2016年10月02日
数字に現れないフィーリングとかあるでしょうが
あ?ねぇよそんなもん
例のトヨタ特許に関するNAVERまとめに引き合いに出されていた漫画がこんなことを言っていた。
ちなみにバイクの漫画っぽいのだが,その次に貼ってあったシーンには,
「それはその人の心に効果があったんだよ。『これをつけると運転が楽しくなります』って効能」
なる発言があって,なかなか言い得て妙だなと納得してしまった。
数字に現れないフィーリングなどない。
変化があった上でそれを体感するのであって,数字に変化のないものを感じることはできない。
数字は変わらないけど良くなった気がする,はプラシーボと言われても仕方がない。
……と,言って終わりならわざわざ記事など書かない。
タイトルの発言を,捉え方を変えるなら「あるね」という答えになる。
「数値計測できないフィーリングとかあるでしょう」
すなわち「数値変化はあるっぽいけど現在の計測方法じゃ測れまへん」という変化だ。
これは,小数点以下の変化だから計測上無理,という意味ではない。
といいつつ無関係ではないがここでは一旦措いておく。
畢竟,試験計測というのは適切な試験方法があるからこそ成り立つのである。
サスペンション部の補強をしたのに,ホワイトボディをねじり試験にかけるバカはいない。
かけて「あるぇ~変わってないぞ~」ってそりゃ変わるわけがなかろう。
やるならまず取り付け部の加振試験とか静負荷試験とか,その辺だろう。
しかし,結局それでも数値として乗ってこないことはままある。
入力の方向が違うとか計測位置が悪いとか,要因は色々あるがとりあえずある。
最終的には実際に走ってみて,フィーリング良くなったね,で効果ありと判定されれば採用。
まぁ実際には実走時に車体G変化などを計測するので,数値に乗ってこないわけはないが。
それでも,補強部分の変形がこうなったから……まで突っ込むことは上記の例では少ない。
理屈は完全には分からないがとにかく良くなった,ということになる。
今回のトヨタ特許も似たようなものだ。
実走行中の現象を全て再現し評価できるほど,試験というのは万能ではない。
どんなクルマでもとりあえずリコールの1つや2つ出ることを考えれば分かるだろう。
どれだけ念入りに見ようと思っても,計測器をすり抜けてしまう現象は確かにある。
そして,案外そういうところに「ドライビングの味」を決める要素みたいなものがあったりする。
現代の試験方法・計測方法には乗ってこないフィーリング,ということになる。
そういう意味では,オカルトチューンとはよく言ったものだと思う。
オカルトというと,幽霊・UFO・UMAなどなど。
語義を客観的に定義するなら,オカルト=あるのかないのか分からないもの,とでもなるか。
少なくとも今の科学技術では観測・解説できない,そういうものだ。
実態はよく分からないがそれっぽい現象が観測された,というのはオカルトチューンでは茶飯事だ。
効果があるのかないのか分からない,試験計測してみても特に変化は出ない。
ここでインチキだと切り捨てられるか,試験方法を変えてみようになるのか。
それはその技術なり製品なりを発表したメーカーや技術者の日頃の行いによるところだが。
今回トヨタは「もっと念入りに試験してみよう」で科学的に紐解き特許に至った。
完全解明ではないが,とりあえずオカルトの域は脱して科学の仲間入りを果たしたわけだ。
ちなみに私のこの考え方は漫画の受け売りである。
小野不由美原作のコミック「ゴーストハント」の単行本10巻,p.79~92に似たような話が出ている。
心霊現象は科学ではなく未科学,これを科学に昇格させるために色々試している,的な。
閑話休題。
今回の話は,実のところ先日友人とした会話へのエクスキューズである。
トヨタ特許試してみる?と訊いたら「感性評価は興味ない,数値評価がしたい」と断られた。
どんな試験方法がいいかも分かってないのにねぇ,と思いつつ引き下がったわけだが。
素人が出来るレベルの計測に比べれば,人間の感覚の方がより繊細で安上がりだ。
素人計測なんて,レンジが広すぎるかノイズがヒドイか,あるいはその両方で実用に耐えない。
そういう意味でも「数字に現れないフィーリングとかあるでしょうが」は間違ってはいない。
暇つぶしに試験方法を探求してみてもいいかもしれないが,あいにく私はそこまで興味はない。
自分でも「なんとなく」だったら他人の声も集めてみようと思ったが,はっきり効果が出たわけで。
私じゃなくても実感できただろう効果が出てくれたことで満足しちゃっているところがある。
私の興味はむしろ,どこにやったらどう変わるかな~の方にある。
ま,数値議論にはならないから,信じるか信じないかは自由だけど。
結論。
数字に現れないフィーリングなどない。
それは試験方法が悪いか,本当に効果がないかのどちらかだ。
けどどちらにしても,一般ユーザーが本当のところを知るのは極めて難しい。
そんなわけで,オカルト以下のインチキチューニングは今後もなくならないだろう。
が,あまりそういうものが幅を利かせて,ユーザーの購買欲がなくなるのは残念だ。
しかるべきところにはしかるべき対策をお願いしたい。
長年かかって認められてきたチューニングカー文化が消滅してしまってはあまりに悲しい。
そういうわけで,今回のトヨタの発表は全面的に支持したい。
メーカーがこんな突拍子もない技術を発表してくるのは,マーケットにもいい刺激になるだろう。
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[日記]チューニング考察 | クルマ
Posted at
2016/10/02 09:01:16
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