
クリームのメンバーで一番は?と考えて思い浮かぶのは…結局全員リーダー、全員主役なので誰と全く言えないのが凄いバンドです。
同じ時代の同じスリーピースバンドのジミ・ヘンドリックスのエクスピエリエンスはどうしてもジミに圧倒的に主役感があります。
ジミヘンと言えば名前だけなら誰でも聞いた事があるくらい凄い知名度のある人です。
ECも彼に衝撃を受けてジミもクリームに衝撃を受けて、ふたりは互いに一目置く間柄で、ジミは自分のプレイの途中で曲をやめてクリームのサンシャインラブを演り、ECはクリーム後何度もジミのリトルウイングを演り…そして一緒に写真を撮るくらい仲が良くて…とこれだけでも凄い人だったんだなとわかります。
ジミは才能がありすぎて自分をコントロールできなくなって若くして亡くなってしまったというのが真相のようです。
クリーム以前のECのキャリアはヤードバーズから始まりましたがその頃から既に主役のボーカルで甘いマスクのキースより人気があったそうで、「ファイブライブヤードバーズ」ではガンガンに弾きまくっています。

そして彼のテクニックの凄さを逆に言って「スローハンド」と呼ばれていたことでも存在感が凄かったんだな…と想像できます。そのバンドのコマーシャル化(アイドルの様になったビートルズ的方向か?)に嫌気がさしてブルース色どっぷりのブルースブレーカーズに加入、すぐに自分の名前を看板にしたアルバムが出るという、コマーシャルとは逆の漢的硬派な生き方を貫いてハタチそこそこで既に圧倒的な大物感を示しています。
その大物をもってしてもジャックブルースとジンジャーベイカーの存在感が凄いのです。
ジャックのベースとボーカルは、特にライブではグイグイ前に出てきて、ベースなのにまるでリードギターのようです。
ジンジャーはスタジオ盤では軽いタッチのドラムですがライブだといきなり手数が増えて同じ曲とは思えないハードな叩き方になります。「荒れ果てた街」などを聴くとぶっ飛んでしまうくらい強烈な叩き方をしています。これは向こうっ気の強いジャックに煽られた結果なのではないかと思います。
もともとこのふたりは同じバンドにいましたがずっと犬猿の仲だったらしくある時ジンジャーはジャックにナイフを突きつけたこともあったそうで、その激しい気性がプレイにモロに表れているようです。
ある人はジャックを嫌な奴と言っていたそうで、その性格がジンジャーの逆鱗に触れたんじゃ無いかと想像します。またある日本人ミュージシャンはジンジャーの楽屋に入る機会があったそうですが、あまりの怖さについに近づく事ができなかったそうです。そのジンジャーを怒らせたのだから、ジャックも相当なものですがそんなジンジャーはエリックがとても好きだったようで、だからエリックとバンド(クリーム)をやりたかったのだし、クリーム解散後も同じバンドに入ったりと(ブラインドフェイス)私が知る限りではエリックの悪口を言ったことが無さそうです。(ジンジャーは他の多くのミュージシャンをケチョンケチョンに貶しており、自分を尊敬していたツェッペリンのジョンボーナムのことすらボロクソに言っていた)
ともかく、そのジンジャーがいなかったらクリームは無く、エリックがいなかったらジャックがクリームに入ることは絶対無かったのでこれは音楽史上最大の奇跡だと思います。
ECのキャリアの中でもクリームだけが突出した感じで、クリームの時だけド派手なサイケデリック(幻想的でカラフルなアート)な衣装を着ていました。

その前はトラディショナルなアイビールック、後はひたすら渋めの路線をファッションでも貫いています。クリームの時代はちょうど世の中にサイケデリックが流行った頃でジミヘンも他のロックスターもみんなサイケな格好をしていました。日本にもその流行が飛び火して、イカれたファッションのGS(グループサウンズ=今のアイドルグループのようなバンド)が流行りました。でも日本のGSは海外のロックとはだいぶ差があって歌謡曲の作家が作った曲をマッシュルームカットのメンバーが演奏するというもので、外見だけロックっぽく装って中身は歌謡曲という、よくある表通りに面する部分だけビルのように見せて裏側は木造のバラックの建物のような即席感が強くてかなり安っぽい雰囲気のものでした。
ところが、チャラいGSのひとつだと思っていたゴールデンカップスというバンドは、テレビでは「長い髪の少女」という歌謡曲調の甘ったるい歌を歌っていたのに、ライブではクリームなどの洋楽ばっかりやっていたという事をかなり後になって知り驚きました。
長い髪の少女が流行ったのは僕が小学生の頃で、もちろんクリームなどの進んだ洋楽は知りませんでした。
もし彼のキャリアにクリームが無かったらどういう活動をしていたのか気になります。クリームの活動時期とサイケデリックが流行った時がちょうどダブっていた事も奇跡が起きた一因かも知れないとも思います。
それはジンジャーやジャックにも言えることで、そういう事が無かったら私もクリームに出会う事は無かったのですからとても不思議な感じがします。
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Posted at
2022/06/09 10:07:36