
例によってECをあまり知らない人も読んでくれたら…と思って書いてます。もっともそういう自分もそれほど詳しく知っているわけではないので過去のいろんな記事などたくさんから寄せ集めて知っている範囲で書きます。
これもECを知り初めた中2頃(1971年)に買ったアルバムです。
この頃はどのアルバムを聴いても知らないECに出会える夢のような時期でした。
なにしろECの活動は隠遁生活に入る1971年くらいまでは物凄く多くて武者修行のように手当たり次第に他流試合していたような感じでアルバムをどんどん出していたのでいろいろな側面のECを聴くことができました。
もうちょっと早く2年くらい前に知っていれば最も頻繁に活動していた1969年に間に合ってリアルタイムで聴けたのに…と悔しい気持ちもありますが、そうするとまだ小学生だったのでさすがにECのファンだった小学生なんていなかっただろうな…などという想像もします。
もう50年以上前の話なので、ほんの数年遅れでECファンになれたことが今となってはラッキーだったと思います。
1969年録音のアルバム
「デラニーアンドボニーオンツアーウイズエリッククラプトン」というタイトルからもECの名前が入っていることがウリになっているのがわかります。
ただのECミーハーオタクの私は1965年のブルースブレーカーズウイズエリッククラプトンの時もそうでしたがいかに彼がビッグネームだったかがわかるこのタイトルを見ただけで嬉しくなってしまいます。
デラニーアンドボニーの夫婦デュオは有名ミュージシャンの間で評判になっていたヴォーカリストでそのおかげでビッグネームになったとの事でこれもECの音楽放浪の時期に出会った人です。
まだ無名のリタ・クーリッジやレオン・ラッセルらが加わったスワンプ(アメリカ南部の音楽)的要素のあるアルバムです。
ECは客演という立場ですがグループの一員として全面的にバリバリリードギターを弾いています。
デラニーアンドボニーは白人ですがとてもソウルフルな歌がそれだけで感動的ですがそこにECのギターが加わって何倍にも聞き応えのあるパフォーマンスになっています。
EC自身のヴォーカルとは全く違って力感溢れるヴォーカルとECのギターの組み合わせはこのアルバムでしか聴けません。
その中で特に私の好きな曲はゴスペル調の「ザッツ・ホワット・マイ・マン・イズ・フォー」という長ったらしいタイトルのナンバーです。
奥さんのボニーが唄うこのナンバーは黒人以外のヴォーカリストで最高なのでは無いかと思えるパフォーマンスです。
この夫婦の唄にはゴスペル、いわゆる黒人の教会音楽的要素がかなり入っているように思いますがとてもソウルフルかつエモーショナルです。
あまりに素晴らしいのでEC自身がヴォーカルのアルバムを聴くと物足りない気分になるほどです。残念ながらこの二人はECに無いものをたくさん持っていると感じます。
しかしここでのECのギターは緩急自在といった感じでノリも最高で最高の歌と最高のギターのコラボレーションです。
できればこのメンバーでの躍動感溢れるライブを一度でもいいから観たかった❗️
デラニーアンドボニーのような歌心のかたまりのようなアーティストはこの後も出てこないのではないかと思います。(少なくとも自分は知らない)
ECが若かった頃音楽の放浪をしていた時の音源がとても貴重で、(1960年代〜73年)再起した1974年以降は安定した活動になりその代わりに他のミュージシャンとの他流試合が少なくなったのが残念です。
ついでにこのバンドの驚くべき貴重なライブ映像が残っているのでそれについて触れます。(カラーじゃないのが惜しい!)
「Delaney & Bonnie & Friends: Copenhagen December 10, 1969」
クリームを解散したあとの1969年(24才)には特に精力的に活動しています。
ひとつはパーマネントグループのブラインドフェイス、ジョンレノンのプラスティックオノバンドへの参加、そしてデラニー&ボニーのツアーへの参加と大活躍でした。
そしてそのどれもがライブ映像に残っているのです❗️今と違って映像を残すのは大変だった時代です。これらの
映像を撮って残してくれた人達全員に感謝!です。三大ギタリストのジェフベックやジミーペイジやほかのロックスターたちと比べても映像作品の多さは群を抜いて多くECファンとして嬉しい限りですが、それだけ精力的に仕事をしていたとも言えます。
それと、彼だけ歌が歌える事(一際目を引く端正なルックスも含めて)もスター性で頭ひとつ抜きん出て映像が残る一因になっていたのかもしれません。
歌が歌えることによって彼の活動範囲はこの後も広がってとても多彩な人たちとの共演につながっていきます。それらについては改めて触れようと思います。
その中で今回取り上げるのは、デラニー&ボニー夫妻のツアーに参加した時のものです。
それまで無名だった彼らはジョージやエリックなどビッグネームのミュージシャンがこぞって賞賛した事で脚光を浴びるようになったそうでこのツアーも自らの意思で参加したとの事で説明するまでもなく観ればその素晴らしさが体感できます。
白黒なのがちょっと残念ですが45分ものライブ映像で何とこのライブにはジョージもギターで参加しています。
ジョージとエリックが黒いカーテンを背景にプレイしている写真やポスターがだいぶ前からあってずっといつの時の物かわからなかったのですがこの映像を見てD&Bのライブ時のものと知って驚きました。
あとのメンバーはその後デレク&ドミノスのメンバーになるボビーウィトロック(ピアノ、バッキングヴォーカル)カールレイドル(ベース)ジムゴードン(ドラム)の他、「あなたしか見えない」で有名になる前の若いリタクーリッジや2人のホーンセクションがいます。これらの人たちは1970年ECの初ソロアルバムにも参加した人たちです。
記事を書くにあたって改めて見てて久しぶりに感動し直しました。
レコードになった「オンツアー」とダブった曲が多いので、比較しながら観ると更に感激ひとしおです。
しかも…ECのソロアルバムに入っている「アイドントノーホワイ」(邦題 なぜか知らない)もECのヴォーカルで演ってくれています❗️ECはまだヴォーカリストとして自信がもてなかった時期の照れ隠しなのかこの曲を歌う時はサングラスをしています。このステージが1969年でソロアルバムが1970年ですからこっちがプロトタイプ(原型)でアルバムの方が完成形なのかな?とも思えますがこの曲、他のライブでは聴いた事が無いので超貴重な音源が映像付きで残っていた事になります❗️
同じくらい大物のビートルズのジョージさえ一曲も歌って無いのでこれはかなり凄い事だと言っていいと思います。(しかもジョージはずっと地味にバックでギターを弾いているだけ)もっともジョージの音楽性(ブルースというよりロカビリー)ではデラニー&ボニーのステージにはフィットしなかったとも言えます。逆に言うとECの音楽的柔軟性、いろいろな音楽を取り入れようとする姿勢や貪欲さに感心します。その事実が図らずもこのヴィデオで証明されたとも言え、ふたりのファンの私にとってもとても興味深く貴重なものです。
ジョージはビートルズの中でも三番手の存在だったからとも言え、ECとジョージの世間的な大物度は微妙な線だったとも言えると思います。少なくともこの場面ではECの扱いが上になっています。この事からもツアーメンバーの一員とは言え、ECのネームバリューは相当なものだったのが分かります。
ただECの控えめな性格がよく表れていてステージの一番端っこにいるので、画面から切れている事が多いのが残念ですが全面リードギター担当で存在感を示しています。
彼女のパンチが効いたソウルフル&パワフルなヴォーカルはECに無いものを全て持っているような気がします。もっと彼らと一緒に活動して欲しかった。そしてジョージがバングラデシュコンサートにまで引っ張り出して欲しかった…と切実に思います。
(なお、ジョージもずっと地味にリズムギターを弾いているがリラックスしてとても楽しそう。)
メンバーはデラニー&ボニーの他ECソロアルバムにも参加したリタクーリッジとホーンセクション2人、後に結成するデレク&ドミノスの3人、ジョージハリソンとまさにECの歴史絵図を見ているような超豪華メンバーです。
1.Poor Elijah / Tribute To Johnson
2.I Don't Know Why デラニーに紹介されてこのステージでECがボーカルをとった唯一の曲。ソロにも収録された曲の原型でちょっと頼りない歌い方が初々しい。バックコーラスのリタとボニーに助けられて一生懸命唄っている感じがイイ。
3.Where There's A Will, There's A Way
4.My Baby Specializes
5.I Don't Want To Discuss It
6.That's What My Man Is For ボニーの黒人顔負けのパワフルなボーカル全開!特にラストのシャウトは圧巻!この後夫婦は別れてしまいデラニーは既に亡くなっているが、ボニーは近年もスーパースターを唄っている姿をユーチューブで見ることができる。
7.Comin' Home
8.Tutti Frutti / The Girl Can't Help It / Long Tall Sally / Jenny Jenny ダイナミックなロックンロールメドレー。他のミュージシャンたちがこぞって絶賛したのも納得の超強力なボーカル!!
Posted at 2022/05/17 11:06:16 | |
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