れ込みの通り走破性は高い思いますが、ライフの短さは如何ともし難いものがあります。




○メッツラー
スポーツタイヤをメインに製造する、二輪界隈では有名なタイヤメーカーです。
最近になって小型車用のチューブレスタイヤが追加されましたので導入してみました。

・SPORTEC STREET


ライフ ★★★★☆
直進安定性 ★★★☆☆
ドライグリップ ★★★★★
ウエットグリップ ★★★★☆
ダートグリップ ★★☆☆☆
スノーグリップ ☆☆☆☆☆
コストパフォーマンス ★★★★☆
総評 ★★★★☆

同社からはカブ系に適合するモデルが出ておらず長らく縁がありませんでしたが、最近になって履けるサイズのものが追加されました。
HP上では「スポーツ」なる系統にカテゴライズされており、舗装路におけるグリップを重視した設計となっている事が伺えます。

回転方向が前後で異なっている、いかにも現代的なパターンのタイヤです。
自分は70/90-17をチョイスしましたが、前後共用のはずがフロント専用となっていました。
しかしながら、カタログ上では前後共用との表示、マイナーチェンジ等あったのでしょうか。
リヤに履く場合は左右反転させて履くような形になりそうですが、詳細不明。

実走してみた限りでは変な撓みなどは一切なく、路面の状況をダイレクトに伝えてきます。
硬めのコンパウンドのようですが、路面への食いつきが悪いといった事はなく、グリップに関してはオーバースペックすぎるくらい。
ミシュランのPilotStreetが比較的柔らかめなコンパウンドであるのに対し、SPORTEC STREETは好対照です。
最初はそのあまりの硬さに戸惑うでしょうが、そのうち高い剛性にも慣れ、安心して荷重を掛ける事ができるようになるでしょう。
ウエットな路面であっても変わらぬ安心感で、しっかり操作を受け入れてくれます。

それから、やはりというか、欧州メーカーにありがちな全体的にカッチカチ(ミシュランより酷いくらい)なタイヤですが、履き替えはさほど難しくはありませんでした。
タイヤレバーを3本駆使することが素早く確実に作業するコツです、2本では厳しいかも。



○IRC(井上ゴム)
四輪では耳慣れないメーカーです。
小型車に純正採用が多く、二輪界隈では有名。
ビジネスバイク用から本格的なスポーツ用まで多数のラインナップ。

・SN12


ライフ ★☆☆☆☆
直進安定性 ★★★☆☆
ドライグリップ ★★☆☆☆
ウエットグリップ ★★★★☆
ダートグリップ ★★★★☆
スノーグリップ ★★★★☆
アイスグリップ ★★☆☆☆
コストパフォーマンス ★★☆☆☆
総評 ★★★☆☆

IRCの小型車向けスノータイヤ、画像右になります。
冬タイヤになりますので雪上・氷上のレビューをメインとさせて頂きます。

断面形状は画像で見るよりも角ばった印象です。
元々倒しこむようなものではないのでコーナリングは重め。
少し無理をするとズルズルと滑りだします。

ブロックにはサイプが走っており、氷上性能もそれなりに確保されている事を感じさせます。
新雪・柔らかい圧雪・シャーベットでのグリップは申し分なし。ただし硬い圧雪ではやはり不安感あり。
ミラーバーンではあっさり転倒(ヘタクソ)、20km/h程度での走行がやっとです。
硬い圧雪・氷上ではやはりスパイクに分があるでしょう。

雪上性能はもちろんのこと、驚くべきはグラベル・マッドにおける性能の高さです。
オフロードタイヤに引けをとらないグリップを誇り、特に泥濘の中では抜群のトラクションを発揮します。
パターンやコンパウンドの質がオフロードタイヤに近いためかと思われますが、下手なタイヤよりグリップは高そうです。

惜しむらくはライフの短さ、ドライでの運用が多いと一瞬で消えます。
しかし、どのような路面状況でも比較的安心して乗れるので、安心感とのトレードオフと考えれば…


・NF63/NR78


ライフ ★★★☆☆
直進安定性 ★★★★☆
ドライグリップ ★★★★☆
ウエットグリップ ★★★★☆
ダートグリップ ★★☆☆☆
コストパフォーマンス ★★★★☆
総評 ★★★★☆

IRCの小型車向けタイヤです。
ラインナップは60〜80幅の17インチのみとなっている事から、新型のカブ系をターゲットにしている事が伺えます。
今回はホイール幅にジャストフィットする70/90-17と80/90-17をチョイス。

このタイヤを選んだ経緯ですが、安価でそこそこグリップの良いツーリングタイヤという条件でタイヤを探していたところ目に付きました。
スポーツタイヤのように溝だけだとかブロックが大きすぎたりといったトレッド剛性を重視したもの、バリバリのオフタイヤなどは除外。
ブロックが程々に細かく、ヘビーウエットやオフロードも比較的楽にこなせるといった条件。
ツーリングではどのような路面状況に出くわすか分かりませんので、極端にシチュエーションを選ぶタイヤは避けたかったという事情があります。

国内メーカーのタイヤらしく全体的に柔らかな構造となっています。
空気を完全に抜けば手で着脱出来る程度には柔らかいので、履き替えには全く難儀しませんでした。
気になるのがサイドウォール剛性ですが、やはりというか程々に撓むような感覚はあります。
挙動が読みやすく全く不快なものではありませんし、むしろ積極的に押しつぶせば接地感が増して快適に走れます。
トレッド剛性は高く、高速域での安定性もグリップも必要十分といったところだと思います。

ライフの面ですが、コンパウンドが柔らかめであるが故か減りが早い気がします。
センター付近の接地面積を大きく取るようなパターン構成となっているのですが、これが災いして偏摩耗が進みやすいタイプであるとも言えると思います。
綺麗に使い切るのはなかなか難しそうです。

【2021/4/21 追記】
ライフ ★★☆☆☆
直進安定性 ★★★★☆
ドライグリップ ★★★★☆
ウエットグリップ ★★★★☆
ダートグリップ ★★★☆☆
コストパフォーマンス ★★★★☆
総評 ★★★☆☆

およそ5000km時点でNR78が終了しました。
フロントも概ね半分程度減っているようですので10000kmも走れば寿命を迎えるものと思われます。
舗装路でのグリップは文句なし、直線でもコーナーでも安定したパフォーマンスを発揮しており、柔らかさのおかげかフラットダートもどうにかこなせるといった具合。
減りの早さが予想以上でしたが、価格とグリップを考慮すると諦めもつくでしょうか。


【2022/10/1 追記】
リヤを履き替えているためレビュー対象がNF63のみとなります。

何故かNF63だけ非常にライフが長いですね、1年半は使いましたが全く減りませんでした。
減り方としてはリヤ2本消費するうちにNF63が1本といった程度になります。
長期使用して硬くなった感はありますがグリップもそこそこ、攻めた走りをしなければ全く問題のないレベルのものです。
右側が先になくなったため、乗り方の癖が強く出るタイヤだなぁという印象があります。
最近増えてきたテレスコサスのカブには非常によくマッチする特性だと思います。


・GP-5


ライフ ★★★☆☆
直進安定性 ★★★★☆
ドライグリップ ★★★★☆
ウエットグリップ ★★★☆☆
ダートグリップ ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★☆☆☆
総評 ★★★☆☆

IRCの小型車向けデュアルパーパスタイヤです。
サイズは80/90-17のみ、どうやらクロスカブ・ハンターカブ125用を標榜しているようです。

トレッド面の感触は柔らかで、サイドウォールは剛性が高くしっかりとした印象です。
ブロックの面積を大きく取ることでブロック剛性を稼ぎ、一方でグルーブを広くしてダートグリップを稼ぐようなモダンな設計であることが見て取れます。
おかげで、舗装路の高速セクションや荒れた路面でも一貫して安定した走行フィーリングが得られます。
倒し込んでもオンロードタイヤと変わりなく、ズルズルとアウトに膨らむ感覚もありません。
これはクラシックなデュアルパーパスタイヤに特有のトラクターパターンやキャラメルパターンと大きく異なる点です。

問題があるとすれば価格の高さでしょう、一本5000円近くもします。
それに付随する形で減りの早さも気になってきます。
新品時の感触のみで判断していますので、ライフについては摩耗が進んだ時点で再レビューしたいと思います。

【2021/5/22 追記】

ライフ ★★☆☆☆
直進安定性 ★★☆☆☆
ドライグリップ ★★★★☆
ウエットグリップ ★★★☆☆
ダートグリップ ★★★★☆
コストパフォーマンス ★☆☆☆☆
総評 ★★☆☆☆

3000km程度走行しましたが、およそ半分程度に減りました。
オフロード性能に振りすぎるあまりライフが短くなってしまったというような具合で、ミシュランのM62を彷彿とさせる減り方です。
ブロックが偏磨耗する点もそっくりで、これにより直進安定性が損なわれます。
いわゆる「おいしい時期」を過ぎてしまった感じ。
最後まで安定した性能を期待していましたが、比較的高価なだけに残念な終わり方と言えます。


・3R


ライフ ★★★★☆
直進安定性 ★★★☆☆
ドライグリップ ★★★☆☆
ウエットグリップ ★★★☆☆
ダートグリップ ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★★★☆
総評 ★★★☆☆

IRCの小型車向けデュアルパーパスタイヤです。
サイズは2.75-17のみ、CT110をメインターゲットに据えているようです。
推奨リム幅は1.40〜1.60程度になると思われますが、今回は1.85のリムに装着してのレビューとなります。

トレッド面の柔らかさは各種ビジネスタイヤと同等です。
デュアルパーパスといえばライフが気になりますが、ゴムの質と硬さからそれほど極端な減り方はしないと思われます。

ブロックの小ささと溝の深さからロードでのグリップに不安を覚え、慎重な運転を心掛けていましたが杞憂に終わりました。
SN12のようにズルズル滑り出すというような事もなく、しっかりと路面を捉えている感触があります。
この点に関しては期待以上でした。

肝心のダートグリップですが、扁平の大きさとパターンのおかげか期待通りの結果と言えます。
本格的なオフロードタイヤほどのグリップは望むべくもありませんが、どのような路面でも安心して走る事ができそうです。


・NF37/NR41


ライフ ★★☆☆☆
直進安定性 ★★★☆☆
ドライグリップ ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★☆☆☆
総評 ★★★☆☆

まずはフロントのみのレビュー、NF63からの履き替えです。

IRCから発売されているスポーティーなパターンのタイヤです。
一皮剥くと粘着するような感触が強いコンパウンドが表れます。
直進でフラついたりといった問題もなく倒し込みもスムーズ、急激な姿勢の変化が少なくコントローラブルです。
どこまで倒していってもどっしり受け止めてくれそうな信頼感があります。
これはNR41にも期待ができそうです。

不満があるとすれば価格が4500円程度と比較的高めであること、ライフが短そうであるということでしょうか。
履き替えたばかりでウエットなどは評価できていませんのでまた後日追記したいと思います。

【2022/10/9 追記】

ライフ ★★☆☆☆
直進安定性 ★★☆☆☆
ドライグリップ ★★★★☆
ウエットグリップ ★★★☆☆
コストパフォーマンス ★★☆☆☆
総評 ★★★☆☆

ウエットで運用する機会に恵まれましたので再レビューです。
グルーブの形状が効いているのか、ヘビーウエットでもハイドロが起きる事もありませんでした。
逆に、セミウエットでツルっといってしまいそうな場面でも普通に倒し込んでいける安定感があります。

また、問題らしい問題にもぶつかりました。
路面の縦のギャップ、例えば厚めの白線等に対して非常にナーバスな反応を示すという点が気になります。
他のどのタイヤでも問題ないのに、このタイヤではハンドルをグイッと持っていかれ転倒しそうになる、そんな挙動をします。
横のギャップに対しては特に問題は起きていません。


○DUNLOP
二輪・四輪共にメジャーなメーカー。
ビジネスからスポーツまで幅広く展開しており入手性も良いです。
スタッドレスタイヤのライフの長さに定評があります。

・D502


ライフ ★★★★★
直進安定性 ★★★★☆
ドライグリップ ★★★☆☆
ウエットグリップ ★★★☆☆
ダートグリップ ★★★☆☆
スノーグリップ ★★★☆☆
アイスグリップ ★★☆☆☆
コストパフォーマンス ★★★☆☆
総評 ★★★☆☆

ダンロップのビジネスバイク用スノータイヤ。
冬タイヤになりますので雪上・氷上のレビューをメインとさせて頂きます。

断面形状は見た通りの角ばり具合、全く倒せません。
車体を寝かせずにリーンインで曲がるのが原則です。

ブロックは細かく、サイプも刻まれています。
ゴムは柔らかいですが、あまり氷雪・ウエット向きのコンパウンドではないように感じました。
ゴムの質ではなくパターンでグリップするタイプのようです。
特性は想像がつくと思いますが、ある時点からいきなり滑りだすので新雪の上でも無理はできません。
氷上・硬い圧雪は意外にもSN12と同程度、慎重にならなければいけないことに変わりはありませんが。

特筆すべきはそのライフ、恐ろしいほど全く減りません。
1シーズン使用してもヒゲが抜けないほど、ある意味不安になります。
殆ど雪が降らないが稀にドカッと降る、そんな地域では重宝されそうです。

【2022/12/17 追記】
まとまった量の雪が降ったので半分程度に減った状態で走りに出てきました。
気温は-2℃程、割と暖かい方で雪質は若干重ためです。
結果はというと普通に走れてしまいました、やはりある程度雪の量がないとグリップを発揮できないようです。
既に踏み固められた場所では全くグリップしないため雪の深い場所を選んで走りました。
なお、前後とも2.25幅だったのでサイズアップでどうなるのか気になるところです。


○BRIDGESTONE
四輪ではメジャーですが、二輪は果たして…
ホンダの原付に純正採用されている事が多いようです。

・BT390


ライフ ★★★☆☆
直進安定性 ★★★★☆
ドライグリップ ★★★★★
ウエットグリップ ★★★★☆
ダートグリップ ★☆☆☆☆
スノーグリップ ☆☆☆☆☆
コストパフォーマンス ★★☆☆☆
総評 ★★★★★

ブリヂストンのハイグリップバイアスです。
ノーマルのカブに履く事のできる、現状唯一のリアルスポーツタイヤと言えるでしょう。

その操縦特性は恐ろしくコントローラブルで軽快です。
高速域でふらつくような事もなく、かといってコーナーで寝かしづらいという事もありません。
少しサイドウォールが柔らか目かなという感じもしますが、全体的に非常に完成度の高い作りになっています。

その中でも驚いたのは、予想以上にライフが長かった事です。
トレッド面を触った感じではかなり柔らかく、すぐ終わるだろうなーと思っていたのですが、大きな間違いでした。
結局、M45に肉迫するくらいのライフを発揮してくれました。これは嬉しい誤算です。

惜しむらくは、サイズの選択肢が殆ど無い事でしょうか。
現状、17インチでは2.50/17のみとなっております。
リム幅が最低1.40は無いと厳しいものがあります。
自分のカブは前後ともCL50の1.40ホイールに履き替えていますが、正直なところ不足だと思います。
推奨は1.60となっておりますので、パフォーマンスを最大限に活かしたい場合は組み換えが必要かもしれません。

また、日常から常用するにあたって注意点があります。
このタイヤはスポーツタイヤという性質上、無駄な肉をギリギリまで削って軽量に作られています。
そのため、トレッドが摩耗し切ると即座にカーカスコードが露出してきます。
このカーカス層の厚みも他のタイヤに比して全くといって良い程無いため、最悪はバーストの危険があります。
この点をよく了解した上で使用する必要があるでしょう。


○PIRELLI
四輪ではそこそこメジャーなのではないでしょうか
日本国内での評価はあまり芳しくないかも…?

・City Demon


ライフ ★★☆☆☆
直進安定性 ★★★☆☆
ドライグリップ ★★★☆☆
ウエットグリップ ★★★☆☆
ダートグリップ ★★☆☆☆
スノーグリップ ★☆☆☆☆
コストパフォーマンス ★★☆☆☆
総評 ★☆☆☆☆

ピレリの小型車向けタイヤです。
回転方向指定に加え前後指定があり、2本一組で売られている事が殆どです。
バイク用品店には比較的よく置いてあるのを見かけます。

全体的に硬く作られており、コンパウンドも硬めです。
ライフは長いのではないかと思いきや、そこに罠がありました。
硬化の早さも然ることながら、ひび割れの発生が非常に早いです。
摩耗はしづらいのですが、すぐ使い物にならなくなるのが目に見えています。
明らかに日本の気候に合っておらず、改善が求められます。

またこのタイヤ、グリップを失った時の挙動が非常にナーバスです。
よって、タイヤが冷えきっている時やパニックブレーキには注意が必要です。
謳い文句の通り、ウエットグリップはそれなりに良いだけに惜しいところですね。
Posted at 2015/01/19 05:15:54 | コメント(0) | トラックバック(0) | 雑記 | 日記
2014年06月29日 イイね!

ホンダ横型カムくらべ(12V版)

所有しているカムを走行フィーリングでざっくりと比較。
3つも比較すれば、プロフィールを見るだけでどんな特性になるか大体分かるようになります。


○パーツ構成
・POSH 強化バルブスプリング 270111
・SP武川 強化クランクシャフト(Rクランク) 01-10-0125
・キタコ ハイコンプピストン 350-1133950
・キタコ ステンタイプヘッドガスケット 960-1133950
・CP 強化オイルポンプ moilpomp
・デイトナ パワーアドバンスフルデジタルCDI (ストリート1設定) 74696
・ケイヒン PC20
・CP ハイパワーマフラー(3ピース) chp3down
・オートテンショナー仕様

圧縮比:12.0
点火時期:最大進角約32°
ポート加工(IN:φ18、EX:φ20)


○ノーマルカム(14100-GK4-000)

IO:BTDC7° IC:ABDC12° 作用角199°
EO:BBDC22° EC:ATDC2° 作用角204°
オーバーラップ:9°
バルブリフト:5mm

歴代最高出力を誇った83年式スーパーカブに標準装備のカム。
作用角は比較的少なく、リフトが若干高めの典型的なトルク型。
ダブルスプリングに対応するために、6V車と同じ幅広のスリッパーを採用している。
低回転から非常に力強く上もそれなりに伸びるが、概ね10000rpm程度で頭打ち。
燃調も取りやすく扱いやすいので、街乗りやツーリング用途には最適。
モンキーRやCRF70にも同じものが搭載。


○シフトアップ オートデコンプ付きハイカムシャフト(205088-HD)
※公式のデータに不審な点が見られるため、特性の似たHA02純正のデータになります

IO:BTDC2° IC:ABDC25° 作用角207°
EO:BBDC33° EC:TDC0° 作用角213°
オーバーラップ:2°
バルブリフト:5.6mm

ノーマルヘッドに搭載可能という触れ込みのカム、オーバーラップの少ない高圧縮型。
こちらも強化バルブスプリングに対応するため幅広なスリッパーとなっている。
高回転は12000rpm程度まで伸びるが、低回転のトルクは痩せ、若干不安定になる。
ハイカムと呼ぶには大人しい特性かもしれない。


○キタコ ハイカムシャフトSPL(300-1083100)

IO:BTDC12° IC:ABDC38° 作用角230°
EO:BBDC50° EC:ATDC9° 作用角239°
オーバーラップ:21°
バルブリフト:不明

無加工でノーマルヘッドに搭載できるもののうち、恐らくかなり過激な部類に入るハイカム。
作用角もオーバーラップも非常にワイドな高回転型。
小径ベース円に準拠して作られており、ロッカーはスリッパーの幅が狭いものを使用。
低回転のトルクは皆無、8000rpm近辺からようやくパイプインする。
50ccの場合は燃調がかなりシビアで、少しでも外すとミスファイアし、終いにはバックファイアに見舞われる。
ポート加工をしていない状態であれば多少はマシかもしれない。
IN側が閉じるタイミングがかなり遅いため、低中回転では盛大にガソリンを吹き返す。吸気音も爆音。



とりあえずはこんな具合で。
ちなみに、キタコのハイカムを試した時点で排気バルブのタペット部に一部剥離が生じている事が判明。
また、タペットアジャストボルトも2mm近くゴッソリ削れており、事実上の故障となりました。
バルブそのものの寿命だったのか、他に原因があったのかは不明。

故障発覚までの間、排気側だけがローカムの状態で走っていた事になるのですが、これがまた面白かった。
上が全く吹けなくなる代わりに、無いも同然だった低速トルクが増強されるといった具合。
ここで改めてノーマルカムの優秀さに気づいた、というワケですw

ポート加工してあると糞詰り感もなく一気に吹け上がるので、ノーマルとはまた違った特性が出てきます。
現在は完調になりつつあるので、また新しいカムを入手したらインプレしてみたいと思います。


【2019/4/28 追記】
仕様が変わりましたので再レビュー。

○パーツ構成
・キタコ New STDヘッド&メッキシリンダー(88cc)
・C70純正クランク
・ミニモト パワーオイルポンプ
・CD90純正CDI+DirtMAX軽量アウター
・ヨシムラ TM-MJN22
・スパトラ4インチ
・オートテンショナー仕様


○12Vカブノーマルカム
低回転重視にすべく試験的に導入…してみるも結果は散々。
全体としてトルクが薄く、上まで回るもののだらしないパワーの出方。
燃料も上手く吸わないようで明らかにリフト不足。
ただし、燃焼は安定しておりトルクはフラットなので乗り疲れはない。

○モンキーRノーマルカム(14100-GK4-000)
ピークパワーは思うほど低回転寄りにはならない。
5000rpm近辺が力強く、上もしっかりトルクがついてくる。
しかし、ヘッドの仕様のためか幅広ロッカーを使用すると10000rpm手前でサージングを起こしそれ以上吹けない。
少なくとも6Vヘッド用強化スプリングは必須か。
リフトは適正だと思われる。

○キタコ SPLハイカムシャフト
キタコ推奨のハイカム。
低回転からトルクのあるボアアップキットとの相性は抜群。
全体としてトルクは太いが、ピークは完全に高回転寄り。
12000rpm程度まで綺麗に吹けてくれる。


【2022/3/14 追記】
新仕様の車両ができましたので追加レビューです。

○パーツ構成
・クリッピングポイント ハイパワー105cc
・C90純正クランク
・ミニモト パワーオイルポンプ
・C.F.POSH デジタルライトウエイトローターキット
・ヨシムラ YD-MJN28
・クリッピングポイント ハイパワースポーツマフラータイプSS
・マニュアルテンショナー仕様


○12Vカブノーマルカム
以前の88cc仕様と大差なし、すぐ頭打ちになってしまい非常にタルい。
燃焼が遅すぎてEXバルブが焼け落ちてしまいそうだったのですぐさまテスト中断。

○モンキーRノーマルカム(14100-GK4-000)
素性が違うだけあって流石に相性は悪くない模様、低回転からパワフル。
ダブルスプリング故、サージングも起こさずにどこまでも回っていく。
デコンプがないためハイコンプだと始動に手こずる。

○クリッピングポイント ST-2Dカムシャフト
ヘッドの出元と同じクリッピングポイントのカムシャフト、オートデコンプ付き。
特性としてはモンキーRカムに非常に似ているが、少しだけ高回転にパワーが足されたような感覚がある。
山の形状的にもモンキーRカムよりは高開度が長続きするようになっており、高回転重視である事が伺える。
Posted at 2014/06/29 04:56:51 | コメント(0) | トラックバック(0) | チューニング | 日記
2014年04月27日 イイね!

バイクのクランクケースブリーザーについて一考

先日、表題に絡んで一悶着ありました。
大変な目に遭いまいたよホント…

では、まずクランクケースブリーザー(以下ブリーザー)とは何ぞや、という方のために、ざっと解説をば。
平たく言えば、空気がクランクケース内と外界を出入り出来るようにするために設けられた開口部です。
大抵はケース上部からホースニップルが生えており、ホースによってインテークと接続されているか、そのまま開放されています。

このブリーザーの代表的な働きとして、機械要素の運動や温度変化によって発生するケース内の圧力変化を抑えるというものがあります。
密度の高い物質の中では物体の運動は阻害されますので、機械要素も出来るだけ低い圧力の中で動かした方がスムーズに動くというわけです。
また、ケース内に漂っているオイルミストは高温で酸化されたり水分を取り込んだ劣化オイルです。
そういった機械要素にとって有害な物質を外部に放出する事で、機械要素の寿命を延ばす働きもあります。


本題に入ります。
バイク、特にミニバイクは様々なアフターパーツに恵まれています。
そのアフターパーツの中に、ブリーザーの取り出し口を増設するためのものもあります。
通常は最初からケースにあるブリーザーのみで事足りるのですが、高回転を多用したりすると圧を逃しきれなくなったり、オイルが吹き出してくる場合があります。
また、先述の通り、低圧環境の方が機械要素の動きは良くなります。
ブリーザーを増設する事で、ケース内を大気圧に近づける事が可能になるというわけです。
自分のマシンも例外ではなく、タペットキャップと交換するタイプの取り出し口を着けて、ノーマル系統は殺していました。
そして、事件は起こったのです。



抱きつきです、お恥ずかしい限り。
何故ブリーザーと抱きつきが関係があるのか…原因はオイル不足でした。
エンジン内にパーツが落ちたり、異物が侵入したりといった事は一切ありません。
何らかの原因で急激にオイルが減ってしまった…原因は一つしか考えられないのです。

ブリーザーの増設を行ってから暫くして、ある疑問を検証するために設計を変更しました。
「ホースの長さで抜けは変わるのか」というものです。

接続はこのような具合です。

ブリーザー→ホース(約300mm)→オイルキャッチタンク→ホース(約200mm)→フィルター

これを

ブリーザー→ホース(約200mm)→オイルキャッチタンク→ホース(約50mm)→フィルター

このようにしました。

効果はすぐに現れました、期待を裏切る形で…
200km程度走行して、ふとオイルキャッチタンクを覗くとゲージが黄土色。
何事かと思ってドレーンを緩めた瞬間、白濁したオイルが噴出…
1Lあるタンクの2/3程度までオイルが溜まっていました。
取り回しを変えても状況は変わらず、むしろ悪化しているようでした。
最終的には、50km程度でおよそ500ml程度のオイルが溜まるようになっていました。
そして件の抱きつき、レイアウトそのものを見直そうと思っていた矢先の事です。

この大量のオイル流出が、単なるオイルミストの滞留によるものでない事は明白でした。
壁面を伝うオイルがクランクケース内の気体の脈動によってポンプの要領で押し出されていた事が原因です。
レシプロの吸排気管と同じく、ホースが長ければ長いほど脈動を吸収する力が大きくなるので、今回の場合は当然の結果と言えるでしょう。
再び、ノーマル系統も生かして長めに取り回したところ、嘘のように改善しました。

タペットブリーザー→ホース8Φ(約200mm)→変換ニップル→ホース9Φ(約300mm)→三叉
ノーマルブリーザー→ホース6Φ(約300mm)→変換ニップル→ホース9Φ(約300mm)→三叉
三叉→ホース8Φ(約200mm)→オイルキャッチタンク→ホース(約300mm)→フィルター

ニップルは内部で大きく広がっていてオイルトラップの役目を果たすため、効率よくオイルとガスを分離できます。
壁面を伝ってきたオイルはそのまま落下してクランクケースに戻るという寸法。


以上のように、バイクや車というものは安易に手を出すと危険な箇所ばかりです。
先の先まで読む力を養わないと泣きを見る事になるかもしれませんね、自分もまだまだです。


【5月9日追記】
オイル大量噴出が再度発生。
発生条件を精査した結果、原因はオーバークールによるピストンのクリアランス過大だった模様。
オイルクーラーをカバーした上で、オイルの粘度を5w-40から15w-50に変更して様子見。
ピストンの膨張率に合った粘度特性を持つオイルを使用しなければトラブルを招くという事例か。


【5月14日追記】
相変わらず油温が70~90℃近辺をウロウロして上手く暖まらない。
全く改善しないのでオイルクーラー撤去、以前はここまで冷えなかったので恐らくレイアウトの問題。

オイルクーラー取出ブラケットをビッグフィンカバーに交換した上で、若干濃かった燃調を再度調整して、点火時期も進み気味にしておいた。
その上で、ストップアンドゴーに次いで全開、という動作を繰り返し行なった。
エンジンが熱を持ちやすくなる要因ばかりであるが、油温が110℃を超える事はなく、空冷エンジンとしては適正な範囲に納まる事を確認した。
勿論、オイルの噴出も嘘のように収まり、100km程度走ってもキャッチタンクはほぼ空のままであった。

中間は力強いが高回転は伸びづらいという、ハイコンプピストンらしい特性が戻ってきた。
カムの特性を考慮しても真っ当な出力特性だと言えるので、問題はこれでほぼ解消と見て良さそうだ。
しかしながら、暖機運転をしっかりしないと首振りするので油断ならないところである。


【2016年4月7日 追記】
現状は以下の通り。
・クランクケース上方にあるノーマルのニップルは破損のため使用不可
・タペットキャップ、クラッチカバーにφ8ホース用ニップルを増設、隔壁はなし
・リターン系統のある小型のオイルセパレーターを新たに設置(キジマ 106-0092)
・リターン、開放系統にワンウェイバルブを取付(キジマ 105-15003)

画像がないので文字で説明します。

[タペットキャップ]
   ↓
[セパレーター]→[ワンウェイバルブ]→[キャッチタンク]→[大気開放]
   ↓
[ワンウェイバルブ]
   ↓
[クラッチカバー]

前回の追記時点から更なる試行錯誤を重ね、このような状態となりました。
クランクケースからの取り出しはバックプレッシャーの低減に有効であろうと思ったのですが、クラッチ交換してからというものオイルの吹き出しが予想以上に増えてしまい断念しました。
取り出しはタペットキャップからとし、クラッチカバーへはリターンさせるだけに留めました。
結果としては上々で、オイルの減りも殆どなくなりました。

設置したワンウェイバルブですが、ダイヤフラムにバイトン(フッ素系ゴム)を使用したポリプロピレン製の小型のものです。
本来は燃料タンクのベンチレーションチューブ用となっており、耐熱性に関しては期待できそうもなかったため、熱の掛からない設置方法を検討する必要がありました。
装着してから1万キロ程度使用しましたが、特段問題は発生していません。
冬場、気温が-10℃近い時でも凍結せずに上手く動作しています。
よく見掛けるものにアルミボディのボールタイプのものがありますが、凍結した場合の害を考慮すると良くないように思います。
凍結しても僅かながら流路が確保できれば温まって解けますので、ダイヤフラムタイプのワンウェイバルブを横向きにして使うのが良いと個人的には考えます。


【2019年4月19日 追記】
長らくクラッチカバーに8mmのニップルを増設し、オイルリターンのあるセパレーターを接続して運用していましたが、水分が全く抜けていかず、各部品の潤滑に悪影響を及ぼしている疑いが出てきました。
よって、ノーマルのニップルに対してレデューサーバルブを設置するのみとし、増設ニップルは全て撤去しました。
今のところ、7000〜10000rpmを常用するような使い方をしても懸念材料であったカウンターシャフトオイルシールの抜け等は発生しておりませんので、しばらくこれで様子を見ようと思います。
キャッチタンクにはオイルと水が分離したものが溜まっており、明らかに以前よりも水分の排出がスムーズになりました。
エンジン内部のラビリンスが狙い通りの仕事をしていることが分かります。

ニップルを増設する場合、外部にオイルセパレータを設置する事は好ましくないと言い切っても良いでしょう。
しっかりと温まるエンジン内部でオイルを分離できるような構造が求められるため、オイルの寿命を考慮した設計は相当に難しいと思われます。
よって、広く採用されているようなノーマルニップル近傍への増設が最も容易で確実であると言えるでしょう。



【2020年6月13日 追記】
記事のPV数を見たところ過去の記事がかなり伸びているようですので、現在の私見について述べさせて頂きます。
以前に追記を行った時点より構成は変更していませんが、以降もブリーザーの動作は良好なようです。
加えて、オイルの寿命が明らかに伸びた事が実感できました。
やはり、水分の混入がオイルの潤滑力を相当に損ねている事が分かります。
ホースがフレーム内部を通過するようレイアウトした結果、キャッチタンクに到達するまで冷却される事もないため、オイルミストは殆どそのまま抜け、水分だけがキャッチタンクに滞留するといった状態に落ち着きました。

やはり、エンジン内部かそのすぐ近傍、熱の掛かる箇所にラビリンスを設け、配管は極力冷却しないように引き回す、といったレイアウトが最適解であると確信できました。
ブリーザーを増設する際の参考にしていただければ幸いです。
Posted at 2014/04/27 01:29:48 | コメント(1) | トラックバック(0) | 整備・点検 | 日記

プロフィール

「次回はVTRのFI用マフラーのレビューになります、モノはヤマモトレーシングです」
何シテル?   05/16 15:58
鈑金王と申します。 お察しの通り、捻くれたオタクです。 スイフト(ZD11S)降りました、現車両はZC33S。 他にCD90とVTR250を主に転がし...
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