SL-HF900は初めてプロと名乗ったソニーの歴史に残る決定版のビデオ…になるはずでした。
しかしまだプロ編集機器としての欠点が残っていました。それは映像を繋げた部分に虹のようなノイズが出てしまうことでした。
ビデオベッドはオーディオ機器の固定ベッドと異なり、テープに対して高速回転するヘッドを斜めに接触させます。これはテープとの相対速度を稼ぐためだと思いますが、その構造が虹ノイズの原因にもなっていました。そこでそれを解消するための技術が開発されました。あまり詳しくはないのですが、画面の切れ目の一コマずつ消去していくものだと理解しています。平たく言えば今まで大雑把に消していたのを丁寧に消す方法に改善したという事です。
これは欲しい❗️とまたまた思いました。しかしもう自分のサイフの限界でもあり、その消去ヘッド(フライングイレースヘッド)を搭載し、更に高級になった最高機種SL-HF3000は更にサイズも分厚く値段も高くなってとても手を出しにくいものになってしまいました。
さすがにもうついていけませんでした。
そうこうしているうちに西の松下勢のVHSも実力を上げ、ベータより売れるようになりシェアは逆転しました。
私個人の事情もその間に所帯を持つという大きな節目がありオーディオビデオ三昧も終了していました。せっかく録ったテープもホコリに埋もれた状態になっていきました。
しかし誰でも当時レンタルビデオは映画を観るために必要で我が家も同じでした。
しかもVHSじゃないと観れないものが多くなってきて必然的にVHSビデオが必要になりました。この時点ではもうビデオ好きでもオーディオ好きでもないただの人に近くなっていたと思います。…といいたいところですが私のビデオの高画質じゃなきゃイヤDNAはまだ微かに残っていて、買うならベータのハイバンドに当たるS-VHS機でないとイヤだと思っていました。
もちろん普通のVHSよりは上位なので値段もほんのちょっとは高くなります。
でもその頃はもう自分の趣味に使えるお金はほとんど無かったのでカタログや雑誌やお店を巡って少しでも安くて高画質な機種を探しました。
するとそれまではメーカーとしても見向きもしなかった(ちょっと二流だと思っていた)サンヨーのデッキが急に光って見えてきました。正直なところサンヨー電機というのは同じ関西の松下の子会社のようなものだと思って少し下に見てもいました。
事実サンヨーは松下から暖簾分けのような形で生まれたと聞いた事があります。
ところがサンヨーのS-VHSを調べるほどビデオとしての優秀性がわかってきました。それは松下製品のOEMなどではなく、サンヨーの技術者が独自に開発したものでセンターローディングメカを採用したものでした。(サンヨーではミッドマウントと呼んでいた)振動のモトになるテープを筺体の中心に置くという発想はとても理に叶っていると思いました。それが目で見てもハッキリわかる形をしているのでとても説得力がありました。おお、サンヨー凄い❗️と思いました。
クルマでもミッドシップがありますが、それと似ていると思います。
それでいて値段は松下などに比べて安かったのです。
もう会社も無くなった今更ですがサンヨーそれまで相手にせずごめん❗️という気持ちです。
今も昔もブランド力の優るメーカーの商品の値段が高めなのは変わりません。
買ったのはサンヨーVZ-CS30(152,000円)です。高画質なS-VHS機としてはかなり安い方でした。しかもこの機種には、なんとリモコンにジョグシャトルが付いていたのです。価格はできるだけ抑えても性能と機能は極力妥協しない姿勢が感じられてサンヨーというメーカーがグッと好きになりました。我ながらいい加減なものです。更にこの値段でソニーのベータプロでさえ未装備だったフライングイレースヘッドも搭載していたと思います。ビデオとしてはほぼ完璧な装備です。
レンタルビデオ店でもS-VHSのテープが多くなり、当然それを探して借りてましたがやはり数が少ないので貸出中の事が多かったです。
でも画質がワンランク上なのでS-VHSがない時は諦めたりしていました。画質が上なのは映画の最後に流れるスタッフ名の細かい文字を見ると誰にでもハッキリ分かりました。
この機種のことをネットで調べるのは大変でした。というのはだいぶ昔の話である事、サンヨーというマイナーなメーカーの製品なので情報がほとんどない事、自分のビデオ熱もソニーの頃より冷めていたのであまりこの機種の事を覚えてなかったことなどが重なった結果です。
でも、この機種の記事はしっかりキングファイルに残っていました!(我ながらエラい💦)しかも、親会社のような松下電器の製品との対決記事です!これは凄い!更に両方とも高性能なミッドマウント同士です!💦
さすが松下の方が値段が高い!
最後にサンヨーの名誉のために残した遺産について触れておきます。
松下(現パナソニック)がサンヨーから引き継いだものはポータブルカーナビのゴリラとホームベーカリーのゴパンがあります。ゴパンは残念ながらもう作ってないようです。米を挽いて粉にして作るだけじゃなくなんと炊いたご飯からもパンが作れたようです。これ欲しかった!
Posted at 2023/08/03 09:15:18 | |
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