
新型NDロードスターに試乗してきました!
5月20日に正式発表、21日発売となった 新型マツダロードスター NDの全てのグレードに試乗することが出来ました。最もベーシックなS 6MT、Sスペシャルパッケージ 6MT、Sレザーパッケージ 6ATです。
「ND試乗インプレを書いてくれ〜」ってありがたいメッセージを何人かのお友達にいただいたので、Thanks Day in Japanで乗った市販プロトの経験も交えて感想を書きました。確かにオレはNA、NB、NCと何台も乗り継いでいるのでロードスターは本当に好きなクルマのひとつです。
NDはアルミをたくさん使って約1トンまで軽量化していたり、先代のNCの2.0ℓ170PSから1.5ℓ131PSエンジンへと排気量をダウン、全長も歴代で最も短くコンパクトにするなど割り切った設計でマツダの意欲作として注目されています。
高い内外装の質感と相まって『大人のスポーツカー』な雰囲気が歴代で最も強く感じられます。オレの周りでもこれまで1クラス上のスポーツカーや輸入車に乗っていたオーナーさん達が注目し、購入を検討しています。
NDロードスターの走りを一言で表現するならば『誰もがライトウェイトFRオープンスポーツの走りを気軽に楽しめるクルマ』間口のとても広いクルマです。これまで歴代ロードスターが楽しさと引き替えに持っていた乗りにくさ、扱いにくさといったネガティブな面(これらはほんの僅かですが)を徹底して改善に次ぐ改善を行い、とにかく乗りやすく、気持ち良さを感じられるようにと、今のマツダが考えるライトウェイトスポーツのあるべき姿を具現化したモデルです。誤解を恐れずに言えばちょうど提携関係を結ぶと発表されたトヨタ的な親しみ易さがプラスされたロードスターとも言えるかもしれません。
キリリとした鋭いデザインは歴代ロードスターと一線を画すもの。小型LEDライトを採用して精悍なイメージになり、ボディを大きく見せるようにデザインされています。ボディの面の質感がとても高いのですが、市販バージョンはプロトとは異なり、量産化のために車高が少し上がって、アルミを採用しているボンネットとフロントフェンダーとの隙間なども若干ですが広げているようです。
ベーシックなSに乗り、走り出してみるとボディの軽さを感じさせるような軽快な走り出し。エンジンも軽快に回り、乾いたエキゾーストノートと息の長い加速感が続きます。シフトフィールはスムーズで速度がするすると上がっていく、爽やか系の走りです。サスペンションはしなやかに路面を捉え、軽量スポーツカーにありがちな突き上げや硬さはなく、大人な感じで優しく走ります。クルマの動き、ロールはちょっと大きめの設定。センターメーターやアグレッシブなフロントデザインから想像するよりずっと洗練された走りで普通に『ロードスターな感じ』です。
どの回転域でも扱い易く、トルクはフラットですが、発進時とシフトアップした直後のトルクの立ち上がりがしっかりしていて一度落ち着いてから再加速し、『速そう』な感じを演出しています。まさにNDのボディサイドデザインのようなグッ、ギュ、プォーン!って感じの加速です。
コーナリングはSスペシャルとの明確な違いを街中での走りでは見つけ出しにくいのではないかと思います。以前、市販前のバージョンに乗った時には着座位置が後ろであるためかリヤが回り込む時に違和感を感じたのですが、今はほとんどSスペシャルと同じように感じます。少しだけSスペシャルが機敏かな?ロール少ない?気のせいかな?と思った程度です。NA、NB、NCからでもそれほど違和感ないように進化しました!

オレが最も驚いたのは6AT仕様でした。スポーツ走行のようなシーンでは6MTがもちろん良いのですが、街乗りに関してこの6ATモデルは本当に良くできていました。デュアルクラッチ、CVTなどありますが、このATはそこそこダイレクト感あるし、シフトダウン時の空ぶかしもバッチリ決まります。トルコンATとしての完成度はかなりのもので、使い易いパドルシフトでついつい楽しんでしまいます。NDのしなやかな足回りやハンドリングには6ATの方が走りのリズムが合っていると感じました。
そうそう、試乗車でブン回されているにもかかわらず、燃費計は12.6km/ℓ!!!きっと日常燃費は14km/ℓくらいでしょうね。高速は20km/ℓくらい行くのでしょう。抜群の燃費性能と走りの両立がNDの凄さですね。

ドライビングポジションは自然で乗りやすく、車両感覚も掴み易いです。先代NCはやや斜め後方が確認しずらかったですが、NDは視界も良好です。
本革シートもファブリックシートも座り心地良かったです。ホールド性もいい感じです。
ドアパネは上部がボディ同色で各色あり!大人な雰囲気でデザインされた内張りは高級感たっぷり。このドア、開ける際には要注意です!あまりに軽い操作感で、いきなりドバーッと全開になってしまうことがあり、隣のクルマや壁にドアパンチしてしまいそうです(笑)

ペダルは自然な配置、アクセルペダルはオルガン式。
フットレスト後方の膨らみは触媒を避けるためのようです

細身のステアリングは形状、革の感触がとても良いです⭐️
電動パワステは軽めのフィーリングが好きなオレには慣れればこれでも良いです。ただし切り始めのカチャっとなる感じはせっかくFRスポーツなのでもう少し熟成して欲しいです。

シフトノブの本革はこんな感じ

メーターはロードスター初のセンターメーター。インジケーターの液晶表示やメーターリングなどの質感は高いです。

運転席に座ってボンネット裏のボルト&ナットがむき出しに見えるのが気になりました。プレミアムを名乗るなら、86/BRZやZ34のように見えないようにカバーをつけて隠して欲しいかなあ。

インパネの質感はプラスチックはそこそこなものですがオレはこれくらいがロードスターらしくていい感じです。Sもスペシャルパッケージもこれが基本。レザーパッケージはここもレザー張りでステッチが入ります

USBなどのジャックはシフトノブ前に2つあり、
プロトタイプにあった未使用時のカバーなどは省略されています
SグレードはUSBとAUXがそれぞれひとつずつでカバーがあります

助手席後方に隠されているETC挿入BOX
これは教えてもらうまで、発見できませんでした(笑)

最新エンジンSKYACTIVが載ったのは歴代ロードスター初。エンジンルームはオーナーが楽しめるようにとアルミのフラットなカムカバーになるなど工夫されています。吸気はフレッシュエアを吸えるいい位置にあるし、綺麗にデザインされたエンジンルームですね。1.5ℓは完全フロントミドシップに搭載されています。左右のフェンダーでっぱりはダミーなのでストラット上部までの距離はかなりあります。エンジンは現代に求められるエコ性能をクリアした上で軽快な吹け上がりを実現しています。
1500ccで131PSです。レッドゾーンは7500rpmなのは鍛造クランクシャフトを採用したから。SKYACTIVシリーズで最も自然で気持ち良いエンジンです。全体として静かでエンジン音より乾いた排気音が軽快に聞こえてくる感じ。軽快な吹け上がりはもちろん、吹け落ちも素早くなったのはプロトからの進化。現代の排ガス規制の中、これは凄い

テールはかなり絞り込んでいてコンパクトで優しい印象です。NAと比べても上部はかなり絞り込んでいますね。

トランクは開口部が歴代で最も狭いですが、深さがあり、飛行機の機内持込サイズのバックが2個入る。トランクリッドはアルミ製。
歴代ロードスター大好きなオレですが、「今、NDロードスターをToshiさん買うの!?」と聞かれると現状ではないです。今ひとつピリッ!としたモデル、あるいはベース車として手頃な価格のモデルがないと思うからです。
マツダも公言しているようですが、今回のNDロードスターは細く長く次の10年に向けて売っていく計画で順次魅力的なモデルが追加されていくようです。海外では2.0ℓで160PSモデルも存在し、これはきっとブレーキ、ミッション、デフなども強化されたモデルです。日本向けに発売されるとすればNB時代に習って考えれば『RS』というモデルになり、ビルシュタインと大径ブレーキ、大型ラジエター、フロア補強が追加されるのでしょうか。グローバルカップカーのベースにもなっているであろうこのモデルがオレはとても気になります⭐️
この『RS』があるとしたら、その装備で1.5ℓを積んだモデルは『NR-A』となって発売されるのではないでしょうか。パーティレースのベース車がいつ発売か?それも気になります。きっとこれらにはスタビ、トルセンLSDが装備され、装備はシンプルでしょうからオレの好みになりそうです。更にRHT(リトラクタブルハードトップ)モデルも追加されるのでは?という噂もあります。クーペ(クローズド)モデルもありそうなデザインな気もします。すっかり忘れそうですが、兄弟車でフィアットかアルファかのバージョンが出そうなことも気になるし・・・。あれが噂通り1.4ℓターボで出るなら、NDにもしかしたら1.5ℓターボモデルとかも出るかもしれないし・・・。トヨタと提携したということは2年か3年でトヨタからもロードスターの兄弟がでるかも!?など妄想は膨らむばかりです。

オレは26年前、デビューしたばかりのユーノスロードスター(初代NA6CE)のスペシャルパッケージを買った。でもサスペンションがソフト過ぎてKONIとレーシングビートサスを入れて乗っていましたが、ビスカスLSDの効かなさは峠でも悔しく、機械式LSD欲しい!バケット欲しい! エンジンチューンしたい!と思っていたところでM2が発売され、ショック(笑)。その2年後に中古のM2 1001に出会い、乗り換え、今まで20年乗っています。
その後、ロードスター2台所有した際もNB8CはRSモデル、NB6CはTD-1001R、NCはNR-Aでした。その時もSやスペシャルパッケージは存在していましたが、オレが選択したのはスポーティモデルでした。だから『オレのND』はまだ発売されていないのです!ここで買っては26年前と同じ過ちに後悔するでしょう。NA時代の苦い経験は忘れません(笑)。
NDは『歴代も最もコストと時間をかけて開発されたロードスター』として今後も歴史に残る存在になるでしょう。だからいつかは所有してみたい。しかし!現状のラインナップモデルはかなりソフトなタッチであり、すべての操作に対して『オレとしては』スポンジーに感じるため、正直NAのようなシンプルなダイレクト感は得られませんでした。もちろん、近年のマツダ車SKYACTIV軍団の中では最もダイレクトでスポーティなのですがどう乗っても『普通に走ってしまう』ことが不満というなんとも贅沢な悩みなのですが、オレがロードスターに求める感覚とはまだ一致していないかなあ。でも『この親しみ易さこそロードスターだ!』『オレには十分に刺激的!』と感じられる方にはこれがベストだし、エントリーモデルとして『FRやスポーツカーは敷居が高い』と感じていた人にはとても良いモデルだと思います。そして『もっとピリッ!とした走りが欲しい!』というオレみたいな人たちに対してはきっとマツダがRSやNR-A、または低価格ベースモデルなど、遠くない将来に出してくるでしょう。
今はこのFRライトウェイトシャシーをマツダが開発し、発売してくれたことを素直に喜び、今後の改良と熟成、そしてオレの欲しくなるような追加モデルに期待したいと思います。
最後に今回貴重なND試乗の機会をいち早く与えてくださった湘南マツダ平塚店のみなさん、ありがとうございました!