イーハチナナのブログ一覧

かつて秀吉が朝鮮へ攻め入った頃、陶器を作る技術があるがゆえに連行されてきた人々いました。その陶工たちは薩摩に土着し「薩摩焼」を作り出しました。
薩摩藩は士分を与える代わりに、姓を変えることを禁じました。
私が行った寿官窯は、代々「沈寿官（ちん　じゅかん）」を名乗っておられます。

私は司馬遼太郎さんの作品の中では、特に「故郷忘じがたく候」という小説が好きです。
朝鮮の役で、島津家がつれてきた陶工の末裔の物語です。
主人公は第十四代沈寿官氏。
そうなんです、私が行ったのは、小説の主人公の窯元なんです。
ちなみに現在は１５代が引き継いでおられます。

２００４年の鹿児島旅行で訪れ、今回は２度目の訪問です。
店内を見ていると奥から、老人がひょっこり顔を出しました。なんだか優しそうな、おじいさんです。
娘に「何歳？」なんて聞きながら机に座ってお茶を飲んでいます。

その時ピン！と閃きました。写真でも見たことがありますから。

間違いなく「十四代　沈　寿官さん」です！

めちゃくちゃ緊張しましたよ～。小説の主人公が目の前で笑っているんですから！
話してみると、気さくで、ユーモアがあって、懐の深い人でした。そして、その手はまさしく「職人の手」でした。
話の引き出しがいっぱいあって、次から次へと面白い話が出てくるので飽きません。すごい人だな～と感心しました。

記念に茶瓶を購入すると、直筆で商品名を書いてもらえました（写真）。ついでに一緒に記念撮影なんてミーハーなことまでしてもらったり、子供にはお菓子をもらったりで（＾＾；恐縮しながらお店を出ました。

フォトギャラリー　薩摩焼