The Sun Also Rises ～ 日はまた昇る

午前 5:30。体をコックピットへ滑り込ませ、シートベルトをロックする。外光を鈍く反射しているスタートボタンへ軽く力をこめると軽い唸りと共にエンジンが目覚める。さぁ、海へ行こう。

しばらく走ると、真っ暗だった東の方角の色がぼんやりと変化していることに気づいた。白み始めた地平線が、星の粉を掃き散らし始めた瞬間。もうすぐ夜明けだ。

ドライビングコンピュータの外気温計は -4.0 度。今はまだ海岸への途中、あと30分程時間が必要だ。

海岸へ続く急な坂を下り始める。目の前に深蒼色とオレンジのグラデーションの海が広がる。

時計に目をやると 6:40。もう太陽はすぐそこまで来ているはずだが、水平線に居座る雲に阻まれてなかなか姿を見せようとはしない。

寒い。

太陽は予定時刻を数分過ぎたあたりでやっと姿を現した。水平線の雲間に明るいオレンジ色の光が瞬きだしたと思うと、ぐんぐんと高度を上げて暖かい光で周りを包んでしまった。

日は昇る。

さぁ、今日もがんばって生きよう。何かいいことあるさ！そう思えた瞬間だ。高度を更に増そうとする太陽を背に、シャンパン色に煌く風景の中を心地よく帰路に就いたのであった。