「もう初代(NA)みたいなクルマは無理ですか？」「そんなわけはないでしょう」貴島孝雄氏インタビュー

すでに多くの方が目にされていると思いますが、「日経ビジネスオンライン」にて、マツダ・ロードスターの記事が掲載されています。執筆されているのは、フェルディナント・ヤマグチ氏。もの書きが本職ではないそうですが、どっこい下手な自動車ジャーナリストより真贋を突いた記事を書かれております。

初めの頃の連載で氏はレクサスを褒めちぎっておられたので、大した関心もなく読み飛ばしていたのですが、先月になぜかロードスターの連載を始めたので、気になりつつも仕事が佳境に入っており、それどころではなく…（中略）…ようやく時間も取れるようになったので、先ほど興味深く読ませて頂きました。

連載２回目からは貴島孝雄氏へのインタビュー記事でした。我々ロードスター・フェチにとっては多くが既読な内容でしたが、購読者数の多い日経ビジネスオンラインでの掲載、かなりの人の目に触れたことでしょう。

さて、お堅い日経ビジネスオンラインにて貴島さんのインタビューが実現した背景には、どうやら編集部に熱心なロードスターファンがいたようです。"編集Y"と名乗る彼は元マリナブルーのNAに乗られていたようで、「番外編」と称してずうずうしくも貴島さんに質問し、その内容を結構な文字数に起筆しているのですが、さすが元オーナー。我々の知りたいことをズバッと貴島さんに尋ねてくれました。


編集Y氏「大変申し訳ないのですが、今、NAがもし手元にあったら、NCが欲しくなる、とは思えないのです。」

貴島氏「それでいいのです」

編集Y氏「え…？」

貴島氏「いま、調子がいいNAをお持ちだったら、NCをお求め頂く必要はありません。あれ（NA）がロードスターの原器ですから。しかし発売から21年、NAは寿命が尽きてしまう頃です。その時に、同じ楽しさをお求めになる方に乗り換えて頂くクルマがなくてはメーカーとして申し訳ない。だから、NCは絶対に必要なクルマなのですよ」


さらに編集Y氏は続けます。


編集Y氏「ならば…本来ロードスターは、NAのサイズで作るべきということですよね。でも、クルマは居住性や衝突安全性を求められてどんどん大きくなっている。やっぱり、もうNAのようなクルマには、私たちは二度と乗ることはできないんでしょうかね？」

　貴島氏の答えはまたも簡潔でした。

貴島氏「そんなわけはないでしょう」

編集Y氏「え？」

貴島氏「たとえばNAと同じプロファイルで、衝突安全性をクリアし、より快適に楽しくする。それをやるのが“技術者”っちゅうもんでしょう。マツダはもちろんソレができる、と、私は思うちょりますよ」


これを読んで私は泣きそうになりました。NCより安全で快適で、しかもNAのようにワクワクするクルマ。そう遠くない将来、世の中からユーノス・ロードスターの大半は消えてしまうでしょうけれど、同じ血脈を受け継いだ、新しい世代のロードスターが走り続けるなら、それは素晴らしいことではないでしょうか。

次の連載最終回は、ロードスターとの生活を楽しんでいるオーナーへのインタビューらしいです。じっくり楽しませて頂きましょう。